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書評「稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである」(葦原一正)

2015年12月に行われた「SAJ2015」の基調講演で、僕は衝撃を受けました。

基調講演を行ったのは、Bリーグチェアマンの大河正明さん。大河さんの話で特に衝撃を受けたのは、バスケットボールに関わる人のデータをすべて統合して管理するという発想です。

従来はバラバラに管理していた、チケット、グッズ、ファンクラブといったリーグのファンのデータだけでなく、競技者、指導者のデータもリーグと協会で連携して共通のデータベースで管理する。この取組が上手くいけば、バスケットボールに関わる人に対して、細かいサービス提供が可能になります。

デジタルマーケティングに関わる仕事をしている人間にとって、どの企業も、どのプラットフォームもできていない、理想的な環境を構築しようとしている事を知り、僕は衝撃を受けました。

そして、こう思いました。Bリーグは絶対に成功すると

Bリーグ参画から、デジタルマーケティングを含め、様々な取り組みを主導してきたのは、「稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである」の著者である葦原一正さん。本書には、Bリーグ開幕前からの短期間でどのような準備を行ったのか、LEDコートで大きな驚きを与えた開幕戦はどのように企画したのか、Bリーグの現在地と課題について、とても率直に書かれた書籍です。

何事も稼がなければ続かない

本書で最も強調されているのは、「稼ぐ」ことの大切さです。事業として継続的に運営していくのであれば、いかに「稼ぐ」かを考えるのは当たり前のことですが、スポーツはなぜか清貧思想があり、「稼ぐ」ことをないがしろにしているところがありました。

ところが本書はタイトルでも「稼ぐがすべて」と強調しているとおり、稼ぐことの大切さを伝えています。稼ぐためには、いかにファンを試合に集客し、集客できるという価値を元手に協賛してくれる企業を集めなければならないのですが、日本のスポーツチームの取り組みを調べていると、なぜか最初から協賛企業を集める傾向があると感じます。

そして、集客をするためには、デジタルコンテンツを用いたマーケティングが不可欠です。隠れているファンをいかに掘り起こし、試合に来てもらうには、来てもらいたいお客様を見据えた、継続的な情報発信が不可欠です。

稼ぐためには、まずは人を集める。そのために何をすべきなのか。本書は緻密に組み立てられた戦略を分かりやすく説明くれています。スポーツビジネスに興味がある人は、絶対に読むべき本だと思います。

Bリーグの開幕が僕を変えた

本書を読みながら、僕はBリーグ開幕以降に起こったことを思い出していました。

Bリーグ開幕を控えたある日、なぜか僕はBリーグの事務所に行き、当時広報部長を務めていた経沢さんをご紹介頂きました。

経沢さんが「露出できるなら何でもします!」というので、僕は思わず「いいましたね!忘れないでくださいよ!!」とお伝えしてしばらくしてから、会社の仕事でBリーグの方を取材することになり、経沢さんに連絡し、短期間で取材をセッティング頂いたことがありました。

Bリーグ開幕後に行った、日本スポーツアナリスト協会のバスケットボールに関するイベントに関わったことで、僕の人間関係は大きく変わりました。

佐々木クリスさんはBリーグ公認アナリストになり、末広朋也さんは名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15のヘッドコーチになり、斉藤千尋さんはBリーグの経営企画室でご活躍されています。今も3名からはバスケットボールというスポーツについて、多くのことを学ばせて頂いております。

そして、Bリーグの開幕戦を見なければ、長女はアルバルク東京のファンになってないかもしれません。

僕が「Bリーグ凄いよ!」とブログに書いた後、何名かの人がBリーグを見に行ってくださったのはすごく嬉しかったです。そして、見に行ってくださった方の多くは、Bリーグのブースターとして今もアリーナに足を運んでくださってます。

そして、サッカーのことばかり書いてきた僕は、Bリーグ開幕をきっかけにバスケットボールの事を書くことが増えました。メディアでの寄稿は、サッカーよりバスケットボールの方が多いほどです。

千葉ジェッツの木村さんと出会うこともなかったと思います。

Bリーグは僕の人生を良い方向に変えてくれました。本当に感謝しています。

僕自身はBリーグが開幕前に考えていたことが形になり、多くのファンの人が知るのはこれからだと思います。この本は何度も読み返すと思います。素晴らしい本でした。ぜひ読んでみてください。


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