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【ネタバレ感想】Emily in Paris(エミリー、パリに行く)をSATCと比較考察してみた

こんばんは、シンガポールで働く日本人、ニコールです。

今日は最近Netflixで公開された「Emiliy in Paris(エミリー、パリに行く)」を一気見してしまったので、その考察と感想を!

「Emily in Paris」は「Sex and the City」のDarren Starが監督、しかも衣装もSATCで有名なPatricia Fieldということで、見ないわけには行かないでしょう。私は「Sex and the City」の大ファンなので、SATCでキャリーが選べなかったパリを舞台にアメリカ女子が奮闘するなんてリベンジみたいで面白そう!と公開前からワクワクでした。

結果的にとても面白かったですし、シャンパン片手に女子会で流しながらキャーキャー言うのに最適なドラマです★おしゃれな景色、素敵なファッション、おいしそうなフレンチが随所に出てくるのも最高!

そしてここからは私なりに「Emily in Paris」シーズン1を通して考察していきたいと思います。(ネタバレありますのでご注意ください)

1. ゴシップガールとの関連

SATCと製作陣が近いにも関わらず、実はゴシップガールとのリンクが各所に出てきます。例えば、大物デザイナー「ピエール・カドー」との謁見(笑)のシーンで、エミリーがゴシップガールのセリーナ・ヴァンダーウッドセンに憧れてバッグに着けていたチャームのせいで彼女はピエールに「平凡な女!」と嫌悪されてしまい、出入り禁止に。その後、その汚名を挽回するべくピエールがコスチュームデザインを手掛けるバレエの観客席まで押しかけ、「私はセリーナみたいな女性になりたかった。でも私たちみたいな平凡女はそうはなれない、だからこのチャームを買って少しでも近づこうとするんです。あなたの服もそういう”平凡女”がいるから成り立つの」というシーンがあり、彼女が終始一貫して「ゴシップガールのある世界でセリーナに憧れる女子だった」ことがわかります。その案件以降、ピエールはエミリーのことを「ゴシップガール」と呼んだり。

でも、ゴシップガールとの関連で見ると、個人的にはエミリーのファッションはセリーナよりもブレアに近いなと思っています。シャネルやディオールなどのクラシックブランドを好み、パンツより上品ながらも丈の短いスカートを多く着用、ブルネットでメイクも真っ赤なマットな口紅、内面的にもシーズン1の中盤くらいまでは結構お堅い印象。モードなブランドや金髪でピタピタのセクシーな服、ナチュラルメイク×グロスというセリーナとは真逆なので、反対側の性質に憧れているんでしょうかね??

主人公のエミリーの年齢は明らかにされていないのですが、演じるリリー・コリンズが現在31歳なので、おそらく30歳前後がターゲット。リアルタイムでゴシップガールを見ていた世代に刺さるポイントをついてきているのかなと思います。

2. クレイジーリッチ認知後の世界

2018年にブームになった「クレイジー・リッチ」の世界観も絶妙に入っています。近年のNetflixはLGBTQへの配慮がすごいので、当然キャストにはアジア系もアフリカ系もゲイの方もいるのですが、エミリーの親友ミンディーは中国のファスナー王の娘という設定。親の期待を裏切り、パリのビジネススクールに入り(INSEADとかですかね)退学して今は気ままに子守の仕事をしているという自由な女性ですが、彼女の中華系の友人たちがクレイジーリッチのオーディションからそのままひっぱってきたんじゃないかっていう感じの人たち。

ミンディーの親友のバチェロレッテパーティでシャンパンをぶちまけまくるというシーンがあったり、

ファッションのテイストもどことなく「アジア」。そしてミンディーの復帰となる舞台は「@CRAYSHAYY(日本語字幕だと@CRAZYSHAY:クレイジーシェイ)」というアカウントでインスタライブ配信されているという!このCRAYは絶対「クレイジー・リッチ」から来ているでしょ笑。

