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X JAPAN(X) 全アルバムレビュー!

お久しぶりです。週一投稿を始めようかなんて考えている龍垣です。

さて、昨年は数々の私の中のロックスターがあちらへ旅立った年でした。Xでベースを弾いていたHEATHもそのひとり。天はYOSHIKIからどれだけのものを奪うのかと傷心しました。
しかし周りの反応はというとあまり気に留めていない様子。Xにあまり具体的なイメージがない子が多いのです。若い子の中にもちらほら好きな人がいますが、大半は「過大評価でしょあの人ら」って感じです。
それはいかん!本当にヤバかった時代のXを聴いてさ!忘れないようにしようぜ!それが一番死んだ人間にとって名誉なことであると思うのです!知ってると忘れないは全く別物なのです!前置きが長くなりましたが、Xの魅力というか聴き方からお話させてくださいな!


Xの魅力と聴き方

なんも知らん人のイメージではTOSHIが目立っててYOSHIKIもまあ目立ってるんやね、という感じらしいですが、とんでもない。
このバンド楽器隊がえげつなくてボーカルが他のメンバーより人気ない状態なんです。ザ・フーみたい。(かといって全然ヘボいボーカルでなく、むしろ他所のバンドにいればバリバリに目立つレベルというのも似てる)
まずはそんなえげつない楽器隊を楽しみましょう!

YOSHIKI

この人は後年の方がビジュアルが良い。

ドラムとピアノ担当、Xのメインソングライターです。
まあテレビだと金持ち芸能人枠といいますか、GACKT枠みたいな扱いですが、本当に生きているのが不思議なくらい伝説の人です。
元々頭も良く、お金持ちの家だったのでたくさん音楽や楽器に触れさせてもらえていたのですが、幼い頃に大好きだった父が突然原因不明の自殺。これは彼がグレる原因ともなり、YOSHIKIを突き動かす悲しき怒りの原動力でもあるのです。
一番わかりやすいのは彼の書く歌詞。「紅」や「Forever Love」などの有名曲を含め、失恋ともとれる内容なのですが、大好きだった人が理由も分からず自殺を遂げた悲しみ、やり場のない怒りが、彼の書く歌詞の根源となっているように思えます。そしてその歌詞をなぞるように次々と大好きな人がこの世を去っていく壮絶な人生。
さらになんとこの人はその感情をドラムで表現できてしまう人なのです。よく彼のドラムは下手だ、過大評価だと言われますが、この人の凄さがわからない時点で二流以下でしょう。まあリズムキープがあやふやなところもあるのは確かです。しかし激しい切なさという、怒りの中でも複雑な感情を音にできるのは、類を見ない恐るべき才能で、リズムが崩れることさえも表現にしてしまっているのです。
誰が一定のリズムで泣き、一定のリズムで何かを破壊するのでしょう。泣いて泣いて泣き疲れて倒れ込む、怒って怒って怒り疲れて血の中で気絶するような様をドラムで表現できるのは間違いなく世界でもこの人だけ。その身を削った無茶なドラミングで怪我をしてしまうのも無理はないと音でわかるはずです。(まあそんな叩き方年老いて続けられるはずもなく……)
彼はピアノも上手いのですが、アタックが強過ぎて正直私は好みではありません。やはり聴きどころはドラマーやソングライターとしての面を推してしまいます。

HIDE

この人は初期から晩年までずっと良ビジュアル。

ソロや主旋律など、目立つパート、派手なパートを弾くことが多いギター担当です。
彼も見てわかる通りYOSHIKIと同じ、技量というよりセンスの化け物です。キャッチーなポップセンスや、どちらかというとイギリス寄りの艶やかなロックの素養、デジタルなのに軽くない骨太なサウンドメイクなど、不思議な世界観の持ち主です。
YOSHIKIのプレイヤーとしての面白さを際立たせる名ソングライターでもあり、YOSHIKIの書くクラシカルな曲についていくどころか引っ張っていく力もあるのが恐ろしい。
YOSHIKIクラスの才能と潰し合わずに対等で渡り合える世界観を持つギタリストはこの人くらいでしょう。

