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この島が大嫌いになりかけた話

私は12月末、流産を経験した。(体験談は下記事)
妊娠してから流産するまで、すごくしんどかったけど、流産したこと自体は、「人1人がこの世に生まれて来ようとしとるんやからそういうこともあるわな。またあなたのタイミングええ時に生まれてきてなぁ」とすぐ受け入れられた。この経験をしてなかったら他の人の痛みも気がつかなったかもしれないし、これも人生や。と涙もほとんど流さなかった。

でもそのあと、私は生きていくのが辛くなった。
つわりがあまりにも酷くて妊娠中1ヶ月近く仕事を休んでいた。職場の上司2人にだけ妊娠を伝えて、後は伝えないで欲しいと言っていたけど、
私が妊娠していることがすぐに、島の人に伝わっていった。社会福祉協議会は島の人と深く関わる仕事で、高齢者の方は私が休んでいるのは、妊娠したからかも、とすぐに勘付いていたらしい。
でも妊娠したと噂を流して行ったのは、高齢の社協の会長と、社協に関わる人たち。
流産後、私の夫が島を歩くと色んな人に「おめでとう」と言われ、その度に夫は「今回ダメでしたよ」と伝える。
私は島で生きるのが、本当に怖くなった。
大好きだった島や島の人たちが大嫌いになりそうだった。

親にもちゃんと話していなかったことが、
信頼できる人にしか知られたくないことが
島の知り合いに話されていく。
私の体のことが、勝手に「不幸ネタ」として話され、解釈されていく。
丸裸にされて、土足で踏まれて、泥だらけになっていくような、嫌悪感に襲われた。
なんで女って、自分の体について公開処刑されないといけない時が来るのかな。生理が始まった時から。
悔しくて、悲しくて、夜も眠れなくなった。

社協で働いていると島の人から、デリカシーなく色んなチクチク言葉を言われてきた。その時は「そういう人もいる」って笑って流せていたけど、心が弱りだしたらその言葉が今になって刺さってきた。

「島の嫁なんだから、頑張りなさいよ」という言葉でさえ、それを言われた時はナイチャーの私が仲間に入れた気がして嬉しかったのに、もう重たくて手放したくなった。

島の人たちから生活史を聞き取りたいから、信頼関係築くためにも社協で働こう、(それだけが理由ではない)と働いていたけど、ダメだった。
思っていた以上に、島の人間関係は、怖かった。
一線引いて、関わっていたつもりだったのに、一線なんか引けているわけがなかった。自分が引いているつもりでも、相手は軽くその線をまたいでくる。

最近、田舎暮らしの濃いコミュニティに憧れる若者多いけど、そんな綺麗なものではなくて、その距離感を知って育ってないと、大人になってからそのコミュニティ入っても、痛い目合うなぁと思った。特に女性は色んなことを干渉される。
社会人なってから、直島→座間味島と、ここ10年近く島暮らしをしてきて、”嫁”になってから感じ始めた。


社協は辞めた。もう耐えられなかった。
これから私は何をして生きていくのかなぁ。何に熱を持って生きていくのかなぁと考え中。

社協でお世話になった島の人に、辞めることを伝えに行きたいけど、「なんで辞めるか」とか上手く伝えられるか不安で、何を言われるのか不安で、どこまで知っているのかも私は分からないから、話に行く勇気がまだ出ていない。

今回の件で気をつけないといけないと思ったことは、島の人の噂話はしない。島内で簡単にアウティングしているところを目にするけど、性に関することだけではなくて、他の人に簡単に知られたくない話だってあると思う。
アカの他人に知られるのと、島の人に知られるのは全く別で。これからの人生、知られたことによって、島で生きづらくなることだってある。
「気にしないのが1番」「気にしてたら島で生きていけないよ」と島の先輩方は言う。
でも気にしてる側は何も悪くないのだから、堂々と気にして、「そういうところは一線引きましょうよ。プライバシーの侵害ですよ。」という心持ちで私はいたいと思う。

こんなにも嫌になりかけた島でも、
私が選んだ場所だから、
ここで生きていこうと思う。

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