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SとM

 今日もまた佐藤チーフが松崎社員を自席に呼びつけて叱っていた。
「あなたいったい何回言ったらわかるのよ!同じミスを何回繰り返せば気が済むのよ!いったいあなた今までまともな仕事したことあるの?この会社に入る前は何やってたのよ!あなた幾つなの?私よりも一回り年上でしょ!もうちょっと自分の仕事について自覚を持ちなさいよ!それとさっき書いてもらった謝罪文ですけどね、あの文章でまともに……」
 松崎は自分より遥かに若い女上司の佐藤チーフの叱責を受けながらひたすら縮こまってペコペコと謝っている。顔は真っ赤で今にも泣き出してしまいそうだった。そんな彼らを見ていた同僚達は公然の場で怒鳴られているしょぼくれた中年男の松崎社員を哀れんでいた。彼らは「ひどいよね、あれ」とか「思いっきりパワハラじゃん!」とかひそひそ話をしていたが、松崎の隣の席の女性社員の南田はたまらず立ち上がり、中谷課長のデスクまで歩いて行ってこう訴えた。
「今まで我慢してきたけどもう耐えられません!佐藤チーフをなんとかしてください!いつもいつも松崎さんをみんなの見てる前で罵倒したりして!この会社には本当にコンプライアンス意識はあるんですか?先月やったコンプライアンス研修はなんだったんですか!」
 南田社員の訴えを聞いていた中谷課長は何故か額に手を当てて困ったような表情を見せた。そしてウーンとため息をついて南田に言った。
「君の意見は承知した。あの二人にちゃんと言っとくよ」
「なぜ、松崎さんも含めるんですか?一方的に罵倒しているのは佐藤チーフじゃないですか?」
「しかしね……いや、こういう問題は当事者じゃないと理解できない事があるんだよ。だから片方じゃなくてもう片方の意見も聞かなくちゃいけない。うん、君の意見は参考になった。これから適切に対処する」
 南田は課長の何かを濁した態度に納得のいかないものを感じたが、同僚たちのこちらを見ている視線が気になったので、とりあえずは経過を見てみようと思い課長に一礼して自席に戻ろうとしたが、その時佐藤チーフの席の方を向くと、すでに説教は終わっているようで佐藤チーフは黙々とPCを打っていた。そして松崎社員の方も仕事に戻っていそいそとコピーを撮っていた。

 松崎が席に戻ってくると、南田は早速さっきの佐藤との出来事について聞いた。しかし松崎は何も言わない。ただいつものように微笑するだけだ。その松崎のなんとも言えない態度にイラッときた南田は、さっき課長に、佐藤チーフに松崎への態度を改めさせるよう訴えた事を話した。それを聞いた途端、松崎は急に笑顔を強張らせ、いかにも困った表情で頭を掻き始めた。「松崎さん、大丈夫ですよ!何も心配することないですよ!私こういうことはもっと早く言うべきだったと思ってるんです!全く佐藤チーフの松崎さんへの対応は度が過ぎてますよ!普通の会社だったら、とっくに問題化してますよ!」
 その南田の言葉を聞いた松崎は、お礼がわりにうなずいて、いつもの苦笑いを見せた。

 しばらくすると、課長が松崎の席にやってきて、少し時間いいですか?と言っているのが聞こえたので、南田は仕事の手を止め、松崎の方を見た。呼ばれた松崎は慌ててノートパソコンを閉じ、そこ横で課長がそんなに慌てなくてもいいと、なだめていた。そして松崎と課長から少し離れたところに佐藤チーフが立っている。どうやら二人を待っているようだ。南田社員がそれに気づいた瞬間、移動の準備が終わった松崎社員が立ち上がり、課長は松崎と佐藤に「じゃあ行きましょうか」と連れだって出かけていった。課長と佐藤が並んで歩き、松崎は二人の後ろをうつむき加減でついていく。南田はその光景を見て腹が立って来るのを抑えられなかった。彼女は思わず大声でこう言ってしまった。
「ちょっと、あれどういうつもり?松崎さんに何言うつもりなのよ!」
 それを聞いた周りの同僚が慌てて彼女を呼び、彼女も周りの視線を感じて口元を抑えて黙り込んだ。
 しばらくすると松崎がこちらに帰ってきた。南田は大丈夫かと松崎を心配して見たが、その時松崎と丁度目が合った。松崎は彼女を見るといつもの微笑で応えた。