TAIJI

一番の色気。

テクニックもセンスも神がかっており、ソングライティングにも才能を遺憾無く発揮する私が世界で一番好きなベーシスト。
基本はピック弾きで、曲全体を見て引き算の演奏をしたり、合間に美味過ぎフレーズを入れたり、目立つべき所で派手にキメたり、まあ非の打ち所がない人です。
また指弾きも中指の第1関節より上を欠損していながら、人差し指と薬指で演奏していると思えないバカテクを発揮。タッピングもスラップも華麗にこなします。恐らくメンバー内でギターも一番上手いでしょう。
ルーツ的にはアメリカンなハードロックやヘヴィメタルが主ですが、多分どのジャンルをやらせても一流だったのではと私は思っています。そしてXのスタジオ音源のミックスでは曲全体を支える為にベースの音量は控えめになっていて、そんな所も渋くてかっこいい。
上記の怪物3人がいた初期の時代が間違いなく黄金期でしょう。後任のHEATHももちろん良いプレイヤー、YOSHIKIの曲を演奏する上で100点のフレーズと演奏を出せますが、TAIJIは我々の想像を超えてくる7000点のプレイヤーでした。

PATA

滲み出る。縁の下の力持ち。

HIDEのように独自の世界観や派手さはありませんが、昔ながらのハードロックをしっかりやれるテクニックを持っています。早弾きなんかはHIDEよりできる人ですね。テクニック的に欠かせない難しいフレーズを弾いていることもまちまち。リズムギターも面白く、HIDEとの絡みつくようなバッキングが絶妙です。もちろんHIDEの世界観への理解もあり、美しいハモリや渋いソロで華を添えることも得意としています。
この人がいることでヘヴィメタルバンドとしての説得力が増していることも、聴けばわかるはずです。基本的に左のチャンネルにずっと彼はいます。

TOSHI

この人は絶対的に初期がかっこいい。

近頃はやたらめったらバラエティに出てるので高音が綺麗な歌うま枠というイメージを持つ方が増えていると思いますが、洗脳前のTOSHIにはロックボーカルとしての荒々しさが凄まじい魅力でした。
荒々しいのにピッチは外さず、その奥に繊細ささえ感じさせる。その暴力性と表裏一体の切なさの表現がYOSHIKIの曲と相性抜群でした。
洗脳後、具体的には『ART OF LIFE』(1993)以降の彼からはそういうパワーが抜け、繊細さと伸びやかな高音が残った、という印象です。それでも未だに特異なボーカリストですが、YOSHIKIの書く曲に相性抜群だった時代、紛うことなき「ロックボーカリスト」だった時代はもっと評価されるべきです。

HEATH

The V系のイケメン。

TAIJIが3枚目のアルバム以降クビになるので、後任として入ったベース。TAIJIが唯一無二過ぎる存在だったのに対して、そういった非凡さはありませんでしたが、十分なヘヴィメタルの素養とテクニックを持っており、間違いなく上手い人ではありました。
TAIJIがヤバかっただけで、HIDEとYOSHIKIという、独自の世界観を描ける化け物の二人を支えられたベーシストというだけでも彼は評価に値すると思います。
TAIJIが大人のセクシーな音だったのに対して、ブリブリした輪郭の強いベースの印象です。


さてさて、メンバー紹介がてら各々の出す音の魅力を書いた訳ですが、長くなりましたし、さっそくアルバムたちを見にいきましょう!(音がオモチャ過ぎるのでインディーズ時代の『VANISHING VISION』は除かせてください…)
今回は3枚のみなので採点はナシで、特徴とクオリティの差とかは読んでわかるようにします!


1.BLUE BLOOD(1989)

PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK
ヴィジュアル系(V系)の語源。

インディーズから1枚出した後の、メジャー初アルバム。はっきり言ってこの一枚だけ格が違う。完璧主義者のYOSHIKIが唯一OKを出せたアルバムと言っていいだろう。彼はこのアルバムからならどの曲をシングルカットしてもいいと言っていたが、異論はない。

内容は美麗なハーモニーを奏でるツインギター含め各々の楽器、TOSHIのザラついたボーカル、もはや耽美的にも感じるハイスピードのメタル、グロテスクを壮大にするオーケストラ、その全てが美しいメロディに彩られている。
そしてアルバム全体にはどこか野性的な退廃と高貴な風が同居しているのだ。こんな矛盾じみたことを書くとハイカロリーに聞こえるかもしれないが、節々のストレートなロックが胃もたれさせないように作用している。一曲一曲見ていこー!その価値があります!

