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短歌まとめ

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記事一覧

短歌まとめ 2024.3

君の手で押し潰される虫になる もうはなうたはきこえてこない

ミュージカル映画の曲だ 不細工な男が死んだ後の祭りだ

怪物は怪物のまま死ねますか美容整形外科の広告

春が来る花が咲いては枯れていくきみにやさしいのはひとりだけ

甘い夜 洋画を止めてキスをした 知らない人の訃報 知らない

亡骸に土を被せて曖昧に求めたように求められたら

レシートを折っては捨てる天国の扉を叩く 愛されるまで

蜂蜜

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短歌まとめ 2024.2

寄る辺ない環状線の車窓からあざみが見えて もう見えなくて

できるだけ傷つけないよ 後ろから優しい夜で噛まれるうなじ

突き刺さる青いひかりが眩しくて明日の夜もきっと死にたい

頭痛には原因があるはずだから 甘すぎなくておいしいケーキ

言い訳をさせてわたしの眼の前で 育児放棄のかわいいパンダ

隣人を愛するための、夜眠るための、普通の、定型文の、

傷ついた思春期みたいな顔をして夜中ひとりで悩ま

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短歌まとめ 2024.1

火の車 信じてみたい人がいて坂を転がり落ちる 夢中で

夢は夢、一足す一は、夢で見た、一足す一は、花が咲いたら、

やわらかい布団の話 なおらない病気の話 腐りゆく梨

あの日見た桜も同じ色だろう僕らはみんな遺伝子の子

種の保存 延命治療 後背位 君が齧った苹果を齧る

幸せにしてくれるなら君が死ぬまでで良いならこれは薔薇色

本当の名前は春に売りました 腐った桃の落ちる速度で

いつまでも繋が

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短歌まとめ 2023.12

陽の当たるところは怖い にんげんの血が赤いことはじめて知った

温かいところが痛い おそろいのからだはずっとずっと貧血

星の数 野良猫の数 人の目を見て話せないにんげんの数

短歌まとめ 2023.11

アヴェ・マリア 優しくしてと言ったのに歴史のように進む秒針

ハンバーグ大火事ステーキ大洪水 迎えは来ない、悪い子だから。

ずっと っていつまでだろうちぎり取る最後のページ ずっと幸せ

とくべつな君にとくべつ美しい生き餌をあげるオパールになれ

しかばねが君の帰りを待っていて否定のために動くくちびる

書くことが無くて絶望しています死体を埋める話を止めて

乾いてく脂身なんか見せないで苦しませ

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短歌まとめ 2023.9

見せられるところがなくてみずぶくれ大人になってとぶとびおりる

幻肢痛 碧く染まった四肢からは夏の死骸の匂いがしてる

睡眠用bgmの囚人A しゅうまつまでにへんしんします

暗澹は冷たく滲む ちゃんとした人になりたい 乾くあんパン

忘れたらいなかったことにできるはず碧く染まった君の代わりを

終点 碧く微睡む朝が来て風に吹かれる八日目の蝉

ゆめうつつ声を出さずに祈るだけお前じゃなくて星が尊い

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短歌まとめ 2023.7

天の川(僕らはみんな生きている)(猩猩蠅はティッシュで潰す)

目の端でうろつく小蠅幸せになりたい私ただ落ちる夢

蠅がまた蠅を産むとき僕たちはミルキーウェイのあぶくの一つ

赤い花優しく染めて大火傷そのまま絞めて少し可笑しい

よくないね人が死んだら悲しいねピンクのハート少し寂しい

身の丈の煌めきを摂る(他人事)打ち上げ花火は少しうるさい

歯を見せて幸せそうに笑いなさい表も裏も少し汚い

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短歌まとめ 2023.6

Wikipedia、教えて、遭難の全て。休日のおしまいと流星

桃色の錠剤砕く聾啞者に合成音声ソフトに愛を

あばらぼね 真っ赤な嘘と無知の知と滴った血を許せない まだ

飴細工こんな光を反射してスワンボートでエンドロールを

ともだちになるゆめだった。脆弱性、天使の羽のタトゥー、消せない

深海へようこそ、イドラ、井戸の奥、有毒の針、唯一の無二

分け合った苹果の酸味月の下解熱鎮痛剤の白々

短歌まとめ 2023.5

青黴の呼吸を想う塩辛いチーズを齧る烟るほど雨

甘い花、甘い思い出、甘い桃、また重くなる私の体

波を呑む 帰りたかった寒かったおなかの中に居たかった だけ

犬だって胸が痛いと泣くだろう 君が世界の敵だったなら

草原は何ヘクタール燃えたかな 君の名前は何だったかな

花火って、貴方に似てる。夜空って、青い薔薇って、殺人鬼って、

遊んでもくれなかったね(キス一つ)勿忘草はよく燃えるゴミ

蛞蝓

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短歌まとめ 2023.4

走っても間に合わないね夢見ても金魚は金魚鉢に浮かんで

純白を見たことがないこの世には純白は無い 遊泳禁止

完璧な性行為だと妄想は笑って壁に向かっていった

人生で何度目だろう赤信号 本能だから今日も死ねない

山猫の幸せって何ですか本能の何が偉いんですか

飢餓 君を食べるのは罪だった。
餓鬼 君に食べられるのは罰だった。

あの猫は幸せだった山猫の幸せだった、午後から雨が、

猫を抱く夢を見

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短歌まとめ 2023.3

(金網の向こうに野菊)金曜に映画を見れば無課金の愛
『Venus』

鯨幕 誰も知らない怪獣にバラードは無く、ただ石の降る
『Venus』

水底のアルコホリック月に手を手を手を手を手を、喉が渇いた
『Venus』

風が吹くAIに手紙が届く 風が確かに吹いた街より
『Venus』

「吐くエラー、夜の空気に触れる鰓」「瞼の震え、流星の群れ」
『Venus』

穴のあるお菓子も甘いどこまでもドーナ

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短歌まとめ 2023.2

ミサイルが飛翔し展示室 光のどけき死者一名と羊皮紙

独り占めできなかったね火傷痕、母親の毒、鴨川の風

二杯目のビールは色を失って異性愛者の喉を滑った

哀しみの致死量を知る 頓服をカサブランカに変えて微睡む
『くだらない方術』

夕焼けは彩度を落としつむじかぜブランコ乗りは二度と帰らじ
『くだらない方術』

債務者は貧血のまま引き金に触れ(数学は役に立たない)
『くだらない方術』

ハルシオン

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短歌まとめ 2023.1

復讐の理由を路銀に変えたなら同じ砂漠で迷子になろう

光なぞ何の役にも立たないと黒く汚れた裸足で歩く

全員が少女の様な顔をしてソプラノボイスは呪いの装備

「祝日に交通事故で死んだので、来世も来来世も人間に、」

あの屋根の上を歩いてみたかった割れないシャボン玉って嘘つき

はらわたが燃えるはらわたが燃える燃えたはらわた嘘つきの愛

不時着 金で買えない夢を見る少女の様な声のケダモノ

愛なんか

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短歌まとめ 2022.12

ゆっくりと落ちる箱庭そうやって悲鳴を出せば許される がたん

売り物は尽きて汚れた魂も叩いた時はいい音が鳴る

心には穴が空いたりしないから胸を押さえて泣く理由もなく

はなれ、ばなれ。鈍行列車はもう来ない。私に似合う曇のち雨

口笛が聞こえて遠い流刑地の烏の羽の黒、麗しき

愛を食う心と肉を食う口のピンク 死体と春待つ桜

綺麗だね、月。死のうかな、明日。ねぇ、お前より少しWi-Fiが好き。

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