 退社後、南田と同僚たちは定例の飲み会をやるために駅前の居酒屋に集まった。松崎にも来てもらうよう誘いをかけたが、彼は会社の人事で行われる飲み会以外はほとんど参加しない人間なので、今回も丁重にお断りされた。いつもだったら互いのプライベートのことなどいろいろ話すのだが、今回は最初から例の佐藤チーフと松崎の話題になった。
「佐藤のやつ今日も酷かったよね。なにあの態度。あの女らウチらをなんだと思ってるわけ?」
「ハハハ、今日は一段と激しかったよなアイツ!でさぁ、南田」
 と男性社員の真中が南田に話を振ってきた。
「お前、佐藤チーフのこと課長に言ったんだって?誰かが話してるの俺聞いたぞ!」
 突然話を振られた南田は驚きのあまりに震わせたが、一息置いてから口を開いた。
「だって、あれ酷かったじゃん!毎日毎日さぁ、宮崎さんをあんなにいぢめて!」
「まぁね」と真中が答え、続けて言った。
「でも、彼女は俺らの直属の上司なんだし、いくら怒ってもあんなあからさまにいうのは良くないと俺は思うんだよ。下手したらお前にとばっちりがくるぜ!」
「来てもらおうじゃない!そしたらこっちからやめてやるから!」
「おおっ!勇気あるねえ!だけどその勇気は心の中にしまっておけよホントに!」
「人のことをからかわないでよ!」
 南田はそう吐き捨てるなり、目の前にあったジョッキを持ってビールを一気飲みしてしまった。すると同僚たちがすげえと歓声とともに一斉に拍手を始めた。
「ところでさあ」とみんなが落ち着いた頃を見計らって古株の女性社員の名嘉が話を切り出した。
「あの佐藤と松崎さんって結構長い関係なのよね。多分同期だったと思うけど」
「えっ!同期って……?」と南田たちが一斉に驚いて名嘉を見た。
「彼女と松崎さんじゃ全然年齢違うじゃん!」
「そうなんだけど、会社に入ったのは一緒なのよ。佐藤が新卒で、松崎さんが中途採用でさ。まあ初めは社会経験のある松崎さんが佐藤にいろいろ教えてたみたいだけど、そのうち佐藤がだんだん出世していってさあ~!それからだよ!佐藤が露骨に松崎さんを見下すようになったのは!」
「さすがお局様は違うねえ~!何でも知ってるんだなあ~!」
「真中くんあんまり人をからかうとぶっ飛ばすわよ!」
「サーセン!で、名嘉さん、佐藤と松崎さんについて知ってることってそれだけですか?もっといろんな事知ってるでしょ?」
「何アンタそんなにあの二人に興味があるの?私だってこれぐらいしか知らないわよ!松崎さんはあのとおりなんにも言わないし、佐藤となんかロクに話もしたことないんだから!……でもひとつあったなすっごいくだらないことだけど」
「なんすかそれ?」
「あの二人同じ南北線で会社に通ってるのよ。まあそれを知ったどっかの親父の同僚が、佐藤がSOUTHの『S』で松崎さんが南の『M』で、二人の名前の頭文字もそれぞれ『S』と『M』だからホントにSMだね、とかくだらないオヤジギャグ言って大笑いしててさあ。確かに考えてみてばそのまんまだよね」
「うわあ、まじツボに入った!SMですよそれ!」
 南田は同僚が松崎を笑いものにするのが許せなかった。だから酔った勢いも手伝って飲んだばかりのジョッキをテーブルに叩きつけて同僚たちを怒鳴りつけてやった。
「あなた達松崎さんをなんだと思ってるの?笑いものにして恥ずかしくないの?」
 南田の一喝に驚いた同僚たちは一斉に彼女をなだめ、そしてヤケクソでさらにジョッキにビールを注ごうとする南田を慌てて止めたのだった。


