シナリオのおもしろさはワンピース第1話に学べ!
こんばんは。なるぴーです。
ゴールデンウィークも折り返し地点を過ぎました。
このままでは、社会復帰が困難になりそうなので、考えていることをアウトプットします。
本日のテーマは「マンガのおもしろい」について考えてみることにしました。
なぜかというと実家にワンピースがあり読み返してみたからです。
いま11巻で『ローグタウン』あたりです。
さて、自分がその分野に詳しくないと漠然と「おもしろかった」というワードで終わってしまいがちです。その点で専門家とはより見えている世界を細分化し言語化できることなのかもしれません。
コンテンツの消費者でいるのであれば、「おもしろかった!以上。」でいいのですが生産者側に回るのであれば、この「おもしろさ」がなんなのか?
がわかる方が自身の企画力やおもしろさの再現性を高めるうえでベターです。
では、いつも通りみていきましょう。
前回の復習
ゲームのシナリオ初心者がまずは書けるようになるには、
①概念を学ぶために「脚本術」を学ぶ
②担当する案件のテイスト(要素と構造)を学ぶ
③マンガの第一話に学ぶ
④とにかく書いて、見てもらって、また書いてみるを繰り返す
をやるとよさそうという記事を書きました。
ただ、③について詳しく述べられていませんでした。
なので今回はこれを取り扱います。
本日のテーマ
ワンピース第1話のおもしろさを言語化できるようになろう
オススメの読者
シナリオを書いたことがない初級者の方
マンガのおもしろさを考えたい方
教材
今回取り扱いのは『ワンピース』の第1話を教材にします。
なぜ、『ワンピース』かというと一番売れているからです。
第1話はこちらで無料で読めます。いい時代です。
https://shonenjumpplus.com/episode/10833519556325021794
おもしろさとは何ぞや
おもしろさ、の話しに入る前にそもそも「おもしろい」とは何かを簡単に考えます。
コトバンクの定義によれば「興味をそそられて、心が引かれるさま。興味深い」とのこと。
興味をそそられるには、知りたい/見たいと思わせるように心を動かすこと。
心を動かすには、そのシーンから「感情」を受けること。
なので、感情がジグザグと激しく動けばそれだけ、おもしろくなるでは?理論です。
60分に1回の感情の変化、よりも3分に1回感情変化、の方がたぶんおもしろいはず。
今回はその観点で1話を見てみましょう。
では一度、1話を読んでからまた会いましょう。
読んでね
読んだかな?
本当に読んでね?
信じてるよ!
では構造化してみよう
はい、いかがでしたか?
数年ぶりに読んだ方も多いのではないでしょうか。
でも、やっぱり"おもしろ"かったのではないかと思います。
ここではなぜそう思ったのか、を考えるための切り口として
各シーンごとに、感情のメリハリを「緊張」と「緩和」の観点で見ていこうと思います。
それぞれのざっくり定義は、
緊張は、驚きや怒り、悲しみ、ひどいといった激しい感情
緩和は、笑いや喜び、楽しいといった穏やかな感情
とします。
シーン別・感情の緊張&緩和
●シーン①:ココヤシ村
☆緩和:村の平和なシーン
★緊張:ルフィがほっぺたにナイフを刺す
●シーン②:酒場
☆緩和:酒場でルフィの勇気を称えて乾杯する。マキノさんに宝払いで食事を頼む
※関係性:ルフィとシャンクス。シャンクスがルフィをバカにする
※伏線 :パンチがピストルのように強い
★緊張:山賊登場。シャンクスは酒をかけられる
☆緩和:船長がハデに酒をかけられたことを笑う部下たち
★緊張:やられっぱなしのシャンクスを怒鳴るルフィ
☆緩和:ルフィをいさめるシャンクス。腕をつかむとルフィの腕が伸びる(ゴム人間!)
★緊張:ルフィの食べた実は悪魔の実で、一生泳げないカラダになることを知る
●シーン③:日常へ戻る
☆緩和:ゴム人間になったことを受け入れるルフィ。酒場でマキノさんと雑談です
★緊張:山賊たちがまた酒を飲みにやってくる
●シーン④:山賊との争い
★緊張:ルフィが大変!とマキノさんが助けを求める
★緊張:ルフィと山賊の争い。山賊にボコボコにされる
☆緩和:シャンクス登場。パンチがピストルのように強いんじゃなかったのか?とルフィを煽るシャンクス
★緊張:銃で撃たれる山賊の手下。山賊を蹴散らすシャンクスの幹部たち。
※関係性の変化:シャンクスのセリフ「友達を傷つけるやつは許さない」
☆緩和:山賊の煙幕でルフィが連れていかれる、シャンクスは「どうしよう!みんな!」と激しく動揺する
●シーン⑤:誘拐されるルフィ
★緊張:山賊に小舟で連れていかれたルフィ。山賊に蹴られて海へ落ちる(泳げない!)
★緊張:走馬燈のように思い出
★緊張:海王類登場。山賊は一瞬で喰われる
★緊張:次のターゲットはルフィ。ルフィも食べられるかと思いきや、シャンクス登場「失せろ」と海王類を睨みで退散させる
☆緩和:シャンクスがルフィに声かけ。おだやかなトーンで「恩に着るよ」と。
★緊張:シャンクスの腕は、ルフィを助ける際に海王類に食いちぎられた
●シーン⑥:シャンクスの出航
☆緩和:海賊になると宣言するルフィ。しかし「無理だ」と笑うシャンクス
★緊張:シャンクスが大切なものである「麦わら帽子」を預ける
●シーン⑦:ルフィの出航
☆緩和:おだやかな出航のシーン
★緊張:海王類の登場。ルフィは10年間鍛えたパンチ「ゴムゴムのピストル」一発で仕留める
そして最後に「海賊王のおれはなる!」
はい、いかがでしたか?
約50ページの中にこれだけの情報が詰まっていました。
特にシーン⑤部分で感情を揺さぶられた方が多いのではないでしょうか。
それは、前半から後半になるにつれて感情の波が「大きく」「多く」なっていたからだと考えています。
また、その感情をより大きく受け取るには「関係性」というのも一役買っているようです。
たとえば、ここでシーン⑤のおぼれたルフィを助けたのがシャンクスではなく「名もなき村人A」であれば
腕を失ったことにここまでショックを覚えないと思います。
これはルフィをシャンクスが強い関係性であることを事前に描いていたからです。
まとめ
では、まとめです。
おもしろさを出すには、
・感情の波を「大きく」「多く」するには緊張と緩和を織り交ぜることが必要
・その感情の波を受けとるには、関係性を描いてあることが必要
上記がまずは必要となりそうです。
他の話数でどうなっているか、他のマンガだとどうなっているかを見てみるのもおもしろそうです。
私も引き続き、やっていきます。
また、上記以外も観点もあるでしょう。
気づいた点、オススメのマンガがあればぜひコメントもお願いします!
それでは現場からは以上です。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました! サポート頂いた分は、新しい記事を作成時の参考書籍や、 勉強代に充てさせてもらう予定です。