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歩いているといろいろ考える

 そういう意味では、とても不思議な気分であった。

 慣れ親しんだ道ではあったものの、見えるものも違えば、それを受けて感じるものも、まったく違う。

 改めて、世界は何一つ同じことなんてない、と。そんなことを思える。そんな気分であった。

 たぶん‥‥本当に、たぶん、という言葉を使いたくなるけれど、散歩というものが一番、世界に触れられる時間なのであろう。

 同じ道、たとえ同じ時間であっても、なぜこうにも違う景色を見せてくれるものなのか。

 その理由はまったくもってわからない。

 いや、わからなくても、いいのかもしれない。

 わからない、から、考えみる、考えようとしてみる、そんな気持ちが湧いてくる。そう、だから、

 歩いていると、いろんなことを考えてしまう。

 それは見える景色のせいもあるだろう。
 ゆったり流れる時間のせいもあるだろう。

 ごちゃごちゃとしてしまうときもある。
 うまくまとまるときだってある。

 一見、時間のかかる、無駄にも思える時間の中に、答えが潜んでいたりする。

 本来、何かを感じ入ること、というのは、時間のかかるものなのであろう。

 歩く、というそのペースに、もしかしたら、合っているのかもしれない。考える、ということ。感じる、ということ。世界に触れる、その、速度。

 私は今日も、なんとも言い表せない感情の渦巻く気分の中、こうして歩きながら何がつかめるのだろうか。それは何かの答えなのかしら、それとも感覚的なものなのかしら。あぁ、そんなことさえ、次々に湧いてくる。

 そうして、私は、さまざまめぐる思考の闇に静かに飲みこまれ……いっそのこと、そう思いつきながら そっと 目を閉じて、みた。

いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。