 その翌日、南田が会社に来て自分の席に座ろうとしたのだが、ふと隣を見ると、いつも先に出勤して座っているはずのいるはずの松崎がいないではないか。一瞬彼女は松崎が休みかと思ってシフト表を確認したが、松崎は出勤になっている。だとしたら電車の事故かなんかで遅刻なのかもと思ったが、南北線を使っている他の同僚は来ているので事故が起こったわけでもないようだ。やがて佐藤チーフが来て、松崎の席に一瞥をくれたが、その時南田を目があった。佐藤は南田に挨拶したが、南田は冷たい目で自分を見るとソッポを向いたので、顔を背けて自分の席へ向かった。
 しかし始業時刻になっても松崎は来なかった。無遅刻無欠勤の松崎が連絡もなしに欠勤するということはちょっとした事件であり、みんな口々に松崎の事を噂しあっていた。南田の近くの真中と名嘉は南田をちらりとみて黙り込んだ。南田はチーフ席の佐藤を見て、やっぱり昨日の説教のせいで松崎さんはショックを受けて会社に来なくなっんだと思った。彼女は本気で松崎が心配になり、ああいう性格だから悩みなんか誰にも話さないはずだ。そして一人で過剰にストレスを溜め込んで、それが今日でとうとう限界に来て爆発してしまったのかもしれないと思い、最悪の事態を想像してしまった。彼女は仕事中度々佐藤を睨みつけ、松崎さんに何かあったらあなたのせいよと心の中で彼女を避難した。
 その佐藤も珍しく落ち着かない感じだった。午前中にちょっとしたミスが見つかり課長の中谷に注意されたりしていた。何度か電話をしていたが、それはおそらく松崎にかけていたのだろう。しかし電話の相手は出ることはなく、彼女はすぐに受話器を下ろしていた。

 午後の休憩時間、南田がトイレから出て来た時、佐藤チーフと偶然出くわした。南田は佐藤への怒りが押さえられず、彼女をみるなりきつく睨みつけたが、佐藤はその南田に話しかけて来たのだった。
「あの、南田さん、ちょっと聞きたことがあるんだけど」
「なんですか?何が聞きたんですか?」
 まるで吐き捨てるような南田の言葉にすこし怯んだ佐藤は恐る恐る南田に松崎の事を尋ねた。
「あの……松崎さんの事なんだけど、あなた昨日松崎さんの事をみていて何かおかしいところあった?」
 この言葉に南田は完全に頭にきた。そして佐藤に向かって指を指してあたりに響くほど大声をだして彼女を怒鳴りつけた。
「そんなこと自分が一番知ってるでしょ!あなた昨日松崎さんにどんな酷いこと言ってたかわかってるの!」
 南田の剣幕に恐れをなした佐藤は「ごめんなさいね」と南田に言うと彼女から目を背けてそのままトイレに入っていった。


