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壁抜けするには地下水脈のつながりが大切です

父と母は従兄妹同士でした。小さい頃から父は母のことを好きで周囲の反対を押し切って結婚しました。仲の良い夫婦だったと思います。

母が亡くなってすぐ父は、女性と付き合い出しました。父は家に帰らなくなりました。

残された子どもたちは、それぞれが自分のことで精一杯でした。誰も祖母のことを思いやることができませんでした。

嫁であり、姪である母に頼りきりのお嬢様育ちの祖母は、壊れてしまいました。

自宅の鴨居に祖父の帯を括りつけ、自ら命を絶ちました。

祖母を見つけたのは、私でした。


私はねじをまくことができなくなり井戸の底に何年も潜っていました。

深く潜って、自分をどこまでも普遍化していけば、場所とか時間を超えて、どこか別の場所に行けるんだという確信を得られた。 隔てられているように見える世界も、実は隔てられてないんだということ。             

村上春樹 ねじまきクロニクル

祖父母がいて、母がいて、家族がいるということがしあわせだったと気が付いたのが私の壁抜けです。生きているだけでしあわせ。



井戸の底の地下水脈は、色々なものとつながっています。

しあわせとも、そうでないものとも。

大切な人とも。

ノモンハンの暴力とも。

そうでない方があるのを知り

自分の正しい水脈を探しあてること。

地下水脈を探すということは、誰かを思いやるということだと思います。



noteにも水が流れています。

大きな大河もあるけど、そこから枝分かれしていくつもの小川があります。

小さな生まれたばかりの湧き水や、勢いのある滝もあります。

それらはどこかでつながっています。

流れを止めることはできないかもしれないけど、

あなたを見つけたら挨拶したい。

おはよう、こんにちは こんばんは おやすみなさい

あなたも井戸の底、知っているよね。

まだそこにいるの

抜けられたの

大丈夫だよ、あなたも壁抜けできるよ

見つかるよ、あなたの水脈。

私が今しあわせなのだから、あなたもいつかきっとあなたの水脈を見つけることができるよ。


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