和泉とし

福島県会津地方在住。地球を守ろう。環境文学をテーマにした詩を書いてます。

和泉とし

福島県会津地方在住。地球を守ろう。環境文学をテーマにした詩を書いてます。

最近の記事

【環境文学】魚のお花見

風が吹けば 桜吹雪が ふわっと舞って流れてく 池にはたくさんの 桜の花びらが 花盛りに浮かんでます 今年も桜は終わりねと 寂しい気持ちで歩いてく でも、散った桜は残念と 思っているのは人のこと 魚は何を思うでしょう 浮かんだ満開の桜を見て お花見していることでしょう 温かな陽だまり 魚がお花見してるとこ 私もほとりで眺めてる

    • 【環境文学】プラネタリウム

      子供のころは プラネタリウムを見るのが 楽しみだった 本当の空を見るのが 夢のようにも思えてた 大人になっていくにつれ いつしか 見なくなった プラネタリウム 何に夢中になっていたろう 星空の見えない 屋根の下で 味気ない生活で 何もかも 手放したくなった そしていまは 遠く離れた山奥で 流れ星が こぼれ落ちそうな 満天の星空を眺めてる 人の想像を超える 宇宙の広がり 素晴らしさと美しさ 本当の夜空 子供のころの夢が 目の前に広がっている

      • 【環境文学】農家民宿

        大都会の繁華街 金と欲望で 目まぐるしく動く街 高層ビルのジャングル 小さな空 匿名希望の人々 時間の早さと 忙しく過ぎる日々 ここが私の日常で いまはとある田舎の 農家民宿で 薪で沸かしたお風呂に入って 畑や森の 薄暗い景色を眺めている ゆるやかな時間 こんなに自然に向き合ってる 忙しいだけの人生 本当に このままでいいのかと ふと思ってる いったい豊かさとは何だろう 薪が燃える匂いが 心地よく 体にしみ込んでくる 記憶にはないけど どこか懐かしい感覚 心と体が芯か

        • 【環境文学】熊の爪

          旅先の マタギの里は 楽しかった 山の恵みも美味しかった 温泉も良かった 汽車を待ってる 茅葺き屋根の駅舎の 売店で ふと手に取った 熊の爪のストラップ 魔除けの爪 旅の思い出にと 買って リュックサックに つけてみた 汽車の景色は 山から 田園へと変わり 街になる いつもの日常に戻る そして 今日も満員電車 人々はどこへ行く 私はどこへ行く リュックサックを膝に抱え 座席に座る そっと熊の爪に触れ マタギの山々を思い出す あの静かな里は いまは心の拠り所で いまま

        【環境文学】魚のお花見

          【環境文学】御霊送り

          夕日が沈む お盆の終わり 手放すのが名残惜しい その灯篭 川へ流した たくさんの灯篭は 蛍の夢のように 水面に浮かんで 流れてく 夢のような夏 いつか 子供のころに遊んでくれた あの人を懐かしむ ゆるりゆるりと 灯篭は 川と山々の境まで 星になるまで流れてく そして 灯篭が星になり 鎮魂の花火が上がるとき 祈ることは あの人の安らかな旅立ち 星になった御霊を 見上げて夜風に涼んで 夏花火

          【環境文学】御霊送り

          【環境文学】雪原の樹木

          雪原を歩くと ひとつの樹木に出会った その太い樹木に刻まれた その文字は 誰かが訪れた日付け 思い出のために 刻まれたのだろう 2011.8.13 私にとってもあの日の夏 この森にどんな思い出が あったのだろう 消えないその思い出 古いその文字は 何も語ることはないけど 私はその思い出に ただ手を添えるだけ 誰も傷つけないために 思い出は残さない 足跡も残さない 生きた証も残さない 静かに生きてく ゆっくり呼吸をして また歩き始める 道のない雪原

          【環境文学】雪原の樹木

          【環境文学】風立ちぬ

          青い空の下 風立ちぬ いまそんな雲が流れる 目を閉じると ふと緩やかな風が 森の木々の中を 吹き抜けて 風が線になる さらさら千の線になる 私の体も さらさら千の線が吹き抜ける 洗われる 意識の結び目が ほどけて 線になって さらさら千の線になって あらゆる線に繋がる 幾千の線は森羅万象 繋がったこの線を 描きたい そんな衝動が さらさら千の線の流れを駆ける 目を開くと さらさら千の線は 優しく空気に溶けていった 描けたものは 描けたものは 見上げた空には あの

