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エアーズロックトレイル 8mile -2-

ウルル カタ・ジュタ国立公園の中に入った私たちは、ガイドの案内でカタ・ジュタへ向かった。

カタ・ジュタ(オルガ山)は大小36の巨大な岩が群れとなっている場所で、アボリジニにとっての聖地の一つ。その岩の群れのあいだを歩くショートトレイル。

真冬の風は冷たいけれど、太陽が近く感じられるからか、体を縮めて歩くほどではない快適な寒さ。体感温度は5℃くらい。

目の前にある大きな岩と岩のあいだを進む

岩のあいだを抜ける風を全身で受け止めながら前に進んでいく。地面も岩に繋がっているかのようなゴツゴツとした感触で、ところどころ穴が開いている場所には、人工で造られた小さな橋が渡っている。

遠近感がわからなくなるような岩がたくさん

Google Mapで人型のアイコンを自在に動かして、行きたいところにポンっと降ろしたような。その人型が自分自身で、この壮大すぎる大地にポンっと落とされたような感覚。人間のちっぽけさや自然の偉大さが全身を貫いて、言葉を失った。

元を辿れば、この大地も草木もここにいる人間も全部、原子やら分子の集まりで、何の変わりもないのだろう。地球に存在するすべての源は同じ。
壮大な大地に降り立ったら、考え方や価値観が地球規模になっていた。

岩を見上げているのか岩に見下ろされているのか

岩肌は穴が空いていたり、雨でできたシミの跡や陰影がくっきり。口をあんぐり開けてじーっと眺めていたら、スイス人の女性が「写真撮ってあげるよ」と言ってくれて、私が持参していた一眼レフで撮影が始まった。

ちっぽけな人間と収まりきれない岩

ちっぽけすぎて、顔なんて認識できない。
岩の近くまで寄ってみると、岩肌はザラザラとして硬く、誰かがその岩を削ろうとしても動じないほどたくましかった。

空と大地と岩だけ
ずーっと向こうまで見渡せる景色

私の悩みも、世界で起こる争いも、醜い戦いも、この景色を目にすると太刀打ちできないほど陳腐でお粗末なものに感じられる。
ここに来て、気持ちが浄化されていくような気がした。

ショートトレイルを終えた私たちは、エアーズロックのサンセットを見るために、再びバスに乗り込んだ。

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