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テロリストのホットドック

2007年に59歳で亡くなった藤原伊織さんは、夫と同世代。村上春樹さんもだけど。生きていれば今74歳。

藤原伊織さんの作品は、どこかくたびれていたり、諦観したりしている中年が主人公となる場合が多いですが、いざとなったときに強くたくましく格好良いです。推理力や行動力で真相に迫っていく姿は躍動的でぐいぐい惹きこまれていきます。

テロリストのパラソル    藤原伊織

アル中のバーテン・島村は、ある朝いつものように新宿の公園でウイスキーを呷った。ほどなく、爆弾テロ事件が発生。全共闘運動に身を投じ指名手配された過去を持つ島村は、犠牲者の中にかつての仲間の名を見つけ、事件の真相を追う―。乱歩賞&直木賞を史上初めてダブル受賞した傑作。

【「BOOK」データベースの商品解説】

島村のバーには、食べものがホットドックしかありません。やくざの客も「かんたんなものほど、むずかしいんだ。このホットドックは、たしかによきできている」と言ってます。

フライパンにバターを溶かし、ソーセージを軽く炒めた。次に千切りにしたキャベツを放りこんだ。塩と黒コショウ、それにカレー粉をふりかける。キャベツをパンにはさみ、ソーセージを乗せた。オーブンレンジにいれて待った。

作ってみました。

パンの生地はホームベーカリーで作りました。成形は小さめ。
パンが小さくって、ソーセージが大きい。キャベツはカレー味。

手作りパンの甘みとカレー味のキャベツとソーセージがパリッとして。やくざさんたちは、ビールでしたがウイスキーで。ふふふ。笑っちゃうほどいい関係、マリアージュ。

やっぱり、この本読んだ方々ホットドック、作ってますね。たくさんありました。

1971年の事件から、22年後だから1993年が舞台で。
時が流れて、変わらないものと変わってしまったものがあります。

地獄と絶望から抜け出し復讐のために金という力を手に入れたものも。

君はのんきだった。ほんとうににのんきだった。鈍感さとは違う。春の野原に一本だけ立つ樫木みたいな自由なのんきさだよ。

それが他者には魅力的に見え、ある者には嫉妬や殺意を生み出すこともあります。

自分自身で意識してなくっても、好むと好まざるともかかわらず。彼らの世界に限らず、実世界でもSNSでも。

テロリストのホットドック、と書いちゃいましたが主人公島村はテロリストではないです。たぶん。アル中バーテン元全共闘のホットドック?

テロの定義は警察庁組織令第三十九条で

テロリズム(広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動をいう。)」 

と規定されているそうです。

ホットドックとウィスキーをご用意して読みたいハードボイルドです。

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