          【環境文学】風立ちぬ

          【環境文学】詩人の叫び

          太陽が山陰に沈む前 凍てつくような 森の中に 閃光が射し込む 雪に残る その獣の足跡は 孤高を生きた 滅びたオオカミのものに (詩人には) 重なって見える その孤高の遠吠えは この森では もはや聞くことはない いま太陽が沈んでいく 白い山肌が 血のように赤く染まる (いま詩人は) その遠吠えのように 梢を見上げ 高い声を上げて叫ぶ 赤い山肌に響く声 そして山肌が より赤く燃え上がり 古い記憶がどこかで繋がる (詩人の)その体に 滅びしその血が流れ始める 孤高の魂を

          【環境文学】詩人の叫び

          【環境文学】鳥が見たもの

          ウグイスの私は 春の農夫が 籠を背負って ふきのとうを探して歩くのを見る 心が癒される農夫 ウグイスの私は 癒しの歌を農夫にさえずる オオルリの私は 夏の釣り人が 竿を持って イワナを釣って歩くのを見る 夏に光る沢水の流れ 緑のやまなみに 心が歓喜する釣り人 オオルリの私は 喜びの歌を釣り人にさえずる カワセミの私は 秋の詩人が ペンとノートを持って 紅葉を求め歩くのを見る その紅葉が 言葉へと変わっていく 心が満たされる詩人 カワセミの私は 瞑想の歌を詩人にさえずる

          【環境文学】鳥が見たもの

          【環境文学】大寒の雨

          私の前で ごう音を上げて 落ちる滝 雨がぽつぽつ降る中 傘を差して 眺めるその滝 傘を叩く雨粒 ひとつふたつと 数えてみる やがて数えられない 無数の雨になる 滝のごう音 大地を叩く大粒の雨の音 森に響く 全て全てへ 私の日々の悩みさえも かき消されるぐらい 音の波が続く

          【環境文学】大寒の雨

          【環境文学】浮花

          水に浮かぶ その花 根に繋がれてないから 漂っている ゆらゆら 風のままに 水が光り 花びらが映える きらきら 癒すでしょう 見る人の心を 水に浮いて 夢のようなひととき そんな夢は いつしか終わる そしてある日 沈んでく 遥かに静かな 水の底に 故郷の地に 根をはって 大輪を咲かせていた あの懐かしい日が 見上げた水面に 幻のように映るのを観てる

          【環境文学】浮花

          【環境文学】夜の汽車

          国際紛争の ニュースを読んだ 不安な気持ち 車窓から家の灯りが 流れてく 踏切の音 汽車のリズム 目を閉じると (まるで銀河鉄道のよう) 意識は 遥か高い空にあるようだ 人種も国境も 見えない ただ広がる青い世界 誰も争わず 共に生きるための青い世界 目を開けると 車窓から流れる灯りの ひとつひとつが 大切な命の灯火に見えた ​​ 灯火の瞬きの中を (銀河鉄道のように) 汽車は夜を走る

          【環境文学】夜の汽車

          【環境文学】吹雪の森

          吹雪が 視界を横切る 音を立て 向こうの景色は 霞んでいて 古い記憶のよう そして吹雪は 弱まり 前を向いたら 新しい雪が 森を覆い 白と黒の 鉛筆画のようだった そしてまた 吹雪いてきた 音を立て 鉛筆画の世界は 霞んだ 古い記憶の景色へと 沈んでいく

          【環境文学】吹雪の森

          【環境文学】クロスロード

          今の時代 誰もが どちらを行けばいいか わからない クロスロード どちらに行こうか 迷う私も ふと手帳を開けば 書いてある 自然の詩 詩の方位磁石が 向いている その方向には ビルの谷間から 森が見え 雲がそちらに進むのが 見えた クロスロード 私は森へ 行ってみたい

          【環境文学】クロスロード

          【環境文学】沢に聞く

          悠久の中で 瞬間の この命は どう流れる 沢の音 耳から心に響く 木の葉が 沢を流れるように 悠久の時に 寄り添って 流れていく命 その流れた先 命が滅したときにも やはりそうやって 悠久の時を さらに流れていく 誰もが懐かしい 母の中 沢から聞こえた声

          【環境文学】沢に聞く

          【環境文学】里帰り

          冬始め 柿の実が 枝に 残っている 鳥が鳴く 雲もない晴天の空 ひとり歩いた 細く長い 田んぼ道 風は少し冷たくても 街とは違う のんびりとした 時間の流れを 歩くことは楽しく 振り返れぼ あの柿の木も もう小さい 遠くの山は 薄い白 その景色が愛おしい

          【環境文学】里帰り