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読了:『本を守ろうとする猫の話』 夏川草介

ちょっと久しぶりに本の感想を。

嗚呼。積読というよりは読んだ本の感想書き待ち渋滞が起きています。(今も机の横で数冊待機している)


ということで少し駆け足で参ります!

今年の9月に本屋のフェア台に文庫がズラッと並んでいて知った本。ご存知の方も多いかも。

『本を守ろうとする猫の話』
夏川草介


著者の夏川草介さんは『神様のカルテ』で有名な方ですが、そちらはまだ読んだことがないので、本作が初めてのご対面です。

実は夏川さんは医師として務める傍らで小説を書かれているのだそう!凄すぎませんか!リスペクトオブリスペクト!(あまりにも軽々しい)


そしてちょいとググったらペンネーム「夏川草介」の由来も出てきました。

「ペンネームは大好きな作家の名前を並べただけなんです。夏は夏目漱石、川は川端康成、介は芥川龍之介で、草は漱石の「草枕」からです。」(朝日新聞2014年7月15日「リレーおぴにおん」漱石と私9)。

Wikipediaより

もう発想が素敵すぎるんですが、、。

感想を書く前から魅力をたくさんに詰め込んでしまいましたが、では早速感書いていこうと思います。


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高校生の夏木林太郎は、小さい頃に両親が離婚、さらには母が亡くなり祖父に引き取られた。

祖父は町で小さな古書店を営んでいたが、林太郎が高校生の時に突然亡くなり、林太郎は一人になってしまう。

学校にも行かず祖父の店の番をしていた林太郎だったが、ふと店の奥を見るといつもは板壁で塞がっている場所が青白い光に包まれていた。

そして目の前に言葉を話す一匹のトラネコ。

喋る猫をみて初めは驚いた林太郎だったが「本を解放してもらいたい」という猫の頼みを受け入れ、書店の奥に続く道を辿って迷宮に行くことに。

本が大好きと言いながらショーケースの中に本を閉じ込める男や、できるだけ多くの本を読むために本を切り刻む男。

そんな迷宮に林太郎は猫と挑んでいくが、最後に現れたのはとても手強い相手だった、、。

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皆さんは、なんのために本を読んでいますか?

私にとって読書は、人生の予習をしているような、未来の準備をしているような、様々な価値観に触れられるもの、樹木の年輪のように自分の層を大きく大きくできるもの、だと思っています。

そう信じているけれど、本書の中で林太郎のお祖父ちゃんが語った「本がお前の代わりに人生を歩んでくれるわけではない。」という言葉が、ずしんと心に響きました。

読んで読んで読みまくって、知識が膨らんだただの物知りになりたいのか。

「なんのために本を読むのか」

改めてじっくりと考えさせられました。


もちろん読みたい本は世の中に星の数ほどあるけど、私たちの時間は限られていて、人生で読める本の数も決まってる。

でもその限られた本たちが自分の血となり肉となっていく。

悲しい時には寄り添い、孤独な時は励まし、落ち込んだ時には勇気をもらう。人生に迷ったら他の選択肢をくれることだってある。

そうやって本には人の感情を動かし、意識を変え、行動を変えられるぐらいの力があるからやっぱり読書はやめられない!

と言いつつも、林太郎のお祖父ちゃんの言う通り「歩き出す時間」も必要。読んだら進む。そして新しい景色を見る。


私は今まで「これ読みたいな」と思ったらすぐに買い、読めずに溜めてしまう積読癖がありました。

その積読を解消しようと今年は常にバッグに入れてバイトの休憩時間や通勤の電車の中、寝る前など4冊くらいを併読していたのですが、これで本当に読んだといってもいいのかと思うくらい、本を「消費」している感。

きっと足りないのは歩き出す時間。それぞれの本が持つメッセージや自分の中で消化する時間、とでも言うのでしょうか。

ダッシュで読んだ本って、たまたま点けたテレビをぼーっと流し見している感じで、間髪入れず他の本を読んでしまうと、ちゃんと読んでいたはずなのに頭の中に内容が何にも残ってないことがある。

だから本当にちょっとでもきっとその本について思いを巡らす、心に響いた部分を咀嚼する時間が必要だと思います。

そうやって思うとこの読書感想ノートは本によって動いた自分の感情がくっきりと文字で記録されていて、前より自分の年輪にちゃんと刻めてるような、、。

でも一番大事なのはやっぱりその先の行動な気もします。もしかすると意識せずとも潜在的に影響は受けているかもだけど。


うーん。深すぎる。ぐるぐると考えるループに入りそうなので今回はここらへんにします。

こうして文字を繋ぐ作業は結構頭を使うので、いつも書き終わる時には疲れているのですが、でも記録をすることで自分を見つめ直すきっかけにもなるので、これからも続けようと思います。

年内には、感想書き待ちの本ときちんと向き合いたい!

いつも読んでいただいている皆様。
ありがとうございます。


クリスマス前の盛り上がりを、もうしばしの間、楽しみましょう。お体ご自愛くださいね。


今日のnegoto「父が時かけを観てわらっちょる。世代を超えるんだなあ。」

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