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想像力を総動員

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小説も書いてみたいから。
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parfaitと持ち寄りパーティー

parfaitと持ち寄りパーティー

本当に久しぶりだった。前に会ったときは学生で、住んでいるところが違くって、髪型や服の趣味も今とちょっと違った。一緒にわいわいするのも、ダラダラするのも心地よかったことは鮮明に覚えているんだけど、何をしたかの記憶は断片的だ。



5、6年ぶりの再会だった。タイミングとか、電車で2時間の微妙な距離に暮らしているとか、そういういくつかの小さな理由で会っていなかった。そのまま疎遠になってしまう関係も多

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底だったはずなのに

「最悪」なんて滅多につかうもんじゃない。そんな悪いこと、そうそうないんだから――。

昔聞いた、誰かのことばが頭をよぎる。たしかにそうだと思うし、実際「最悪」と口にしないようにしていた。でも「最も悪いか」なんて、何を基準に判断したらいいんだろう。この気分を「最悪」と言ったらダメなんだろうか。考えがまとまる気配はなく、重苦しい思考から逃げるように布団を頭までかぶった。



調子が上がらない。むし

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灯り ともる

「ササキー、帰りの電車で私のお供、頼んだよ」

赤らんだ顔でそう言う先輩を見ながら、自分の心に【何か】が生まれるのを感じた。酔った先輩を送り届けるくらい、造作もないことだ。わたしは「わかってますって」と返事をする。【何か】になんと名付けようかと思いを巡らせながら。



半期ほど費やして取り組んできた案件に一区切りがつき、プロジェクトチームのメンバーと、そのほか関係者に声をかけ、休日の昼からBB

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