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ナラティブ(語り)とは

最近ナラティブやストーリーテリングなどの言葉を聞きます。言葉の語り方で相手への伝わり方や意味づけの仕方が変わるので、とても面白いことだと感じている次第です。

先日エモいという言葉に関して、とても興味深い話がありました。

内容はとても共感できるものでした。人によって感じ方は異なると思いますが、私はずっと読みながら頷いていました。「うん、うん」と。

新しい言葉ができてそれを使っていくことは面白いことだと感じています。「エモい」という言葉がこれまで伝えにくかった感情を伝えやすくしている部分もあるので、そのような言葉は増えていけばいいとも感じています。

ただエモーショナルに感じたことを「エモい」だけで終わらせるのは、もったいないようにも感じます。エモーショナルに感じる時は複数あれど、段階があります。先日私が映画館で見た「ボヘミアンラプソディ」をエモいで表現するとしたら、「ええええ、エッもいいゝ良いいいいいい!!!!」っとなります。最高にロックで、かっこいい映画でした。ぜひ見るべき最高の映画だと思います。

これはかなり興奮している「エモい」です。ただそれほどでもなく、例えば五反田の駅前を歩いており、外国人がとても面白い楽器を使って路上ライブをしているのを見たときなど、普通に「エモい」って感じる時もあります。特に泣くこともなく、ええな〜って感じです。

つまり何が言いたいかというと、感情にレベルがあるのにその言葉だけで片付けることはもったいないということです。もっと細かい感情があって、伝えたいストーリーがあるのに、それを1つの言葉で片付けることはもったいない。

たくさんの言葉を多様に使い、自分の感情を表すと、伝えたいメッセージをデザインすることになるので、相手に刺さりやすくなります。

それができる機会があるのにも関わらず、1つの言葉でその感情を殺しているところがもったいないと感じました。意味付けできる部分がたくさんあるのであれば、それを多様に活用する方が相手に細かい感情を伝えることができます。


<語りとは>

話はナラティブに戻ります。ナラティブとは、「特定の言葉によって特定の文脈を語る」ことを言います。人は言葉によって、物事や世界を理解します。生きていく中で人はたくさんの言葉を使っていると思います。

ただその言葉は、時代によって変わります。「エモい」を活用する人は「エモい」という言葉が流行ったことで、その言葉の意味を理解し、「エモい」を使うようになります。ただ時代が変わればその言葉を使うことはなくなっていきます。過去に誰かが使った言葉を使ってきただけでは、ただの思考停止状態に陥るということです。

新しい価値や意味を築き、先行して言葉を作っていく人が次の社会を作るようになります。過去に誰かが作った言葉を多用していても、新しい価値観に触れることができなくなります。

<今後求められるリーダー像>

ビジネスシーンで考えたときに今後求められるリーダーは以下だと言われています。

ボストンカレッジのサンドラ・ワドック氏は、ナラティブ(語り)をシフトさせるリーダーが求められていると指摘しました。ワドック氏は、今求められているリーダーは、かつてのような、挑戦的だがシンプルな問題の解決に勇気をもって挑む“ヒーロー”ではないと言います。世界で起こっている複雑な問題を理解し、新しい社会を読み解く言葉をもたらす“知的シャーマン”としてのリーダーシップがいま求められていると述べました。
ウォートン・スクールのトーマス・ドナルドソン氏は、ビジネスとは本質的には「協働によって集合的な価値を生み出すこと」であり、市場競争は協働の1つの形に過ぎないと述べ、もっと多様な「協働」を生み出すことを訴えました。

Academy of Management(米国経営学会)2018 参加報告

このように、今後求められるリーダーは様々な情報を整理理解し、本当に必要なものを見つけ、それを言葉にして伝えることが求められてきます。

それは過去では「エモい」や「やばい」だったかもしれませんが、今後の未来は異なってきます。過去の言葉を使っていても思考停止になります。複雑な情報を理解し、意味付けして語る「ナラティブ」を持っている人がビジネスシーンで活躍していきます。それはAIなどでは実現できない能力だと確信しています。

だからこそ多様性が重要であり、様々な価値観に触れ合う機会が求められます。そのような環境の方が、新しいナラティブを生み出しやすくなるためです。共創できる文化形成が必要です。様々な国の外国人がいて、属性の偏りもない企業が今後新しい価値を生み出していくと言われています。

もちろん多様性を推進するうえでの課題としては個々のバイアスを無くしていくことは重要なミッションにはなってきますが、多様性こそ企業の発展に繋がると思います。多様性がある会社は、そうでない会社と比べ13%近くイノベーションが生まれているとも言われています。


ダイバーシティ、ダイバーシティ、ダイバーシティ・・・・と言っていた3年前とは異なり、これからは本当に多様な人材を採用し働ける環境の提供が必要になります。人も採れなくなってきていますし。

もちろん時短勤務で働く方や、フリーランス、派遣などなど勤務時間に関わらず誰もが働ける環境づくりが多様性には重要です。

新しい意味づけを行い、問題定義でき、価値を生むナラティブ。とても面白い話で興味津々です。

「エモい」「やばい」などのように簡単な言葉で片付けるのではなく、新しい価値をつけ言葉で表現する能力が今後必要になるように思えます。

現状を疑うという能力が問われる時代になってきています。とても面白い!最高の時代だと思います。

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