 翌々日も松崎は来なかった。しかも会社に連絡すらなかった。南田は悪い予感が当たってしまったかとゾッとした。しかし彼女は、きっと松崎さんは精神的に疲れているだけ、いずれ帰ってくるはずと思い直し、仕事を始めた。
 一方佐藤チーフの表情は暗くどうやら仕事も手につかないようで、昨日と同じように電話をかけてはすぐに受話器を下ろしてため息をついていた。誰かが彼女に用件を伝えても生返事するばかりで心ここにあらずのようだった。
 そんな彼女の元に中谷課長が来て、松崎の抱えている案件を早急に処理しなくてはならないので、誰かにやらせてくれと言ってきた。それを聞いた南田が立ち上がり私がやります、と言おうとしたのだが、佐藤が課長に強く「この案件は私が責任を持って処理します!」と言って無理矢理引き取ってしまった。
 どうやら佐藤も松崎の連続の無断欠勤には相当応えたようだ。南田は佐藤を少しだけ可哀想だと思ったが、しかしこれも彼女が招いたことだと思い。そして会社にいない松崎の事を思った。
 やがて就業時間が来て皆帰り支度を始めても佐藤は一人PCに向かったままだった。恐らく松崎の案件を片付けているのだろう。思ったより難案件のようで彼女は必死に頭を抱えて処理していた。社員たちが次々と帰宅してゆく中、南田はその佐藤の姿を見ていたが、流石に彼女が気の毒になり、自分も手伝おうかと佐藤に申し出た。しかし佐藤はきっぱりと断った。
「大丈夫よ。これは大事な案件だから他の人には任せられないの」
 その佐藤の返答にいささか頭にきた南田は佐藤に言い返した。
「だからって一人でやってたら終わるものも終わらないじゃないですか!松崎さんの案件なんでしょ?私も手伝いますよ!」
 南田がそう言った途端だった。佐藤はいきなり立ち上がると南田に向かって怒鳴り出したのだ。
「だから大丈夫だって言ってるじゃない!あなたさっさと帰りなさいよ!この案件は私がやるんだから!」
 佐藤のその剣幕とその震える眼差しが怖くなった南田は大人しく引き下がって佐藤に一礼して謝るとそのまま退出した。


 その次の日だった。南田はどうせ松崎は今日も休みだろうなと思ってオフィスの自席に向かったが、なんとその松崎がとなりにひょっこり座っているではないか。南田は松崎の所に駆け足でよって「今までどうしていたのよ松崎さん、みんな心配していたのよ!」と松崎の思わぬ登場にびっくりして尋ねた。松崎はそれに答えて、自分が食中毒で倒れて病院に担ぎ込まれたこと、しかもその時スマホを家に忘れて会社に電話出来なかった事を話した。それを聞いた南田はなんだ心配して損した!と呆れ果てた。そこに同僚の真中と名嘉がそれ別の意味で心配だからとツッコミを入れた。そして松崎を囲んでしばし談笑していたが、その時南田は松崎が佐藤の席の方に首を向けているのを見た。南田は松崎に声をかけた。「佐藤さんのことが気になるんですか?」松崎はいや、とポツリ呟いた。
 佐藤は始業時刻になっても現れなかった。業務を開始してしばらく経ってから中谷課長は南田と松崎の所に来て佐藤チーフはどうしたんだと聞いてきた。彼は連絡すらないんだよ。と言い、そして松崎に、「さっき言い忘れてたけど、あなたの案件彼女が昨日無事に処理したから、彼女が来たら礼を言っておくんだよ」と言ってその場を去った。それを聞いた松崎は表情が暗くなり急に黙りこくってしまった。南田はその松崎に向かって、あなたが悪いわけではないから安心しろ、と言ったがそれでも松崎の表情は晴れなかった。結局佐藤はその日は会社に来ず、その翌日も来なかった。

 松崎は空になっている佐藤の席を見つめてはため息をつき、仕事にも身が入らなかった。もともと仕事ができない松崎がさらに仕事ができなくてはしょうがない。南田達は、佐藤が来ないのはあなたのせいじゃない、と慰めてなんとか彼が立ち直るようにしようとしたが、松崎はそれでも立ち直らず放心したようにずっとボケッとしていた。
 とうとうそれを見咎めた中谷課長が松崎を呼び出して叱ったが、それでも効果はなかった。
 休憩中に南田は松崎が休憩中に誰かに電話をかけているのを見た。あいにく相手は出なかったようで、松崎はすぐにスマホを切っていた。南田は誰に電話をかけたのだろうと思ったが、松崎が自分に気づくはりさっとその場を去っていったので、バツの悪い気がした。


