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展覧会レポ:北澤美術館「北澤美術館開館40周年記念特別展 エミール・ガレ、自然への眼差し -我が根は森の奥深くにあり-」

松本市付近に行く用事があり、近くに美術館があるか探しました。その際に諏訪湖付近にはたくさんの美術館があり、中でも北澤美術館はGoogleマップで口コミ数が多かったため、行くことに決めました。その感想を書きます(約2,700文字、写真約25枚)

結論から言うと、諏訪湖に行った際には必ず寄るべき美術館だと思いました。良かった点は、1)他にはない個性が光る適度な美術館、2)ガラスのアール・ヌーヴォー作品の良さを再認識、3)ロケーションが良い点です。おすすめ度は★4です。都心の大きくて伝統的な美術館も良いですが、このような私設の美術館にもそれぞれの良さがあると実感しました。

北澤美術館へのアクセス

新幹線が停まる上諏訪駅から徒歩約15分です。駅からまっすぐ諏訪湖に向かい、そのまま諏訪湖沿に右に歩いて行けば到着します。
諏訪湖の景色が綺麗すぎて、歩くのがとても気持ちがいいです。

諏訪湖が気持ち良すぎる
全景。一見すると大きな美術館には見えません

北澤美術館について

北澤美術館は、バルブメーカーの株式会社キッツ(旧・北沢バルブ)の創業者である北澤利男さんが、地域文化の振興と発展のために収集した美術作品を1983年に公開、開館したそうです。
「美しいものを愛する素直なこころ」をモットーに、「小さくても個性の光る美術館」をめざしているとのこと。ガラス作品をメインに約1,000点所蔵しており、各所の展覧会にも定期的に作品の貸し出しをしているようでした。行く前はあまり期待していませんでしたが、「個性が光る」良い美術館だと実感しました。行って良かったです。

看板。「全国でもユニークな美術館」と書かれるとハードルが上がります
平成4年(1992年)に天皇皇后が来館したそう
チケット。ケーキセットの割引券ももらえます

「北澤美術館開館40周年記念特別展 エミール・ガレ、自然への眼差し -我が根は森の奥深くにあり-」

全体を通して、作品数が多く見応えがあり、まさに「個性が光る」特徴的な美術館でした。ガラス作品を落ち着いて鑑賞したことがあまりなかったので、良い学びになりました。イッタラよりもアール・ヌーヴォーのガラス作品の方が日本人と親和性があり、芸術作品として見る価値がありました。

展覧会について。1段落目に北澤美術館の概要を載せてくれていて助かる
エミール・ガレについて。作品から詩や音楽に親しんだ繊細さが伝わりました

エミール・ガレはアール・ヌーヴォーのスタイルをつくり上げた人物らしい(そんなに偉大な人だったとは)。この展覧会を通じて、改めてアール・ヌーヴォーとアール・デコの違いを覚えることができました。

エミール・ガレ「鯉文双魚形花瓶」。モチーフも描かれている絵も日本風で面白いし、全体的なフォルムもユニーク
エミール・ガレ「東洋人物文浮彫大皿」。日本人と中国人が入り混じっています

ガレの作品には説明がなくても随所にジャポニズムの影響を受けたんだと分かります。西洋人は、綺麗な馬とか女性のモチーフが多いと思っていたけれど、ガレの作品には昆虫や魚、クラゲなど、私の抱いていたイメージとは全く違いました。アール・ヌーヴォーは日本の美的感覚と親和性が高く、ガレの作品は全体的に日本人が好みそうなモチーフが多いと思いました。

イッタラなどのless is more的なフィンランド作品も日本で人気ですが、個人的にはアール・ヌーヴォーの方が学ぶものが多いと感じました。

ガレの作品のキャプションには当時の万博でグランプリを受賞したなどの記載が多いです。昔の万博は今と違い、ガラス工芸が最先端だったんだな、と再認識。また、絵画作品と違い、ガラス作品は光によって見え方が大きく変わります。ガラスという素材の面白さに初めて気づきました。その意味では、ガラス作品は展示方法にも特別に気を遣うんだな、と思いました。

エミール・ガレ「ひとよ茸ランプ」。メインビジュアルを飾る作品
館内の作品には音声ガイドの番号が書かれているものの、実際に聞けるのは1つのみというのがシュール
エミール・ガレ「置物 ”三毛猫”」。oldでディズニーの世界に出てきそうな顔
エミール・ガレ「ライラック文台付花瓶」。写真では伝わらないが、とても大きい
エミール・ガレ「アストランティア文耳付花瓶」。果汁100%のオレンジジュースくらい発色がいい
エミール・ガレ「長頸瓶《茄子》」。茄子をモチーフにするところが渋い
エミール・ガレ「花瓶 《アザミ》」。あざみって綺麗な花のイメージがなかったけど、作品に多く使われているよう
エミール・ガレ「ひとよ茸文花瓶」。ひとよ茸とは、一晩で溶けてしまう茸らしい。そこに”もののあはれ”を感じるガレは日本人っぽい
作品数が予想以上に多くて見応えがあります
ルネ・ラリック「テーブルセンターピース 《三羽の孔雀》」。花瓶だけでなく置物もある。お金持ちの家に飾ってありそうなイメージの作品
ジョルジュ・デプレ「装飾パネル 《ラ・ヴァーグ (波) 》」
背面のランプの色が10秒くらいで変わる仕組み。ガラス作品の可能性をわかりやすく示していて面白い
買ったポストカード。やはり「ひとよ茸ランプ」をチョイス

ちなみに、2階では「北澤コレクション名品展 春」(2023/2/21-2023/5/23)が開催されていました(すべて撮影不可)。
中でも東山魁夷の作品が良かったです。部屋が広くて作品が見やすいため、撮影不可は少しもったいないな、と思いました。
なお、鉛筆の貸し出しがなかたったです(借りる人がいないのかな?)。

今日の美術館飯

北澤美術館の中2階にカフェがあります。景色が最高で落ち着きます。

2階から見たカフェの風景。面白い建物の構図です
カフェからの風景。諏訪湖が最高のポイントから眺められます
北澤美術館喫茶室 - ケーキセット (¥900)。割引券でここから100円引き

補足

展覧会名:北澤美術館開館40周年記念特別展 エミール・ガレ、自然への眼差し -我が根は森の奥深くにあり-
場所:北澤美術館
おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★☆☆
ベビーカー:ー
会期:2023年3月18日(土)2024年3月12日(火)
住所:〒392-0027 長野県諏訪市湖岸通り1丁目13−28
アクセス:上諏訪駅から徒歩約15分
入場料(一般):1,000円
事前予約:不要
展覧所要時間:1時間〜2時間
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:1階はほぼ撮影可。2階は撮影不可
URL:https://kitazawa-museum.or.jp/exhibition/article.php?post_id=4517

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