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I have a dream-私には夢がある

アメリカに住んでいる人であれば、誰もがこのフレーズを耳にしたことがあるのではないだろうか。

公民権運動の父として、アメリカ社会におけるアフリカ系黒人差別に異を唱え、人種差別に対する非暴力闘争を推進し、ノーベル平和賞を受賞したジョージア州出身のマーチンルーサーキング牧師の有名な演説のフレーズである。

日本に住んでいる頃から、マーチンルーサーキング牧師の存在は知っていたけれど、一体どんな人で、どんなことをしたのか、までは恥ずかしながら詳しく知らなかった。

そんな私が、アメリカに来て、子供達が幼稚園や小学校に通うようになって、毎年1月の第3月曜日、MLK day「Martin Luther King Day」という祝日を迎えるにあたり、学校でもらってくるプリント類や先生がシェアをしてくれる動画や本を子供達と一緒に見るようになって、ようやく、すごい人なんだと知ることができた。

黒人は白人が乗るバスには乗れない、座る席が決められている。
黒人は白人と同じ小学校には通えない。
黒人は白人と同じトイレが使えない。
黒人はホテルに泊まれない。

こんな時代に、黒人、白人の間に差はなく人類は皆平等である、と訴え続け、後に「Civil Rights Act」(市民権法)を制定する流れを作った偉大な人物なのである。

10年近いアメリカ生活で、一度だけジョージア州に住んだことがある。
ここはマーチンルーサーキングジュニア牧師の生まれた故郷。
彼の生家も残されていて、多くの観光客でいつも賑わっていた。

生家に隣接されたミュージアムには、彼が主導した公民権運動の中でも最も大きいと言われるワシントン大行進(あのI have a dreamの演説をした場所)で皆が履いたという破れてしまった靴の展示もされていて、
胸がぎゅっとしめつけられる思いがしたのを今でも覚えている。

毎年、MLK Dayには家族で演説を聞くのだが、
途中から胸が一杯になってしまう。

I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.
ー私には夢がある。 それはいつの日かジョージアの赤い丘の上で、
かつての奴隷の息子である黒人の子と、奴隷を使っていた主人の白人の息子が一緒に兄弟愛というテーブルに座れる日が来ることを。

今のアメリカが60年前に彼の描いた差別なき場所になっているかと言ったら
それはまだ分からない。
けれども、彼が開いてくれた道筋があるからこそ、今、私たちの子供達は
学校で「違いは個性である」ということを学べるようになったんだと確信する。

以前、娘と車に乗っている時に、変わった模様の犬がいて、
思わず「変な犬だね!」と言った私に
「ママ、変じゃない、ユニークなんだよ」と言ってくれたことがある。

日本で、当たり前に、同じ制服を着て、決まった髪型で学校に通い、
「個性」を出すと怒られる学生生活を送っていた私に
我が家の子供達は新鮮な風を吹き入れてくれる貴重な存在である。

1年に1度のMLD day、もし、まだ彼の演説を見たことがない方がいたら
是非この機会に1度ご覧になってみては如何だろうか。




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