エアーズロックトレイル 8miles -6- 終わり!
ウルルでの壮大な体験、今回でようやく終了します…
朝日が昇るのを見届けた後、私たちは駐車スペースのある広場に辿り着いた。歩き始めて約3時間、ガイドの男性が私たちの到着に備えてフルーツとスナックを用意してくれていた。ここで一旦小休憩。
ここからさらに数時間歩くので、出発前に水を補充する。
地上に伸びた管から出る水をペットボトルに詰める。スイスの女性が一口水を飲んで一言。
「Taste like nature…」
なんだかいい響き。ペットボトルの水に慣れている私たちにとっては、少し土っぽくて鉄っぽい、まさに自然の味がする水だった。
トレイル再開。ここからはガイドも同行してエアーズロックの違う表情を見に行く。アボリジニが儀式で使っていた穴、住居にしていた穴、岩壁に書かれている文字や絵を見ながらこの大きな岩とともに生活していた人たちの歴史を知った。
岩の窪みが深い部分には「ムティジュルの泉」がある。ワンナビという虹色のヘビがこの泉を守っており、どんな干ばつが来ても枯れないのだそう。乾いた土地に急に現れる水場にこちらまで潤いを与えてもらえるようで、とても美しかった。
休憩がてら泉の前にあるベンチに座ってペットボトルの蓋を開けたら、手が滑って蓋が泉にポチャンと落ちてしまった。
神聖な泉に人工物のペットボトル(の蓋)…なんてことを!
自分では到底手の届かない場所に落ちてしまい、諦めるしかないと思っていたら、ドイツ人高校生男子が大地に寝そべって、長い手足を使って器用に蓋を救出してくれた。頼もしい…!
その場は外国人観光客で溢れていて、皆が一瞥して通り過ぎていったのに、何の躊躇もなく動いてくれた彼はめちゃくちゃかっこよかった。服だって汚れちゃうのに。優しさが身に沁みた。
いわゆる「これぞエアーズロック!」という海外旅行のパンフレットに掲載されている写真はあくまでもエアーズロックのほんの一部で、知れば知るほどいろんな表情があった。
水場には緑も生い茂り、至るところに先住民の名残りがあり、ゴツゴツやスベスベの岩肌と色の違いもあった。
人間だっておんなじだ。他人から見えるのはあくまでも一部で、ぐるっとじっくりとその人のことをちゃんと見れば、いろんな面があることがわかるし、全てひっくるめてその人自身なのだ。
光と影、どちらも合わさって一人の人間が存在する。だから一方だけをよく見せようと考えなくてもいいんだよな。
偉大な一枚岩を擬人化しながらそんなことを考えていた。
長い長いお散歩が終了して、私たちは再びキャンプ場へ。ランチを食べてパッキングして、それぞれの帰路につくことになった。
他の5人はまだウルルに滞在するらしく、私は午後のフライトでシドニーへ向かった。短かったけどとっても濃い時間を過ごせた2日間。同じパーティーのメンバーと話すことでいろんな価値観を得られたし、ひとりじゃなくてよかった。
壮大なウルルの大地で痛感した自分の小ささと愚かさ。
そして「まだ大丈夫だよ」と言われているようで、根拠のない自信がついた気がした。
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