終わらない夏【詩】
寒くなってきたねと腕を組んで、偉そうにして、
身体を丸めていると少し暖かく感じる。
ビルの上から振り下ろされた強い風が、二人の間を割って入ってくるようで、触れかけた指先がまたかけ離れていく。
立ち寄ったコンビニで買った肉まんが温かすぎて、おれは少し恨めしく思うけど、一緒に買った氷菓でリセットされるのは策士だろうか。
寒い日に食べるアイスも悪くないねと、真顔で君が放った言葉が少し熱を帯びていた。
夏が始まる頃に約束した。
今年は花火たくさんやりたいねって。
一回きりの花火、写真には残っていない。
まだまだ夏は終わってないって笑うから。
リベンジの花火をしよう。
夏の終わりに机の中に仕舞った線香花火が、残ってたよって公園の片隅で、淡く炎に揺らされて、火照った顔を隠していく。
やっぱり寒いねって手を差し伸べた。
終わらない夏。
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