①PROLOGUE(〜WORLD ANTHEM)
華やかで短いインスト。カナダのハードロックバンド、フランクマリノ&マホガニー・ラッシュのカバー。ほぼ原曲通りの演奏だが、しっかりXの音になっている。
後半の語りの“blue blood…!” からシームレスに次の曲へ移行。

②BLUE BLOOD
いきなり表題曲だし、いきなりトップスピード。このかっこいいヤンキー的無茶さ、ザクザク刻みあったりハモったりするギター。音楽的に素晴らしいベース。シラフに聴こえないドラム。荒々しく叫んでいるのに美しいボーカル。初期Xの魅力が見事に詰め込まれているナンバー。

③WEEK END
たまにあるYOSHIKIが比較的普通のロックドラムをやっている曲。遅いテンポではないのに情緒的で、これまたギターが良い仕事をしている。シングルバージョンとの違いも楽しい。冒頭のリフはPATAが名刺を使って弾いたことでも有名。ファン人気も高い。

④EASY FIGHY RAMBLING
急に明るく、ノリもシャッフルで軽い!バンドブーム真っ最中のガールズバンドの代表曲にあってもおかしくないくらい。だが、これも間違いなくXなのである。ただの耽美的な歌詞の長尺ヘヴィメタルバンドならばお茶の間に受け入れられたはずがない。彼らにはこういったポップセンスやお茶目さがあったのだった。

⑤X
エーックス!の掛け声と共に観客全員でジャンプして、文京区で地震を起こすことでお馴染みの曲。意外にもこの前の4曲目が明るかったのに対し、Xのダークさが全面に押し出されたハードなナンバーとなっている。

⑥ENDLESS RAIN
優しく始まる傑作バラード。シンプルなピアノのコードに対してありえないセンスを発揮するTAIJIを堪能できる曲でもある。激しい曲ではギターやらドラムやらに耳を捕られがちなので、ここではベースもしっかり味わって欲しい。好みは別れるが、クオリティとしてはXでナンバーワンのバラードだろう。サビの冒頭3音を聴いてレコード会社も只者ではないと感じたとか。YOSHIKIはこの後、自身の中で打倒「ENDLESS RAIN」を掲げることになるほど。(尚、どうやら未だ倒せないご様子)

⑦紅
世代を選ばない超絶有名曲。ストリングスのイントロから妖しげなアルペジオ、退廃的なTOSHIのボーカル、そこから突入していくX節全開のハイスピードメタル。ギターのバッキングも唯一左右で違う曲で、全パートが輝いて聴こえる。そして編曲的な面でも似たような曲は無く、有名な「紅に染まった〜」に辿り着くまで4分半あったり、ギターソロが何度も変化したり、代表曲にしてコアなファンからも愛される、Xの中でもどこか異彩を放つ曲。

⑧XCLAMATION
エキゾチックな打楽器のリズムがHIDEワールドに導き、それを遮って突如TAIJIの攻撃的なスラップベースが響く。YOSHIKIとHIDEとTAIJI、3人の世界が調和した見事なインスト。

⑨オルガスム
気が触れたかのようなドラムのフェードインと「オルガス〜厶!」の声が切れる入りがかっこいい。これまた時折ある、YOSHIKIの暴力性をそのまま閉じ込めたような激しい楽曲。どれだけ暴力的な表現をしても拭えない良メロがその素養を証明しており、Xの魅力満点。

⑩CELEBRATION
HIDE作曲。この変な入り方も彼の味。それまでの曲のYOSHIKI成分とのバランスを考えればこのタイミングで提供されるこういうロックがより気持ちいい。ウキウキで楽しげで、アウトロリフ前のギターなんかは男児向けアニメ感さえある。素晴らしい味変。

⑪ROSE OF PAIN
厳かなパイプオルガンとバッハのフーガト短調から始まるプログレッシブ・メタル。正直言って好みは別れそうな作風で、12分ある。だが切なく美しいメロディの応酬と激しいパートの行き来が楽しく、その長さを感じさせない一曲。フルオーケストラの使い方はしっかりクラシックが身についた人間のやり方で、JPOPのの飾りの為のようなストリングスとはまるで違うので、冒頭のフレーズがダメそうでも最後まで聴いてみてほしい。最後はしっかりXらしいハイスピードメタルが襲いかかってくる。(私も昔は冒頭が苦手でよくこの曲を飛ばしていた)

⑫UNFINISHED
しっかりエンディング感のある壮大でない大団円。バラードと呼べるかどうかなテンポが心地良い。あれほど壮大なプログレッシブ・メタルを聴かされた後だからこういうシンプルなピアノとドラムの活きる曲が染みる染みる。このサッと終わらせられる感性が日本人らしくて大好きだ。

と、ご覧の通り、捨て曲なしで曲順完璧な、ロック史に燦然と輝くアルバムである。
当然爆売れした。極論かもしれないが、
このアルバムだけでも世界的な評価は得られていただろう。
それだけこのアルバムは隙が無く、緩急も考え抜かれている。
ロックリスナー必聴のジャパニーズメタルの到達点の一つだ。


