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『世にもあいまいばことばの秘密』

やふぅー٩( 'ω' )و
今回は、読んだ本の感想を書きます。

川添愛 『世にもあいまいばことばの秘密』 (筑摩書房 、2023)


私にとっては嫌な記憶しかない、国語の解説を非常に興味深く、面白い。
「そうなんだ!」の連続で、楽しみながら、改めて学び直すことが出来るのが、この本。
つまり、素晴らしいからおすすめの本だよ!!ってことでもある。




ざっくり内容と面白いと思ったこと


「OKです」「結構です」ーー辞書に載っている曖昧さ
(本書27ページ)

セールスや勧誘などで、断る際に、肯定したと相手に思われないように、
「不要である」ことを伝えようと、ある時から広告内容などが変わったのを思い出した。

日本人特有なのかもしれないけれど、悪徳のセールなどを相手にしても、
遠回しに言う。
最初に私が知った時は、相手を思いやる文化が、逆手に取られたようだと思った。

「結構です」ではなく、「いりません!」とハッキリ言う。
「結構です」を、相手の都合に合わせて捉えられてしまう可能性。

こういうことは、日本語にもあるし、日本文化的だな、とも思うのです。


「政府の女性を応援する政策」ーー構造的曖昧さ
(本書97ページ)

「有名な女性の肖像画」ーー修飾先はどれ?

川添愛『世にもあいまいばことばの秘密』(筑摩書房 、2023)、97頁。

これには、2つの捉え方がある。

[【有名な 女性】 の   肖像画]

有名な→女性 を修飾
これをAとすると、
A→肖像画 を修飾

よって、女性が有名だという捉え方。


2つ目は、
[有名な 【女性の 肖像画】]
女性の→肖像画 を修飾
これをAとし、
A→有名な【女性の 肖像画】(A)

(女性の)肖像画が有名である、という捉え方。

本書内では、図式化されているので、もっと理解しやすく解説されています。
ちなみに私は、これを読んで2つ目の考え方の理解をした。

他にもある。
「頭が赤い魚を食べる猫」に挑戦!
(124ページ)

この一文には、5つの捉え方がある。
これも、図解されているのですが、こんなに捉え方があるのかと驚く。
ぜひ、本書を手に取って、その面白さと日本語の難しさに頭を悩ませて欲しいと思う。
曖昧さが持つ、解釈の幅を広げる可能性が高さが示されている。


修飾語や、並列などの解説がされている文章の前に、漢字、平仮名、カタカナを使用する日本語。
文字だけなら、句読点なども含めて。

曖昧さを持つが故に生じる誤解を、イントネーションやアクセントでも、我々は区別していると冒頭で紹介されている。
文章の構図(解剖図)が分かると、こんなにも面白い言語なのか、日本語よ。

まとめ

現在、学生の方々や、国語の教師と働いている方々、または日本語教師として働く人にも面白い本だと思います。
文法書とは違ったフランクさもあるので、日本語に関する読み物というか、
言語好きにもおすすめしたい本。
各内容の最後にある、クイズも面白い。
正解出来るけど、私は解説をこんなに丁寧に出来ないので、学びになりました。

ところで。
普段の私は、滅多に記載内容を読み間違えることはない。
しかし、表現する側になると、急に難しくなることがある。

2年ほど前、苦労していた時。
「ーーにより」と「ーーによって」の違いが分からず、
「日本語がおかしい」と言われまくった(それだけじゃない)

私の周りには、英語をはじめとする、別言語を学んできている人が多いので、注意されたことが分からない時には英語にしてもらった。
ちなみに、「ーーにより」と「ーーによって」は、英文に訳したら全然違っていた。

図解じゃダメでしょうかね?って言ったら、もちろんアウト。
そりゃそうだよね… 
文章を書くのは、本当にいつも苦労します。

ちなみに今も、別言語に訳してから、文章を作ることは頻繁にある。
別言語を扱うのだから、避けられないとことでもある。
言語が嫌いだったら、無理でしかないとも言える。

文字にされていれば、大きく誤解して失敗したことはない、今のところ。

「大丈夫です」
「ちょっと」
「冷房(暖房)強めて」

これらの誤解は、結構あるかもしれない。

「大丈夫」に関しては、言語的要素よりも、文化的なところが大きい。
本当に大丈夫じゃない人は、「大丈夫じゃない」を言えない人だ!!
という、持論がある。
イントネーションや、アクセントはもちろん、表情や普段のその人の性格も鑑みてから仮説を立てたり、結論を出す。

どんだけ、察して文化なんだ!!
逆説的に言うのであれば、日本語を話す人は言語レベル1億点。
最高ランクだと思います、個人的に。

文字を覚えるだけでも、大変。
読めても、日本人でさえ間違える。
「だよね?」という非言語文化前提で成り立つ文化。

日本語を話す人は、それだけで神経衰弱だと思う。

ん?あ?
あー、なるほどね!!

そういうような日本語の曖昧さ。
それらが丁寧に、分かりやすく、そして面白く解説されている本書。

日本語の曖昧さによって、助けられているところもあるのだと知るのは、
218ページからの「おわりに」を読むと思うことだ。


日常でよく見聞きするような、日本語の構造。
それが何かを知りたい人にも、おすすめしたい本。
とにかく、面白い本です。



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