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西野食堂

なにはともあれ、お腹の具合が気になる。
お腹の具合というのは、家人たちの空腹の程度のことである。わたしが家にいて帰宅する家人を迎える場合でも、逆にわたしが家人の待つ家に帰宅する場合でも、家人の顔を見るや、
「お腹は?」
わたしはこう訊かずにはいられない。それに対して「すいてる」「食べてきたから炭水化物はいらないけど、なにかちょっと食べたい」「冷蔵庫にあるもの食べたよ」「すいてない」なんぞという応えが返ってくるが、ときには「すいていない」と言い切きりながらも「やっぱりなにかある?」というようなこともあるから、気が抜けない。

ちょっとしたモノをこさえるような場合は冷蔵庫や缶詰やら乾麺、ソース類をストックしている抽斗をのぞく。わたしの(得意技)はといえばあるものでチャッチャとこさえることだ。

しっかり食べたいときにはサンドイッチがはやい。
・冷凍してある食パンを魚焼きグリルで焼く。
・レタス(多め)や胡瓜、トマト(生食可の野菜ならなんでもいい)を洗いしっかり水気をとる。
・ベーコンと卵を焼く(目玉焼きでもスクランブルでも、気分次第)。
・焼けたパンをラップやクッキングシートの上にのせて、一枚にはマヨネーズとマスタードを、もう一枚にはバターを塗る。
・べーコン、卵、山盛りの野菜にチーズをのせて、バターを塗ったパンで挟む。
・ラップやクッキングシートでパンをきつめに包み、半分に切り分ける。

ちょっとしたもの、なんてときには、かぼちゃスープの出番が多い。
適当に皮を剥いて、適当な大きさ(小さめ)に切り、ひたひたの水で茹でる。柔らかくなったらブレンダーで混ぜ、牛乳を加える。味付けは塩、胡椒。バターを入れてもよし。
サンドイッチは十分たらず、スープは十五分もあればできあがる。特別なレシピではないけれど、特別でないから手早くできる。

とはいっても、毎度毎度、空腹人(くうふくびと)の期待に応えることはしない。残りもののサラダや味噌汁を勧めたり、インスタント味噌汁や冷凍食品の存在を教えるにとどめることもある。お腹の空き具合を訊いたとて、いつだってわたしが作り人になるという話ではないのです。ただね、お腹をすかせている人が家にいるとなると、どうしても黙っちゃいられないのだ。家にいる人というのは家人たちにかぎらず。訪ねてきた両親や姉妹といった身内や、娘たちの友だちにもわたしはやっているからね。
「お腹は?」

で、ハタと気がついた。言うだけでなく、わたしも言われていることを。夫やわたしの両親の家にいけば母や父から、姉妹たちの家では姉妹たちから訊かれる。
「お腹すいてない?」
そうか。家を預かる者たるや、まずは腹具合が心配になるものらしい。そしてにわかに「〇〇食堂」を開店しちゃうんだなぁ。

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