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競合に対抗する方法 ケーススタディ メモ⑥

<設定>
クライアントは中規模の教育サービス企業である。
主にコンピュータ関連の研修プログラムやコンサルティング業務を提供している。
IBMが自社の事業セグメントに参入しようとしている。

<問題>
IBMの動きに対して、どのような対応したら良いだろうか。
これ以外の目的はない。

<現状分析>
クライアントの事業セグメントにおける競合状況は3社いる。
この3社でシェアの大部分を占めている。
この他、1〜2社の顧客のみと独占的に取引を行っている小規模な企業が3社存在している。
クライアントのマーケットシェアは24%です。
他の競合は、IBMの参入を阻止するためには特にしていない。


<打ち手>
クライアントが取るべき戦略は大きく3つある。
①IBMの参入を阻止するための戦略
②現在のシェアを死守するための戦略
③新規顧客を獲得するための戦略

①IBMの参入を阻止するための戦略
市場の参入障壁を築いて、IBMの参入を阻止することは難しい。
IBMは無限の巨大経営資源を持っている、しかも政府の規制は存在しない。

②現在のシェアを死守するための戦略
新規の顧客を獲得するよりも、既存の顧客を維持するコストが安い。
顧客維持の方法としては3つ策がある。

第一に、顧客にとってのスイッチング・コストを高くすることによって、顧客がIBMに乗り換えにくい状態をつくる。
他の業界でやっている具体例は、ある会社は、Eメールアドレスや個人アドレス帳を管理している。
さらには、その会社は独自のWEBサイト情報や、その他の付随的なサービスにアクセスすることが可能です。
そのため、顧客が他のプロバイダーに乗り換えようとすると、非常に手間がかかる。

第二に、顧客の声に耳を傾けて、何が重要なのかを理解する。
プロモーション活動に力を入れたり、顧客ロイヤリティ・プログラムを開発したりすることで、顧客がクライアントにとって非常に大切な存在であることを感じさせる。

第三に、できるだけ長期契約を結んで顧客を囲い込むことに全力を注ぐ。
顧客との契約延長に成功した営業マンには特別ボーナスを与えるなどのインセンティブ制度を導入することを検討する。

③新規顧客を獲得するための戦略
マーケティングキャンペーンの展開、広告の掲載、企業展示会への参加、公共機関との長期契約締結に向けたロビー活動を行う。
また競合他社の優秀な営業スタッフを自社に引き抜いて、顧客を奪うことを考える。
他社の買収による顧客層の拡大も検討をする。
1、2社の顧客のみと独占的に取引を行っている小規模企業が存在しているので、彼らに会社を売却する意思があるかどうかを調べる。
もちろん、小規模の会社の顧客がIBMに乗り換えるリスクは存在はする。
IBMは巨大企業であるが、思わぬ落とし穴はある。
顧客に提供する教育プログラムの内容そのものは、IBMとクライアントとの違いはない。
クライアントの差別化は、人材と顧客サービスの質である。
クライアントは、新しいビジネスを追求するとともに、現在の顧客を繋ぎ止めるためにはどんなことを行う覚悟がある。

例えIBMが価格競争を起こしても価格を下げる必要なない。
価格競争をしてもIBMには勝てない。
クライアントは、質の高いサービスを、競争力のある値段で提供している。
顧客がクライアントのサービスを本当に気にっているのであれば、料金が安いという理由だけでIBMに乗り換えることはない。
クライアントが取り組んでいるのはサービス業であり、質の高いサービスを顧客に提供することが全てである。
ただし、値引きは絶対行わないというわけでなく、長期契約を結ぶ顧客に対しては割引価格でサービスを提供するなど、柔軟な対応をする。

<まとめ>
クライアントが取るべき戦略は3つ。

①IBMの参入を阻止するための戦略
この戦略は現実的に難しい。
②現在のシェアを死守するための戦略
スイッチングコストを高めたり、顧客ロイヤリティプロブラム等のプロモーション活動、長期契約による顧客の囲い込みなどがある。
③新規顧客を獲得するための戦略
大規模なマーケティングキャンペーンの展開、他社の買収を通じて、新規顧客の獲得を目指す。

ケースタイプ:競合の動きに対する対抗策シナリオ

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