 佐藤が欠勤してから三日目の朝だった。南田がオフィスに入ると、久しぶりに出勤してきたらしい佐藤チーフが、松崎をいつものように自分の席の前に立たせて、例のようにハイヒールをコツコツと鳴らしながら彼を叱っているではないか。
「なんなの!これは!あなた私が休んでる間何やってたのよ!一からやり直しじゃない!あなた私がいないと何もできないわけ?そりゃそうよねえ?自分の衛生管理さえろくにできないんだから!人をあんなに心配させといと!おかげで私まで胃腸炎にかかっちゃったじゃない!いつもいつも人を心配させといてあなたっ人は!」
 南田はこの佐藤の松崎へ対する罵倒にたまらず二人の元に駆け寄ろうとしたが、何故か中谷課長が止めに入った。その時中谷は、これはあの二人の問題なんだ、とか訳の分からない事を言っていた。

 その後特にトラブルもなく、佐藤も前のように松崎を皆の前で大声で叱る事はなくなり、時折呼び出して小声で叱る程度になったが、何故か叱られたのに松崎は上機嫌であり、佐藤もまた松崎を叱る事が嬉しくてならないようだった。南田はいつものように松崎を心配大丈夫だった?と声をかけたが、松崎は、問題ない問題ないと、笑顔で答えるのだった。


 それから半年後である。終業時刻前に中谷課長が突然みんなに向かって今日は大事なお知らせがあると言い出した。何事かと南田たちも立ち上がると、中谷は佐藤と、そして今も南田の隣にいる松崎を呼び出した。なんだろうかと皆思ったが、中谷の次の言葉を聞いてみんな一斉にひっくり返った。
「実はこの度佐藤さんと松崎さんは結婚することになりました。みんなお祝いしてくれ!」
「えーっ!」とオフィス中大騒ぎになった。中谷は静粛に!と注意し、「じゃあお二人から何か言いたいことはあるかね」と佐藤と松崎に一言を催促した。すると松崎は照れながら、この度はお騒がせしてすみません。これからも私たち二人を見守ってくださいと簡単な挨拶言った。そして中谷は佐藤に話を振ったが、佐藤は頬をすっかり赤く染めモジモジしながらお辞儀をするとオフィスのみんなを見渡してから言った。

「私と松崎の件でこの半年間お騒がせして申し訳ありませんでした。まずそれを心からお詫びします!私は実は松崎をこの会社に入社してからずっと好きでいつかはこうなりたいと思っていました。だけど皆さんご存知の通りこういう性格ですから、なかなか自分の気持ちに素直になれなくて、思わず松崎に対していばらの鞭を叩くように辛く当たるようになってしまったのです!だけど半年前彼が食中毒で倒れた時、皆さんも思ったように私も自分が彼を責めすぎて追い込んでしまったのかと思って自分を責めました。彼に何かあったら私が生きていけない。私はいまこそ自分に素直になるべきだと思って自分の気持ちを伝えようと、会社でも家でも彼に電話をかけ続けました。しかしそのストレスがたたって今度は私が胃腸炎で倒れてしまったのです。そうして私が苦しんでいる時に彼の着信があるのを見て、私は自分が救われたような気がしました。そしてそれから私が仕事に復帰すると、彼は笑顔でこう言ってくれたのです。あなたにいぢめられない日々が辛かった。あなたにいぢめられたくて電話までしてしまったって!この言葉を聞いて私思ったんです。この人は私の全てを受け入れてくれる。わがままさもいぢめ癖も全部!この人こそ生涯を共にできる人だって確信したんです!私、松崎と結婚します!皆さん、これからの私たちを見守ってください!」

 そう言い終わると佐藤は泣き崩れた。するとすかさず松崎がその肩を支えて立ち上がらせる。その時だった。なんと佐藤が立ちあがろうとした時ハイヒールで松崎の靴を踏みつけてしまったのだった。松崎は痛みに耐えられず絶叫してしまった。佐藤は立ち上がるとその松崎をこう言って怒鳴りつけた。
「あなた、こんな大事な席でピーピー泣くんじゃないわよ!これからはもうちょっと強くならなきゃ!あなたはこれからずっと私と暮らしていくんだからね!」




 

 


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