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Day Five | 想い出、足を運んだ自分自身が“好きな場所”を勝手に“居場所”にした

私には沢山の好きな場所がある。

それは都内にも、地元にも。
本当に沢山ある。

好きにも種類が沢山あるかもしれないが、

“好きで、そして居心地の良い場所”と言われたら
どんな場所が出てくるだろうか。

私が真っ先に浮かぶのが

大学時代を過ごしたアトリエだったり
もう無くなってしまった行きつけの喫茶店だっり
見えない先に不安になりながら勉強をしていたあのラウンジだったり
お弁当を広げて寝そべった芝生や
誰かと一緒に行った美術館だったりする。


今日は図書館は行った。

車を走らせて、1時間ちょっと、少し遠い場所だった。

“都城”

地名が美しいというだけで
なんだか幸せな気持ちになる。
読み方はみやこじょう、じゃなくて
みやこ“の”じょう
のが、付いているのが素敵、なんて
音楽を流しながら、2人で話していた。

「好きそうだから」
と選んでくれた場所が
図書館で少し嬉しくなる。


自動ドアが開いて

上を見上げたら、とても大きな、綺麗な天窓があった。

もちろん、周りに照明はあるのだけれども
それだけでは無い、温かい明るさ。


積み木のように重ねられた本棚(つみ木箱)
真っ直ぐに長い雑誌コーナー
大きくカーブした本棚
「おべんとうコーナー」と書かれている看板
ハンコになっている索引コーナー

一通り、案内をしてくれて彼は仕事を、私は案内の時から心待ちにしていた念願の自由時間を手に入れた。


私は中学最後の夏休み、土日は地元の小さな図書館に通っていた。


汗だくになる前、まだ涼しい朝に自転車を走らせて、お母さんの作ってくれたお弁当と休憩時間に読む小説を借りて
学習室で朝から夕方まで問題集を解いていた。


私にとって図書館といえば、その思い出がある。知り合いに会いたいような会いたくないような、もしも合ったら休憩時間に話したいけれども迷惑かなと迷ったりする。

沢山の本と、知らない誰かと、時々会う同級生に囲まれていた、小さな図書館。


小説を一冊開きながら、窓際の椅子に座った。

沢山の椅子が並ぶ広々としたこの場所では、みんな下を向き本を開いているから、誰とも目は合わない。


私の地元にもこんな綺麗な場所が
欲しかったな、なんて思いながら
でもそれとは別の愛着を持っている
あの図書館を思い出した。


ここが“私にとって居心地が良い場所”

になるためには
もう少し、きっと時間がかかる。
遠く離れたこの場所に
次にいつ来るかなんて分からないけれども。


それでも、遠くから子供の笑い声が時々聞こえる広くて明るいこの場所は、私にとって好き場所になった。

また訪れた時も、また私はあの地元の図書館を思い出すと思う。
建物の規模も、お洒落さも敵わないあの場所は、遠く離れた場所で、私のことを惹きつける。


真っ直ぐに机に向かって勉強をしている学生

ノートに突っ伏して居眠りをする学生

傍らに何冊も本を積んでいる熱心な人

キッズスペースではしゃぐ子供

丸テーブルで静かに会話をする若いカップル

真剣に本棚から本を選んでいる人

手を繋いで階段を上る親子


この人たちも、いつか私みたいに遠く離れた場所で、この場所に想いを馳せるのかもしれない。

そして何かのきっかけがリンクしたら私は、この場所で過ごした小説とともに、今の景色を思い出すと思う。

好きな場所はこれからどんどん増えてゆく。

そのたびにいつかの好きだった場所が居心地の良い場所に変化してゆくのも実感してゆくのかもしれない。

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