見出し画像

【今日の『つかまれたつかみ』 #2】何が女たちを狂わせたのか。

最初の数行だけで、読み手の心をわしづかみ。読み手は続きを読まずにいられなくなる。そんな「つかみ」を独断と偏見で紹介する──。

こんにちは、ライターの杉山です。

今日の「つかまれたつかみ」は、音楽プロデューサー・浦久俊彦さんの『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』の「つかみ」です。

何が女たちを狂わせたのか。
 彼が脱ぎ捨てた手袋を奪い合い、花束の代わりに宝石が投げ込まれ、舞台に花吹雪を降らせるために、街中の公園から花がむしりとられた。ある街では、彼とその子孫を王族とする国までもが創られようとした。すべて、たったひとりの人物のために、である。
 その人物とは、フランツ・リスト。

『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』浦久俊彦/新潮社

このつかみ、「彼が脱ぎ捨てた~」から始めても意味が通りますが、
「何が女たちを狂わせたのか」という一文があることで、読み手をぐっと惹きつける「つかみ」になっていますよね。

冒頭の一文が「問い」になっているのも、ポイント。
この一文を「フランツ・リストは、多くの女たちを狂わせたピアニストだ」とする手も考えられますが、
「何が女たちを狂わせたのか」と問いかける形にしたほうが、謎めいた内容になり、読み手に「どういうこと?」と興味をもたせる力は強いでしょう。

冒頭に「問いかけ」の一文を入れる。書き出しのレパートリーに加えてみてください。

※このつかみはライターの東ゆかさんから教えてもらいました。ありがとうございます!

※なぜ「今日のつかまれたつかみ」を始めたのかは、以下の経緯をどうぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?