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【大阪浮世絵美術館】本物の浮世絵を間近で堪能できる場所!

2019年にオープンした穴場、大阪浮世絵美術館

大阪府で日本文化を楽しめる場所を調べて見つけたのが、3年前にオープンした「大阪浮世絵美術館」。心斎橋駅から徒歩5分で心斎橋筋商店街の通り沿いにある。雨でもぬれずに行くことができる。

ビルを3階まで階段で上がると美術館の入口がある。こじんまりとしたフロアーに60作近い本物の「浮世絵」が飾られており、間近でじっくり見ることができる。希望すれば受付でルーペを借りられる。

スタッフの方に確認したところ、半年に1度テーマを変えて展示作品が変わるそうだ。毎回展示される作品もあれば、まだ一度も展示していない作品もあり、私のような浮世絵ファンは半年に1度足を運ぶことになりそうだ。

大阪浮世絵美術館がある不二家心斎橋ビル(心斎橋筋)の入口
入口の様子(左手の自動扉の向こう側が美術館)

浮世絵って何?ー浮世絵の歴史ー

浮世絵は16世紀後半に京都の庶民生活を描くことで始まったといわれている。浮世絵を通じて江戸時代の庶民生活のリアルを見られることに、まず感動した。

後に、浮世絵は18世紀に江戸で流行し大衆文化として広まった。「美人画」「役者絵」「風景画」「風俗画(日常生活)」など様々なジャンルがある。多くは木版画として大量に刷られ、安価だったので庶民の間で流行した。庶民がお気に入りの1枚を購入し、部屋に大切に飾っていた様子を想像する。

日本の浮世絵は19世紀後半にヨーロッパに渡り、美術界に大きな衝撃を与えた。当時、写真が発明されて写実的絵画の意義が失われつつあり、画家たちが新たな技法を模索した時期だった。浮世絵の大胆な構図、平面的な表現、輪郭線の使用などは、モネやルノワールに代表される「印象派の誕生」に大きく影響したそうだ。

人生で初めて浮世絵を観た印象

受付で受け取った作品リストを確認しつつ、ひとつずつ丁寧に味わいながら、見て回った。絵師名、作品名、制作年を確認しながら、じーっと細かいところまで見入る。

全作品を通じて「絵が細かい!」「色がきれい!」「美しい!」「構図が面白い!」「絵にストーリーを感じる!」というのが、人生で初めて本物の浮世絵を観た印象だった。

作品ひとつひとつの前で「こんなにも美しく緻密な美術の世界があるんだ」と息をのんだ。今まで日本や海外で絵画を鑑賞した中で、ここまで胸が熱くなるのは初めてだった。

世界に知られる葛飾北斎の「冨岳三十六景」

今回観た中で感激したのは、葛飾北斎の冨岳三十六景「神奈川沖浪裏」という作品。手前に大きな波が描かれ、遠景に富士山が見える。とても有名な風景画で、Tシャツとかにプリントして売られたりもしている。見れば見るほど水しぶきが細かく、その構図から、写真を撮るよりも波の大きさや荒さが伝わってくる。

浮世絵美術館のパンフレットによると、葛飾北斎は1760年に東京都の墨田区に生まれ、90歳の生涯を閉じるまでに約3万点を超える作品を発表した。代表作が「冨岳三十六景」「北斎漫画」などで、大胆な構図の風景画、人々の暮らしや世相、四季折々の花鳥風月などの作品を残した。

1998年にアメリカの雑誌「ライフ」で「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に日本人で唯一ランクインしており、世界中で葛飾北斎の名と作品が知られている。

葛飾北斎の作品を観ると、構図や絵の細かい表現などの美術的な感動にあわせて、200年の時を超えて当時の日本の風景や庶民生活の様子を知ることができ、昔の日本を正確に知る記録資料としても大変価値があると確信した。

葛飾北斎の冨岳三十六景「神奈川沖浪裏」(撮影OKの模写)

浮世絵の中にみられるユーモア

同じく浮世絵師として有名な歌川広重の「東海道五十三次」は、観ていて面白かった。例えば「御油(ごゆ)旅人留女」という作品では、宿の女性スタッフが旅人を自分の宿に泊まらせようと、背負っている荷物ごと強引に引っ張っている。古今東西であるあるの客引きの場面に思わず苦笑した。

他にも、「浜松 冬枯ノ図」では、旅人たちが旅路の途中で焚火をして休憩しているところで、一人の男性が着物をまくり上げてふんどしを巻いたお尻を突き出し、焚火にあてて暖を取っていた。着物が薄かったので、冬場にお尻が冷えたのだろう。手ではなくお尻を焚火にあてている旅人を見て、200年の時を超えて思わず笑ってしまった。

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【今回の訪問先:大阪浮世絵美術館のホームページ】
大阪浮世絵美術館の公式サイト (osaka-ukiyoe-museum.com)







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