2019年3月に読んだ書籍一覧

破天荒フェニックス オンデーズ再生物語

オンデーズという倒産寸前の眼鏡屋さんを買収した社長の話で、企業の復活劇が時系列で書かれているものですが、本書はフィクションという体で書かれています。確かに登場する競合名等はもじってあるようですが、オンデーズという企業だけでなく、恐らく登場人物も実際にいた人ではないかと思います。
資金繰りに奔走する様子や各社員との人間模様、まさに破天荒な社長の決断等、フィクションであるとは言うもののかなりリアリティが感じられ、「現実的にこんなことが起こるのか? もしこれが現実だったら…」というフィクションとノンフィクションの狭間で読み進めていく感覚は新しい体験でした。

本書は起承転結の典型的な小説形式で、企業のどん底からの復活劇が書かれているので、(まえがきは無いので)簡単なあとがきを読んだら、1ページ目から順に読んでいくことになります。
紙の本で494ページと通常のビジネス書よりもページ数が1.5倍くらい多く、また、内容もジェットコースターのように目まぐるしくアップダウンを繰り返すので、小説形式とはいえ相当なボリュームに感じると思います。



ニッポン2021-2050

本書は落合さんと猪瀬さんの共著ですが、2020年問題に強く危機感を感じている落合さんがどちらかというとメインのようです。時代とはあらゆる転機のなかで変わり・作られていきますが、「今の日本は2020年に主眼がおかれてその先のビジョンが不明瞭な状態で、とても近視眼的になっている。2021年以降についてなぜ語られてこないのか。長期的視点に立ってビジョンを作っていくために何を学ぶべきか。」がテーマとなっています。

本書は「起承承承」型で構成されており、まえがきの後は、「学ぶべきこと」を人口・産業(1章)、風景(2章)、統治構造(3章)、人材(4章)、という4つのカテゴリにおいて、ある程度のリスクを取りながらアップデートしていくことが求められており、そのためにはまずそれぞれの歴史を知る必要がある、と述べています。また、各章に対して落合さん・猪瀬さん両者の視点で言及されており、お互いのカバー範囲が異なるので多面的視点で問題を捉えることができます。

読み方はいつも通り「まえがき」と「あとがき」を読みつつ、各章のまとめを1ページずつ(合計4ページ)にまとめたページが「あとがき」の前にあるので、目次とともにそのまとめを読むと、詳細までわからなくても全体感をざっくり把握できると思います。あとは一章から順番に読んでいくイメージです。
本書の中でとても印象的だったのは、少子化という事象において落合さんはそれほど悲観的ではない、ということでした。その理由は「テクノロジー導入にネガティブな圧力がかかりにくいこと」「輸出戦略」「教育投資」と3つに分けて解説してされていますので、ご興味あれば是非。



常勝集団のプリンシプル

組織・チーム作りがテーマで帝京大学ラグビー部監督の岩出さんという方の著書です。プリンシプルとは「原理・原則、主義・信条」といった意味のようで、ラグビーの大学選手権9連覇を達成させた組織・チーム作りにおける本質的な知見を、スポーツだけでなくビジネス等様々な組織作りに生かすためにはどうすれば良いのか、という視点で書かれています。

全7章からなる本書の構成は「起承承結」型で、「プロローグ」「はじめに」「1章」が「起」を、最後の「7章」と「あとがき」が「結」で間の2〜6章が「承」となっています。読み方としては「起」と「結」を読んで全体を把握してから「承」に入るのが良いと思います。(「2章」の次に「マイヒストリー」という、著者の生い立ちが十数ページ分ありますがこれは最後でOK。)

本書の中核である組織・チームの作り方、人の育て方については大きく5つのカテゴリ「モチベーション・外的環境づくり・内的環境づくり・幸せ(フロー)になる技術・組織文化のつくり方」に分けて各章で解説しています。旧態依然としたスポーツの世界において今まで常識とされてきたことを、多様なビジネスロジックや心理学・実例を基に、本質的な強みを持ったチームにするために変えていった様々な手法・考え方が凝縮されていて、著者自身のスポーツ・ラグビーという分野だけでない広範囲な知識量に驚きました。



