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たびの本、集めました

雑多に本を読んでいるつもりでも、いつの間にか惹き付けられている。「たび」をテーマにしたエッセイや小説、雑誌、イラスト集に。

知らない土地、知らない文化、うつりゆく景色、たびした人のこころのうつろい、どれも大好物。いろいろあるなかでいくつか紹介します。

たびといえば海外だった【国外編】

たびという語感が、異国情緒や冒険を想起させる。えいやっと一歩踏み出す勇気が必要だった私へ。もっともっと世界を知りたい好奇心いっぱいの私へ。

1. The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅(四角大輔/TABIPPO)

「原体験」のタイトルのとおり、さまざまな生き方をするおとなたちが、今の生き方を選ぶターニングポイントとなった旅を書き綴る。10人のエピソードと、編者×4人との対談を収録。エピソードに添えられた写真の数々も、魅力のひとつかな。

出会ったのは大学1年の夏休み。国際色豊かな学科にいたので、同い年とは思えない行動力で周囲は海外へ飛び出していく。キラキラ輝く海外組と対照的に、学内は閑散としていた。

バイトを始める。実家の農作業をめいっぱい手伝う。キャンパスのあるまちを探索してみる。目の前にやりたいことはたくさんあったけど、やっぱり海外への、たびへの憧れは隠せなかった。

初めて自分の意思で、教科書以外の本を買った。アフリカのとある国に訪れる、後押しをしてくれる存在になった。読み進めるときの高揚は、今でも変わらない。

2. 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬(若林正恭)

オードリーのツッコミ担当・若林正恭さんのキューバ、モンゴル、アイスランド紀行文。

生きづらい世の中と自身をテーマにエッセイも書いていた著者の興味を引いたのは、社会主義国・キューバ。自分が知る社会システムがまるでないあの国には、どんな景色があるのか。日本から逃亡するようにひっそりとひとり旅へいく。

ある日のオードリーのオールナイトニッポンで文庫版発売に触れていて知った本。紀行文に馴染みがなかったけれど、読めば読むほど魅了されていった。

訪れた場所の記録と感想だけが、紀行文じゃなかった。こころのうつろいが鮮明に頭に思い浮かんで、不思議な嬉しさと懐かしさでいっぱいになる。

キューバの人々が夕暮れどきに語らう姿に、私は何を思うだろうか。

3. MY FAVORITE ASIAN FOOD(LCCインセクツ)

日本、台湾、韓国、香港のイラストレーターと画家による「思い出の食」のイラスト集。総勢60名のそれぞれの表現で描かれたアジアン・フードにきっと心踊ります。

地元のご飯、でなく、思い出の食っていうテーマが最高にいい。子どものころ当たり前に食べていた味。旅先で初めて口にした驚き。元気を出したいとき決まって食べるアレ。自分だったらこのテーマで何を描きたいか、思いに耽る。

4. TRANSIT43 愛しいネパール カトマンズもヒマラヤも!(講談社MOOK)

深掘りに深掘りを重ね、たびへのパッションを奮い立たせてくれる雑誌TRANSIT。ネパール特集号も相変わらず、地形、歴史、食と全てのテーマが興味深い。エベレスト街道を歩く特集は写真集のように眺めるのも楽しい。

身近な友人がネパールへ行った直後で、自分自身はインド・コルカタに行こうとしていた時期に見つけ、表紙の写真にやられて購入。未だにかの地へ訪れたことはなく、憧れの気持ちでページをめくってしまう。新大久保のネパール食堂巡りもしたいなあ。

ちいさな視点がおもしろい【国内編】

海外旅行に慣れてきたとき、ふと「日本で旅行、ほとんどしていないな」と気づいた。住んでいる土地も視点しだいで「旅先」になる。

5. OZ magazine 10月号No. 67 もっとのどかな旅(スターツ出版)

よりみちがテーマのまちあるき雑誌OZ magazineによるコロナ禍のたび特集号。観光地巡りでなく、その土地の日常を追体験するたびが提案される。

国内旅行というとツアー客が忙しなくあちこちを訪れているイメージが強くて苦手だった私に「もっとのどかな」というコピーが響いた。

海外・国内関係なく、自分のペースで、ときどき立ち止まって深呼吸したり、地域の人に紛れてご飯を食べたりしたらいいんだって思えた。いつでも「たび」はなくならないと安心できた、懐かしの一冊。

6. 日本全国おとりよせ本(京阪エルマガジン社)

日本各地のおいしいものを作家や料理家が紹介する。表紙のとおり、とにかく写真がいい。◯◯県の名産、というようざっくりなおとりよせでなく、あのまちのあのお店、というピンポイント具合がたびへの気持ちを駆り立てる。

はじめのページをめくると飛び込む「遠くへ行きたい」の文字に、手がとまった。今よりずっとたびが縁遠くなっていた時期に、おとりよせの提案はとても嬉しかった。おとりよせの数だけたびの楽しみが広がる。

7. ちょっとそこまで旅してみよう(益田ミリ)

イラストレーターの益田ミリさんの日本各地の旅行記。各章10ページくらいずつの気軽さで、たびに使った大体のお金が添えてあるのもなんだか身近に感じる。

母、彼氏、友だち、仕事仲間、それぞれとあちこちへ訪れた思い出が綴ってあり「誰かと」たびをする良さを思い出させてくれる。

著者は他のエッセイでも度々両親について書いていて、自分と家族について思いを馳せるきっかけをくれる。

母と旅行できる時間って、思いの外わずかなんだよな。そういう現実に切なくなると同時に、私も母とたびをしたいと強く思う。遠くなくたっていい、一緒に行ければそれでいい。


好きな本の話をする機会が重なって、自分が本を通じてたびをしていることを実感したので今回まとめてみました。

いろいろなたびがあって、どんなたびも自分の一部になるように思います。よき本との出会い、よきたびの時間をだいじにしていければ、この上なく幸せなんじゃないか。そんな風に思います。


20230226 Written by NARUKURU

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