2.Jealousy(1991)

名ジャケットと思います?皆さん。

2年置いて出されたメジャーセカンドアルバム。本来は「ART OF LIFE」、「Sadistic Desire」、「Standing Sex」の3曲も収録され、2枚組となる予定だったが、大人の事情でそれらを除いた一枚のアルバムとなった。

まず言えるのは音質の大幅な向上。LAのスタジオで2億円以上かけただけのことはある。この音質の変化で特に印象が変わったのがドラムで、『BLUE BLOOD』時と比べると良くも悪くも荒々しさが削られた。まあ全体的に聴きやすくなっているとも言えるだろう。
このアルバムでは世界観はあえて統一されておらず、各々の個性の展覧会のようになっている。その為ビートルズのホワイトアルバムのような趣がある。統一性がないことでしか生まれないバラエティが、演奏する人間が統一されることでカラフルな魅力となっているのだ。

最高傑作は『BLUE BLOOD』だと思うが、聴き終わった後「あ〜楽しかった!」ってなる
私の1番のお気に入りの1枚。

では流れをさらおう。

1曲目ではこれぞYOSHIKIの曲だと感じさせるシリアスなピアノインスト。突如崩れるように不協和音が響いたあとファン人気1、2を争う目玉「Silent Jealousy」へ。この曲は全パートクソかっこいいのだが、特筆すべきはギターとピアノの掛け合い含む、やはり神がかったツインギターソロだ。私はこのギターソロを初めて聴いた時カッコよ過ぎて息が出来なかった。宇宙的にも感じるラストまで隙なしの神曲。

その壮大な世界からサウンドエフェクトを通じて一転、YOSHIKIとはまた違った、シニカルなHIDEの攻撃性が光る「Miscast」が3曲目に。ギターは全編HIDEの演奏であり、このあたりから良い意味で徐々に「Xらしさ」がわからなくなってくる。

続く4曲目はパワフルなゴスペルから幕を開けるアメリカンなハードロック「Desperate Angel」、このメンバーであればTAIJIにしか書けない爽やかなナンバーだ。

そしてアメリカの空気そのままなインスト、PATA作曲の5曲目「White Wind From Mr.Martin〜Pata's Nap〜」が優しくアコースティックギターで箸休めをくれる。
このアンプラグドな響きから和製「天国への階段」のようなTAIJI作曲の「Voiceless Screaming」にぬるっと入る。このクラシックギターが超絶技巧過ぎてここではHIDEもPATAも演奏に参加していない。作詞はTOSHIで、自身の声が出なかったことを英詞で綴っている。日本人にこれが書けるのか弾けるのかと驚かされる名曲。

突如、目覚ましビンタを食らうかのようにXの楽曲で最速、BPM200の「Stab Me In The Back」が轟く。初期ばりの激しい作風を進化させて綺麗に演奏しきる。ここではメインリフとソロを珍しくPATAが弾いており、さすがのテクニックに唸ってしまう。

気付けばまたHIDEの世界に突入。デジタルなクラシック三拍子とフランス語の詩が幻想的な「Love Replica」が鳴っていたかと思えば、ロックンロールパーティの喧騒に飛び込む「Joker」に。この曲は間違いなくXの曲の中で1番明るくてユーモラス。HIDEのポップセンスが踊らずにはいられなくさせる。

そして祭りの後かのようにバラード「Say Anything」が。個人的にはドラムのエコーが強過ぎて感動が薄れるのだが、それは高い水準の中の話で、ラストでわかりやすいXらしさを提示したことは充分効果的だ。

とまあこんな風に統一感はない。それ故に
「Xらしさ」というものに快楽に満ちた混乱を覚えていく。「X」には様々な意味があるが、「未知数」という意味があるのは誰でもご存知だろう。
XはXである限り定義付けは不可能であると笑うかのようなアルバムなのだ。
これに29分もある「ART OF LIFE」、初期の野性味溢れる「Standing Sex」、HIDEの曲の中で最も攻撃性の高い「Sadistic desire」が入っていた仕上がりを考えると恐ろしい。
とても片翼とは思えないクオリティ。


3.DAHLIA(1996)

ジャケは1番すき!

