見出し画像

若木神の真(まこと)26  (小説)(エッセイ・とんぼ)

エッセイ(とんぼ)

大相撲九州場所も千秋楽を終え、いよいよ師走を迎える準備ですね。
今場所優勝を果たした大関霧島関。モンゴル出身の力士だそうです。
優勝インタビューの後に初めて知りました。
日本人力士は勿論、モンゴル力士の活躍も今の相撲を盛り上げてくれているのは言うまでもないでしょう。
日本の伝統文化である相撲。
神に捧げる神事として力と技で競い合う力士達の土俵周りは
熱気と活気に包まれ、子供達もお年寄りの方々も目の前の勝負に
心から喝采を送っているように見えます。
私は、千代の富士、若貴ブームの時に中学生でしたから
部活が休みの日は猛ダッシュで帰宅し、幕内力士の相撲を楽しみに
TV観戦していました。
懐かしくなって若貴ブームをネット検索してみると
中継視聴率66、7パーセントとあり、なるほど、この中に私の
視聴分も入っているなと30年程前の自分の記憶に一人頷いております。
ですが、相撲自体の記憶は712年古事記に記された力くらべなどが挙げられるそうです。形を変えながらも格式高い礼法を皆で粛々と受け継がれてきたのですね。
様々なことが発展し進化しつづけ、人々も移り変わっていく中で
真に心を寄せる場所を忘れないようにしていけたらいいですね。


♢『わが尊祖(そんそ)の魂は
         子安貝(こやすかい)にあり南海の海道を開くべし。』

秋津洲(あきつしま)と大陸との絆となっている
奄美族西方昆(あまみぞくにしかたのこん)の末裔
海人(うみびと)、西方昆迩(にしかたこんじ)。

原作 秋津 廣行
 「 倭人王 」より

 「高天原(たかまがはら)は阿津耳之命(あつみみのみこと)に申します。われ奄美族西方昆(あまみぞくにしかたのこん)の末裔にて
知佳島之宮(ちかしまのみや)を守る海人(うみびと)
西方昆迩(にしかたのこんじ)なり。
一族の勾玉を若木神(わかきかみ)に捧げて
わが思いを明らかに致します。」

 頭(こうべ)を垂れたままに後ずさりして、再び、拝礼した。
この奄美の昆迩(こんじ)は、古くより知佳島(ちかしま)を拠点として
大陸交易を取り仕切ってきた黒潮西方流(くろしおにしかたながれ)の頭である。
大陸では、古くより徐氏(じょし)一族と強い信頼で結ばれており
秋津洲(あきつしま)と大陸との絆となっている。

 「わが西方(にしかた)の一族は、豊浦宮(とようらみや)二代目オモダル八潮神(やしおのかみ)とともに、西の海を守りてはや千年。
黒潮の海が宝貝(たからかい)の海路として開かれたのは千年前のことでありました。
かつては、子安貝(こやすかい)の道として、二十二代目殷の天帝(てんてい)である武丁(ぶてい)をして 
「わが尊祖(そんそ)の魂は子安貝(こやすかい)にあり、南海の海道を開くべし。」

 と言わしめたのが奄美黒潮海道(あまみくろしおのかいどう)でありました。以来、南海の珍しき産物を運びては、沖の縄島、奄美、知佳島(ちかしま)、さらには大陸の蓬莱湊(ほうらいみなと)は、共に栄えて参りました。」

 昆迩(こんじ)の言葉に、阿津耳(あつみみ)は血筋の故郷を思い出すかのように遠くを眺め、耳を澄まして聞いた。

                            つづく 26



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?