キューバでゴハンを食べたときのこと
「海外に…行きたい…」という気持ちが爆発しそうな今日この頃。
私はヨーロッパもアメリカも行ったことが無いくせに、なぜかキューバには行きました。
「あの古き良き街並みを見たい!社会人になったら絶対に行けない!」と思い、学生時代に訪れたのです。
ご存じの通り、キューバは社会主義国家です。見るものすべてが新鮮。もちろん食も。
せっかくなので、当時のブログ記事を若干加筆修正しnoteにアップします。
※写真が大量にあります!
キューバの食文化
キューバの食文化は、かつて植民地として支配したスペイン人、奴隷として連れて来られたアフリカ人、そして独立後~キューバ革命まで密接な関係にあったアメリカの文化がミックスされたもの。
街を歩くだけでも、その文化の多様性が分かります。
たとえばチュロス屋が至る所にあるし(その場で揚げてくれる)
アメリカの影響でピザ屋やアイスクリーム屋もたくさんあります
(キューバのピザは生地が厚くて、日本の「パン屋のピザ」に近い)
キューバの定番料理「コングリ」という赤インゲンマメの炊き込みご飯は、完全にアフリカの食文化を反映した食べもの。
キューバの主食は米とパン。白米で出てくることは滅多になく、大抵塩か豆、もしくはその両方で炊いてあります。コングリはお赤飯に近い。
付け合わせは、ポテトと思いきや実はバナナ。私たちが知る甘いバナナではなく、「プランテーン」という調理用の青バナナ。味はほとんどありません。毎食、かならず目にするメジャーな料理です。
キューバごはんの味
キューバごはんの特徴として真っ先に思い浮かんだのは、「味付けのシンプルさ」。
サラダは卓上のオリーブオイルと塩で各自味付けするスタイル。野菜は大抵グリルしてありこれも味付けは塩のみ、魚は白身魚をバターでソテーしたものが多かったです。
全体的に、塩のみで味付けされている料理が多い印象でした。コーンスープやビスケットも塩味。
「キューバ料理はクセがない」と評されるのも、「塩だけで味付けしているからでは?」とひそかに思っています。
一方、肉料理はかなりこってりしています。
ハバナで食べたこの料理は、牛肉の中にハムとチーズがinされているというヘビー級のメインディッシュ。
(キューバ滞在中、ここが一番お高いレストランだったかも)
主菜はお肉が中心で、豚・鶏・牛のどれも食べられていますが、鶏肉料理が多いように感じました。ハムやソーセージなどの加工品も遭遇頻度が高かったです。
(ホテルの朝食バイキング。ちなみにフルーツも豊富で、ドラゴンフルーツ、パイナップル、パパイヤは至る所で見かけました )
社会主義国の食とは
キューバごはんの味付けがシンプルな理由は、スーパーマーケットに行けば一目瞭然でした。
ここは首都ハバナのスーパー。たった2種類のマヨネーズが棚を埋め尽くしています。
日本のスーパーでは、マヨネーズというひとつとっても、「キユーピー」「味の素」といったメーカーの違い、「カロリーハーフ」「明太子マヨネーズ」など種類の違い、「スティックタイプ」「大容量タイプ」など量や形態の違いなど、とにかく多種多様なマヨネーズが並びます。
キューバのスーパーには、国営企業が生産する数種類の商品だけが置かれています。
同じ店の缶詰売り場もこんな感じ。
商品の種類がいかに少ないかは、店のディスプレイにありありと現れています。
ちなみにこのスーパーは、日本のコンビニと同じくらいの広さの店でした。
それと、キューバの食を語るうえで欠かせないのが「配給所」の存在。
キューバには配給制度があり、パン、米、豆類、砂糖、塩、卵、油、酢、鶏肉、石鹸、歯磨き、コーヒー、タバコ、粉の牛乳(子供用)、生理用品などが配給されているそうです。
配給制度のおかげで、キューバではしばらく餓死者が出ていないことが自慢と地元の方から聞きました。
これは配給所内のお米配給コーナー@ハバナ。
配給所からたまごを持ち帰るひと。
ただ、配給だけでは足りないので、自由市場で買い足しているのが現状だそう。
街中には先ほどのようなスーパーや屋台があるので、そこで買い足しするようです。
(道端でこうした露店をよく見かけます。野菜がどれも新鮮そう。)
じつは、キューバは過去にソ連崩壊に伴う燃料不足に陥ったことから、「苦肉の策として」国をあげて有機農法に切り替えた歴史があります。いまでは有機農業先進国として、海外から視察がくることもあるとか。
(移動中のバスから見たキューバの畑)
キューバという国のシンプルさ
キューバのシンプルさは、思想や主義に関係なく、なんというか心地のよいものでした。
貧富の差がないから差別も無く、治安は信じられないほどよく、人々は楽しそうに日がな外でおしゃべりを楽しんでいる。
食も、とにかくシンプル。味も素材もディスプレイも。
(キューバ滞在中唯一見かけたお肉屋さん。豪快なディスプレイ!)
(ちなみに花屋さんもとってもシンプル)
日本に帰国したその日、街を少し歩いただけで、寿司屋・うどん屋・とんかつ屋・ラーメン屋・お好み焼き屋・中華料理屋・焼肉屋etcとそれらの美しいショーケースが目に入り、これほど日本の食の多様さを実感したのは初めてだったかもしれません。
日本の食は(おおくの人にとって)ほぼ確実に豊かです。
同時に、キューバの食はまた別の次元の豊かさがあると確信しています。
それぞれの家庭で食べきれるだけの食糧が、一人として取りこぼされることなく分配される。食は多様な価値を提供してくれますが、それ以前に、誰にとっても等しく生きるために必要なものです。そこに立ち返ると、その意味でキューバの食は間違いなく豊かだと思います。
また、アメリカと断絶状態にあっても、アメリカから入ってきたピザやアイスクリーム、簡易版ハンバーガーなどの文化は根付いている。そこに「おいしいもの」の力と、ともすると強かささえも感じます。
キューバは本当に素敵な国でした。死ぬ前に、もう一度訪れたい国のひとつです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?