X JAPANと改名して初のアルバムで、前作『Jealousy』からは5年が経過していた。そして発表されたアルバムは10曲中6曲が既にシングルカット済みという、スタジオアルバムとしてありえない内容だったのが波紋を呼んだ作品。ただ、私はリアルタイムでなく後追い勢なので、そういったこと抜きで純粋に評価していきたい。
アルバム全体としては、バラード多過ぎという意見が散見されるが、私としてはその点はさほど気にならない。ギターの厚さなど同じバラードでも差があり、落ち着いていれば退屈せず聴けるだろう。私は『DAHLIA』内のバラードって「Say Anything」より質高いなと感じる。

だが言及せずにいられないのはHIDEの世界観に呑まれているという印象だ。私はhideの大ファンでもあるのだが、YOSHIKIが書いた表題曲「DAHLIA」、あの「Rusty Nail」さえHIDEの匂いが濃すぎると感じる。それによって統一感は生まれているが、前作『Jealousy』で見せてくれた骨太な本格ロックはもう見られない。新メンバーのHEATHがPATAと作曲した「WRIGGLE」もHIDE寄りの作風で、なんかずっと荒々しいYOSHIKIはいずこ、TAIJIはいずこと言った感じだが、TAIJIはクビになり、YOSHIKIは怪我がひどく、激しい曲を収録するのを幾つか見送った。

そしてTOSHIのボーカルは綺麗だが、YOSHIKI同様荒々しさを削がれている感じだ。今日テレビで観られるようなTOSHIの完成。もう俺は二度とこの人の歌で感動しないだろう。
と、なんかここまでネガキャンのようなことを書いたが、私はこのアルバム全然嫌いでは無い。注目曲だけ挙げる。

①DAHLIA
表題曲。これを一番好きな曲に挙げる人がいるくらいド頭がクソかっこいい。ただ歌メロがイマイチだという意見も……

②SCARS
めっちゃHIDE。独特の毒々しい世界観とリフ中の「イェーイェーイェー」が気持ちいい。メロからソロまで一級品で、Xらしさが嫌いな人にもオススメできるくらいロックとして優れた一曲。

③Longing〜跡切れたmelody〜
一番JPOP的な感性を感じる普遍的に優れたバラードである。ソロが良い意味でXらしくなさもあり、クラシックに依拠しない美メロが味わえる。

④Rusty Nail
個人的に好きじゃない曲なのだが、サビのメロは本当にいい。ニガテ要素は冒頭のテレテテレテの音と、語りからのしっとり落ち着く部分である。許せ。

⑦Tears
ザ・優れたXのバラード。少し終わるまでくどい。それ以上言うことはない。

⑩Forever Love Acoustic Version
ああああ!ここが!ここが普通にシングル版だったら!このアルバムもっと良かったのにい!Forever Loveの1番やばい部分って感傷が溶け出すようなギターソロなのだが、ここではオーケストラとTOSHIだけの世界になり、良メロだが、どこか歯抜け感が。

傑作かと聞かれれば首を縦に振ることはできないが、HIDEの味とYOSHIKIのバラードが好きであれば全然楽しめる一枚だ。全盛期がヤバ過ぎるだけで、よくできていると思う。



まとめとおまけ

さあ、日本中を席巻したモンスターバンドのアルバムたちを見てきましたがいかがだったでしょうか?とにかくこのバンドは楽器が良いので、そちらに耳を傾けながら聴いて欲しいのですが、これは洋楽を聴く上でも必須の心得です。Xは良い意味で日本のロックって感じなのですが、この聴き方は洋楽ロック初心者の扉のカギにもなってます。

とりあえず総括としては『BLUE BLOOD』は絶対聴いて頂きたく、その良さがわかった人、色々物足りなさを感じた人は『Jealousy』を。『DAHLIA』は余力のある方や気が向いた時で構いません。
おすすめベストはこれ。

X Singles(1993)

『Jealousy』時代までの神曲からアルバム収録されなかった名曲、素晴らしいバージョン違いまでを楽しめるシングルコレクションです。はっきり言って『BLUE BLOOD』とか敷居は低くないのでここで何となく聴いとくのもありだと思います!
逆にもっとドギツイやつが欲しいよ!って玄人な方!『ART OF LIFE』(1993)をおすすめします。

29分の大作「ART OF LIFE」一曲が収録されたこれをアルバム扱いにするか迷いましたが、アルバムではないなと思って外すことにしました。かなり芸術性の高い作品で、軽い気持ちで聴くとぶったまげます。「ROSE OF PAIN」同様激しくなったり落ち着いたりするのですが、ここで表現されるYOSHIKIの人生を直視させられていることにギョッとします。これはふんどしを引き締めるような気持ちで聴いて頂きたいです。

さ、マニアでもないのに長々と失礼致しました。Xを忘れないでね!!また逢う日まで!!かいさーーーん!!!


THE YELLOW MONKEYやQUEENの全アルバムレビューも書いてるのでそちらもよしなに……

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