福岡市を経営する

現福岡市長で元アナウンサーの高島さんという方の著書で、当時36歳という若さで市長になってからの様々な試練が書かれています。
我々にはあまり想像できない市長という仕事・職場を、著者は「デスゾーン」と例えています。外からは華やかな部分しか見えないかもしれませんが、実際には政治の世界に身を置くということは、とても過酷であり相当な覚悟や実現したい夢、大きな責任を背負わないとやり切れるものではない、ということをうまく表現しています。

読み方としては、「はじめに」と「おわりに」で概要を掴んだのち、本文自体は1章から最後の6章まで出馬から現在に至るまでがゆるやかに「起承転結」型で書かれているので、順番に読み進めていくのが良いと思います。
本書で一貫して伝えていることは、決断力・実行力・スピードです。仕事においてはどんなステージでも、何かを決めるには双方のメリット・デメリットを考慮し、よりメリットを享受できる方を選ぶことになりますが、市長という立場にもなると双方の意見や想いがとても大きく、実際に人々のリアルな生活にまで影響を及ぼすような決断をしなければなりません。そんな状況でも著書は「どちらにも決断しないということかいちばんの罪である。決断したらそれによって発生した悪影響をどれだけ早く抑え込むことができるかに力を注ぐ。」と述べています。
また実行力とスピードという点においては、特に災害などの有事の際に、トップである市長自らが具体的に最前線で指揮する・情報を取っていく、ということが求められているとも述べており、これらは市長という立場だけでなく、どんなステージであっても我々に必要な部分だと感じました。

強いビジョンを明確に持っているからこそ、そこに近づけるために「現状を変えていく」ことを恐れない胆力、自分が生きている意味やその使命を悟った人の強さを改めて感じました。



AMAZON アマゾンがわかる

「アマゾンのことをすばやく知りたい人のための本」と書かれているように、アマゾンのEC書店という成り立ちから現在に至るまでの歴史や様々な事業、経営戦略に至るまでが、とても平易に図や画像を使って解説されています。また、1章が始まる前にQ&A形式で8つの問いに答える形でその概略を伝えており、改めてその規模の大きさに驚かされます。

本書は起承承承型で書かれており、承にあたる本文は1~5章でそれぞれ、1章:ECとしての強み、2章:小売店としての強み、3章:ITインフラとしての強み、4章:広告メディアとしての強み、5章:投資家としての強み、として書かれているため、章の順番は気にせず自分の興味ある章から読んでいくことをおススメします。

一企業として様々なステークホルダーが存在するなか、真摯に顧客に向き合い、その顧客に対して全てのリソースを投下してきたからこそ、ここまで成長し、そしてこれからも成長していくんだと、思い知らされました。



行列日本一 スタミナ苑の繁盛哲学

ホルモンを一躍有名にした焼肉店の店主が書いた自伝的な本です。社長としては兄が務めているものの、メディア露出など表の仕事は弟である著者の担当だそうで、(私は店名くらいしか知りませんでしたが)内容にその人柄がよく表れており、口語で平易に書かれているのでスラスラと1~2時間程度で読むことができます。

幼少期に負った右手の怪我によるハンデを抱えながら、公私共に非常に苦労してきたことがうかがえますが、ひたすらその逆境に立ち向かって生きてきた著者から出る数々の言葉は、非常に重みを感じることができます。

本書はゆるやかに「起承承結」型で書かれており、全1~4章がそれぞれに該当します。本来なら効率よく内容を把握するため(「繁盛哲学」とは何か?を探るため)、「はじめに」と「おわりに」を読んだら3章から読み進めてしまいましたが、1章(著者について知る)、2章(スタミナ苑について知る)と順番にインプットしていった方が、特に自伝的書籍においては理解の深さが変わりますね。
毎日2時間以上の行列、予約はとらない、交通の便も悪い、ということでなかなかハードルは高いですが、数々のグルメ著名人を虜にしているということで、食に関わる仕事をしている身として1度は足を運ぶべきお店ですね。



3月は6冊でした。2月から引き続き期末ということで公私共になかなか忙しい日が続いていますが、なんとかアウトプットを継続できています。やはりアウトプットすることを前提に読むと、モチベーションや姿勢が変わってきますね。



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