ど田舎生まれJ-POP育ち


通っていた小学校では、朝の始業前と帰る前に、歌を歌う時間があった。
歌はクラスによって異なり、何を歌うか決める係もあった。
担任によっては、個人的な趣味から曲を指定する人もいたが、基本は最新の流行曲の中から選ぶ。そして雑誌「myojo」の付録の歌詞カードを見ながら模造紙に歌詞を書き写し、それを見てみんなで歌うのである。

まだヒット曲はクラス全員が歌えて当たり前の時代だった。小学生30人が直立不動でtkこと小室哲也のダンサブルなナンバーを熱唱する光景は異様なものがある。しかし、当時は全国の小学校で同じことが行われていると信じていたので、まったく不思議に思わなかった。

小6のある時期、Mr.Childrenの「名もなき詩」という曲をクラスで歌っていたときのことだ。
「成り行き任せの恋に落ち 時には誰かを傷つけたとしても そのたび心痛めるような時代じゃなーい!」と隣の席の男子が絶唱するのを見て、「あれ、私たち何してるんだろう」と初めて違和感を感じた。
今思えば、それが私の思春期の始まりだったのかもしれない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?