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書き始めるときの心構え3つ〜小説のちょっとしたコツ

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「書き始めるときの心構え」です。


力の入れすぎ

小説を書き始めるときは、とても緊張しますよね。

「いよいよ書き始めるぞ!」という高揚感と、「書き終えられるかなあ……」という不安が入り混じって、心がざわつくものです。


ただ、書き始めは最初の一歩ですから、あまり力を入れすぎても上手くいきません。

特に長編の執筆はマラソンのようなものですから、最初から全力を出すと、完走するのが難しくなります。


力が入りすぎていると感じたら、以下くらいを思い出すといいですね。

  1. ゆっくり始めてもいい

  2. テンションを上げすぎない

  3. あとで削ることになる

それぞれ簡単に見ていきましょう。


1.ゆっくり始めてもいい

よく小説指南本に「書き始めの1行ですべてが決まる」みたいに書いてありますよね。

最初の1行に全力を注ぐことを推奨する本もたくさんあります。


確かに、最初の1文がハッとするようなものだと、「これはすごいぞ」と興味を引かれるのも事実です。

ですが、私はジャンルがライトなエンタメということもあり、そこまで最初の1文を気にしません。

むしろ最初の1文が凝りすぎていると、「お、おう……」とちょっと引いてしまうことさえあります。


ですから、私はどちらかといえば、冒頭は普通の文章でゆっくり始めてもいいと考えています。

冒頭というのは、作者と読者が初めて顔を合わせる瞬間です。

初対面のときは、探り探り話を進めるものでしょう。

お互いの話し方や話題、しゃべるタイミングなどがわかってきて、初めて会話が進んでいきます。


小説でも同じことです。

最初は作者のリズムがつかめず、読者は混乱します。

つっかえながら、ゆっくり読んでいくのが普通でしょう。

ですが、読み進めていくうちに、次第にリズムに慣れてきます。

すると、やがて文章が気にならなくなり、物語だけが読者の頭に入ってくるのです。

最初の1文で、無理に自分を主張しなくても大丈夫です。

ゆっくりと自分のことを知ってもらい、しかるのち、少しずつギアを上げていきましょう。

「最初の1文ですべてが決まる!」と力みすぎているようなら、このことを思い出すといいですね。



2.テンションを上げすぎない

自分の緊張度(テンション)をある程度一定に保たないと、長い執筆作業を乗り切れません。

だいたいにおいて、書き始めはテンションが上がるものです。

ですが、冒頭ですべての力を使い果たし、途中で力尽きるようなら本末転倒です。


途中をなんとか乗り切れても、クライマックスを書くのにはかなりのエネルギーが必要です。

冒頭から必要以上にテンションを上げていると、クライマックス前でガス欠になってしまうでしょう。

マラソンで言えば、終盤に「心臓破りの坂」があるみたいな感じですね。

肉体的にも精神的にも、序盤にエネルギーを使いすぎていると、坂の前で「もう動けない……」と座り込むことになります。


一度失敗しないとわからないかもしれませんが、書き始めであまりテンションを上げない方がいいでしょう。

がっかりするかもしれませんが、どうせ冒頭は書き直すことになります。

ですから、書き始めはがんばりすぎないくらいでちょうどいいのです。



3.あとで削ることになる

上でも書いたとおり、おそらく冒頭は書き直すことになるでしょう。

もっと言えば、ごっそり削ってもだいたい問題ありません。


人のことは言えませんが、初心者の方は、ほとんどの場合、冒頭でムダなことを書いているものです。

書き始めの勢いで、世界の設定や人物の情報など、ムダな情報をたくさん書いてしまうのですね。


ひどい言い方をすると、最初の5〜10ページを機械的に削っても、物語に何の影響もないと思います。

それどころか、削った方が展開がスムーズになるでしょう。


初心者の方は、きっかけとなる事件を起こすのが遅くなりがちです。

もっと早く事件を起こすためにも冒頭を削りましょう。

事件を起こせば、自動的に、

  • ジャンル

  • 舞台

  • 時代

  • 主人公

  • 解決すべき問題

が判明します。

これらがわからないと、読者は物語の中で迷子になってしまいます。

できるだけ早く、これらの情報を読者に伝えなければなりません。

そのためには、早めに事件を起こせばいいだけです。


いずれにせよ、冒頭は削ることになるのが普通です。

あとで削るものなのだとゆるく考えておくのがいいと思います。


最初に書く冒頭は、助走みたいなものだと考えてもいいですね。

助走が終わってからが本当のスタートです。

とはいえ、助走がムダだったというわけではありません。

軽く走ってみるからこそ、良いスタートが切れるのです。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「書き始めるときの心構え」でした。

  1. 書き始めに力を入れすぎない方がいい

  2. ゆっくり始めてもいい

  3. テンションを上げすぎない

  4. あとで削ることになる

もちろん冒頭に全力を注ぐ姿勢が間違っているわけではありません。

ただ初心者のころは力みすぎるものなので、少し力を抜いた方がいいかなと思います。

それではまたくまー。

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