3. 終わらない春

SATCは実はシーズン6以外はほとんど初夏~初秋までのシーズンで撮影されていて、監督のダーレン・スターも「SATCはファッションも主役のドラマ。だからシーズンは常に”終わらない春”を想定して撮影している」と語っています。今回の「Emily in Paris」も季節感が曖昧に見えるように撮影されており、コートを着ている日もあれば、肩だしのワンピース1枚で歩いている日も。全くの真夏/真冬だとおしゃれの幅は限られるという点では、今回も季節感が曖昧になることで、エミリーはいろいろなファッションにチャレンジしています(通年真夏のシンガポールにいると羨ましいくらい!)。

同じシーズンの間にこんな真夏と真冬が混在するってある??笑

4. 影響力の武器(ちょっと非現実的だけど)

SATCの時、主人公キャリー・ブラッドショーはコラムニストでした。コラムで有名になり、次第にセレブとしての地位を確立していく、という影響力の持ち方をしていたのですが、エミリーは結構初期に影響力を獲得します。今や避けて通れないSNSとマーケティングの知識を武器に、彼女は数週間でフォロワーが2万人まで成長!(そんなことある??)しかも自社の商品の投稿をしたものを、マクロン大統領の奥様が見ていて投稿した、というウルトラCまで。笑

インフルエンサーイベントに呼ばれてその場でアップしたものをクライアントが別室で見ていて、「あなた、大統領夫人にコメントされてたわね」みたいな感じで気に入られていくというちょっとあり得ない展開も。笑

ただ、今の世の中、マーケティングとSNSというのはかつてのコラムと同じくらい影響力があるものになったのだと感じさせます。クライアントとエミリーの会話の中でも、広告代理店は高いだけで効果が薄いから使わない、今はインフルエンサーをいかに活用するかだ、というような一説があり、マーケティングというものが見直されている時代なのだろうな、と。

5. プラダを着た悪魔のオマージュ

パリ×ファッション×働く女子ということで、「プラダを着た悪魔」とも結構リンクがあるんです!

まず、ファッションはプラダ~で活躍したパトリシア・フィールドが担当。さらに嫌味ばかり言ってくる上司シルヴィーとの会話。さすがに「That's all」とは言わないけれど、プラダ~のミランダのようなつっけんどんな会話が随所にあります。

そして極めつけは、第8話「家族の事情」の冒頭で、エミリーに友人のカミーユが「うちの実家のマーケティングをお願いしたい」というシーン。プラダを着た悪魔のサントラが使用されていました!

6. 「私いい子なんです」というメッセージ

エミリーはシーズン通してよく柄ものを来ているのですが、結構多いのがチェックやアーガイルのような伝統柄。これはファッションの示す意味としては「保守的、コンサバ、良い子、貞淑」などを表します。

彼女の着こなしで多いのは、インナーが伝統柄、アウターが原色というスタイル。華やかでどんどん積極的になっていきたい外側へ向けた自分と、実は古風でコンサバな考え方(男性とのお付き合いとか?)なキャラクターを表現しています。

特に第1話の冒頭で着用しているこのパーカー(リリー・コリンズじゃなかったら田舎のおばちゃんになりうる。。。)。これもあえて伝統柄なんでしょうね。最初はアウターにするくらいシカゴで外の世界を知らずに保守的な暮らしをしていたエミリーが、パリに来て原色をまとうようになっていくという変化を示すために選ばれたのではないかと思います。

7. 靴<バッグ?

SATCでもプラダでも、靴(ハイヒール)は一つの小道具として活用されてきていましたが、「Emily in Paris」では全然フィーチャーされていない!!その代わりに、遊び心あるバッグやクラシックなシャネルやディオールのバッグなどが映ります。

定番のシャネル

謎だけどかわいい「ふさふさバッグ」!

ちなみにふさふさバッグはSATCでも出てきます。

この靴からバッグにフィーチャーポイントが変わっているのは、何となくなんですが、近年のフェミニズム運動で「ハイヒール」に対する風当たりが強くなったからではないかと思います。本人の好き好きなんでいいのではないかと私なんかは思いますが(好きだし)、ポリティカルコレクトネスを何より重視するNetflix的にはハイヒールを女性の象徴としてフォーカスするのは避けたんでしょうかね。残念。。ぜひシーズン2では靴にもフォーカスしてほしい><!

ということで、長く書いてきましたが、「Emily in Paris」はシーズン2も早く出ないかなと期待しています!おすすめです★

ではでは~。

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