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中東飯、シリアの食卓

私は今、無性にうずうずしている。なぜならカフェバグダッドさんのこんな素敵な投稿を見てしまったからだ。

今すぐまた中東方面に飛んで行きたい衝動に駆られつつ、私も昨年滞在していたシリアのご飯を紹介してみたいと思う。

カフェバグダッドさんの投稿の中でも紹介されていた「チーキョフテ」、トルコ国境の街であるコバニの友人は”チーク”と呼んでいた。羊や牛の生肉を挽き割りの小麦などと混ぜ合わせたもの。食感自体は日本の練り物にしている。コバニで食べたものはかなりスパイスが効いていて、オリーブオイルを少し混ぜながら辛さを調整して食べていた。これは一口食べた瞬間に恋に落ち、毎日「チーク」を連呼していたのを思い出す。


(これは北東部の街、カミシリで食べたおしゃれな”チーク”)

昨年3月に訪れた時、村人たちはちょうどクルドのお正月にあたる「ノウルーズ」の準備をはじめていた。祝日になると街はずれの広場には、羊マーケットが出現。羊たちは車のトランクにすっぽり収まって売られていく。


(気さくに声をかけて下さった羊マーケットの兄さま方)

(取材途中で立ち寄った街中のケバブ屋さん)

取材の合間、軽食の定番はこのファラーフェル、ひよこ豆のコロッケだ。安価である上に、腹持ちもよい。夢中で頬張っていると、お店の方々が次々と揚げたてをお皿に加えてくれた。

ちなみにシリア滞在中、基本的にホテルには泊まっていない、というよりも泊めさせてもらえない。なぜなら「俺の家があるのに何でうちに泊まらないんだ」と方々から声をかけてもらうからだ。「俺の家はお前の家。お前の家はお前の家」。いつか日本のアニメのボスキャラがよく口にしていた言葉の真逆を行く哲学だ。

お家で頂いた夕食。羊肉の煮込みとご飯、塩味の効いたヨーグルトドリンクもたまらない。ちなみに生のねぎはこのままバリバリと食べる。

これは取材でお邪魔したお家。「やっぱり家庭菜園が一番よね」とお庭の野菜をその場でむしゃむしゃ食べるママさん。ちなみにここはママさん宅ではない。お隣の人の家だ。まさに「俺の家はお前の家。お前の家はお前の家」方式が浸透している。

カミシリの野菜マーケット。今年は雨が少ない、とぼやきながらも、市場には瑞々しい野菜がずらりと並んでいた。少しずつ、日常が取り戻される足音が聞こえる。ただ情勢はいまだ不安定でもあり、安心してご飯を食べることができる時間がいかに尊いか、取材をしながら噛みしめる。

実は東京にも、シリア料理、クルド料理のお店がある。お邪魔して懐かしい食事に手を伸ばすと、必ずと言っていいほどシリアで一緒に食卓を囲んだ人々の顔が浮かぶ。食事は単に体の健康を保つだけではなく、そこに詰まった思い出まで呼び起こす、心の栄養の源なのだと思う。

(ずっと泊めて頂いたお家のご飯。レンズマメのスープも最高だった。)

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