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校庭で同級生に教えてもらったコツ

先日気になるツイートを読んだ。私にも小学生のときに同じような感覚を持った記憶があるー。あれをじわーんと言うのかな。

小学3、4年生の頃、晴れた日の休み時間は良く「ひゃくうけ」をして遊んでいた。地面に靴で描いた長方形の線は、コートの真ん中に線がないドッジボールのような遊びで、中と外に分かれ、外は中の人に向かってボールを投げて当て、中の人は逃げるか受けるで対抗する。当てられた人は枠の長辺の外へ出る。中の人が全員当てられたら入れ替わって今度は外になる。

中の人がボールを受けると1回につき10点、10回受けると100(ひゃく)点となり、枠外にでている味方の一人を中に入れることができる。100受け(ひゃくうけ)の名称はここから来ていると思うが、地域性のある遊びで全国区ではないらしい。

ドッジボールをするには長方形の枠の長辺短辺に一人以上配置しないと面白くないし、ボールの飛ぶ方向が敵味方合わせて四方になる。「百うけ」は短辺にのみ外の人が配置され、長辺からは投げることは禁止されているため、外の子がボールを取り損ねて飛んで行っても縦方向だけとなり、校庭の他で遊ぶ子どもたちに危険や迷惑をかける割合がかなり減る。

休み時間の遊びは集まる人数もまちまちで、百受けなら最低4人から多いと20人でもできる。代表2人が「とりあいどっこんで」の掛け声でジャンケンし、勝った方から仲間を一人ずつ選んでチームを作る。今考えると仲間外れやいじめなどの問題が出そうな決め方だが、授業ではないから入りたい子だけが集まり、あまり問題が起こることもなかったように思う。

男女の比は7:3か8:2くらい、小学の中学年は体格も運動能力もそれほど男女で違いはなかった。ただボールゲームに対するセンスは、野球やサッカーの経験がある男子の方が上だった。

逃げ方、受け方は何度か遊べばそれなりにコツはつかめ、当てるには受けられないように膝下を狙えば良さそうだということも分かった。向こう側の仲間が投げてきたボールは後ろにそらさず、出来ればキャッチしてすぐに中を狙うと当てやすいし、キャッチボールを何度か繰り返すことができれば逃げる相手を疲れさせて追い詰めることもできる。

中になって逃げたり受けたりした方が断然楽しいから、外になった時には、なるべく早く敵を全滅させたい。授業の始まるチャイムが鳴ればゲームは終わり、次の休み時間にはまた新たなチーム決めから始まる。外から始めて下手をすれば外のまま終わってしまう。当てたい、当てて欲しい、外のチームは誰もが思っていた。

敵に勝つためには、受けさせないこと、相手を焦らせてミスを誘うことも重要だし、自分のところに来たボールは後ろにそらさず取ることが大切だった。理想はそうでも実際は、飛んで行ったボールを拾いに走って時間と体力を取られ、相手を疲れさせるどころか自分が疲れていた。

同級生のO君は外になったとき、なぜかボールの飛んで来るところにいて、拾いに走ることも少ない。すぐに投げて相手を追い詰めている。何が違うのかわからないけれど、単純にうまいなーと思っていた。

ある時、O君と同じ外チームになり、そのとき一つのコツを教えてくれた。

「向こうからFが投げて来るやろ、Kを狙ってるとするやん、ほんならFからKに向かって線を引いてその先ににのこがおったらええねん、ボールが来るから」

簡単な、的確なコツだった。

小学生の私は、そのとっておきのコツを教えてもらったおかげで、百うけで格段にボールを手にでき、遠くまで拾いに走ることも少なくなった。素早く投げることができて敵に当てると、ちょっと強くなれたような気もした。応用して、自分が中にいるときは外の強い子どうしを結んだ線上に入らないように逃げたりもした。友達にも教えてあげた。

やがて「百うけ」の流行りが「中あて」や「てんだい」になり、長い昼休みには「どろけい」をしたりと遊びの内容も変わっていった。

教えてもらったコツはおそらくその後も何かに役に立っていたと思う。でも覚えているのは、初めの教えてもらったありがたみだけ。当時私はK君のことが好きだったので、O君に恋心があった訳ではなく、純粋にその内容に感動していた。

小学生の時に覚えた「延長線上」、これが私のじわーんとした体験。じわーんの意味をわたしなりに解釈して思い出を書きました。

読んでくださってありがとうございます。