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Day Six | 一瞬の美しさは実は、日常にありふれている。ちゃんと気付いてあげられるだけの洞察力を私は私に付けてあげたい

夏休み6日目。

朝から散歩に出かけた。

家の前の石の階段を登る。

振り返れば、私の登ってきた階段を、洗濯物を抱えながら下ってゆく人がいた。

港へ向かう。

私の知らない誰かに忘れられてしまった者たち。

橋を渡って

猫と出会う。

どこかに行けることを待ちわびている者がいて

例えば、閉ざされてしまったかもしれない者もいる。

向かう側の景色を私はまだ知らない。

心地良いくらいに、揺れる者たち。

ここまできて私はどこまで歩いてきたのか

分からなくなってしまったけれども。

結局は自分自身の現在位置を確認して、
目的を設定して
また歩いて行く。

赤煉瓦の建物の横を通り過ぎる。


行きたかった喫茶店に入って、喫茶店だから
ちゃんとコーヒーを飲みたかったのだけれども、暑くて暑くて
誘惑に負けてしまった。

グラスの中で上がってゆくジンジャーエールの炭酸を見ながら、ああ、綺麗だなあなんて指でなぞりながら
2通の手紙を書いた。


1人は東京の人で、1人はこの場所の人だった。

彼女とはいつ会えるのか分からないから
いつ読んでも良いような
そんな手紙を書いた。

書いた内容はもう一部分しか覚えていない。

その日はご飯を食べて、家に帰り、本を読んで、ほとんど寝て過ごした。

こんなに寝たのはいつ振りだろうとか夢うつつに思う。

夜は、少しドライブをして、海を見に行って、潮が満ちていて少し怖いねなんて言いながら

でも、

悲しい時に今日見た景色を思い出せたら、心が穏やかでいるような気がした。


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