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エッセイ『平成生まれの怪獣少年』12 ~平成ガメラといえばトト~


今回は、ちょっとまた時系列が入り乱れますが、『ゴジラ』について以前語ってしまったので、今回は『ガメラ』シリーズについてお話します。
(あと、サムネをちょっと変更しました。もう10回くらいやったし。)


まあ、ガメラといっても、よく語られる金子修介監督の『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)に端を発する平成ガメラシリーズではなく、それが一旦完結(※未完)した後で角川を中心に制作された『小さき勇者たち GAMERA』(2006)のお話。

子供の頃に劇場に見に行く事が出来たのは、この『小さき勇者たち』の方ですからね。
ちゃっかりDVDも持っているくらいで、家族4人で茨城に行って見て来たような覚えがあります。
タイミングとしては、おそらく小学校6年生のゴールデンウィークに見たんでしょうね。


親父が一番ガメラ好き


映画の話より先にちょっとだけ。


これは、父親がトイザらスで買ったガメラの人形です。
それ以前は、「たまたまゲーセンで取れた」とかそんな事を言って玩具を持ち帰ってきたり、「もらった」と言ってマジンガーZのでかい謎の人形をくれたりという事はあったんですが、トイザらスに行った時には、気まぐれで突然これを買ってくれたので驚いたのを覚えています。

(ちなみにそのマジンガー。でかい。)

こちらとしては、『大怪獣ガメラ』(1965)はそこまで思い入れもなかったんですが、買って貰えるなら嬉しいと貰った覚えがあります。
しかも、それまでの「THE 子供向け」みたいなシンプルな造形のライダーヒーローシリーズやウルトラヒーローシリーズに比べると、やたら精巧でもあり、それでいてきっちり軽くて子供が遊べるので、結構重宝させてもらったフィギュアでした。
当時は結構叩きつけて戦わせていたのが、今では普通にっ飾ってみても迫力がある感じです。写真じゃ伝わりづらいですが。



うーん。
多分ですが、「X-PLUS フィギュア 大怪獣シリーズ ガメラ」ですね。
これは、バラバラな状態で販売されていて、それを組み立てるんですが、手足がはまりづらいのでドライヤーで温めて柔らかくしてからはめていた覚えがあります。
いつ頃販売していた物なんでしょうね。


……まあ、とにかく、親父が突然こんな物を買い出した理由は、たぶん「ガメラが好きだから」に他ならないんでしょう。
ゴジラよりガメラの方が好きだったという人です。


そういえば、小さい頃には表紙に『ジャイアントロボ』(1967)がいるからなんて理由で、『スーパープレミアムビデオ 東映特撮大図鑑』というVHSを借りてきた事もありましたし、日本映画専門チャンネルか何かで『宇宙猿人ゴリ/スペクトルマン』(1971)の再放送が行われた時には、突如として録画して見ようとしていた事もあります。

あとは、『ウルトラセブン』(1967)、『キャプテンウルトラ』(1967)、『仮面の忍者赤影』(1967)、『シルバー仮面』(1971)、『快傑ライオン丸』(1972)、『愛の戦士レインボーマン』(1972)とかも見ていた世代らしいですね。その辺の特撮はそこそこに知っていました。
なので、話を聞く限りでは、60年代後半~72年世代って感じです。

……父の場合、別に私と違って特撮ファン・アニメファンとかっていうワケではないんですが、不意に子供の頃の作品を懐かしんで手を出す事はあるみたいですね。



中でもやっぱりガメラなんですよね。
よほど思い入れがあったのか、チラホラと話します。
具体的にストーリーを覚えてはいないのかもしれませんが、ギャオスやギロンの話はされた覚えがありますね。

ちゃっかり、私もなんだかんだでいまだにゴジラのフィギュアは全く買ってないので、このガメラだけがどでかく飾ってあるのは異質です。
このへんのせいで、私もガメラの方が思い出深くなっちゃってますね。


GWには父子でガメラを!


……という事情で、幼い私はガメラを漠然としか知らないまま、気づけば映画館で『小さき勇者たちGAMERA』を見ていました。
見せられたのか、見せてもらったのかは全く覚えてないんですが、それにしてはワクワクして見るテンションでもなく、とりあえず見に行った感じな気がしています。

まあ金子修介監督の平成ガメラシリーズをテレビでチラッと拝見する事自体は微かに記憶にありましたから、多分過去のガメラもちょっと見てはいたんですけど、それでもガメラの中で内容を覚えていた作品は今作が初めてだと思いますね。

この頃は結構頻繁に家族で映画を見る事があって、その前後もジュブナイル映画を結構見ましたし(たぶんティガダイナガイアのお話をした時にしました)、あの時に挙げた作品以外にも『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)、『子ぎつねヘレン』(2006)も見たかなぁ……。



とりあえず、ガメラの場合は、親父の主導と、私が多少見たいって言ったくらいですよね多分。
時間つぶしくらいの感覚で見た記憶さえあるんですが……。



で、これがまた、後から見ると結構ネットの酷評を見かける作品でもあるんですね。
まあ、個人的な感覚では、2004~2007年くらいの映画ってぶっちゃけ結構過剰な酷評の槍玉に挙がりやすいというか、そういう時期だったんだろうという気もします。
なんか、その前後年に比べると異常に叩かれすぎな作品も多く(特に最近は現行映画への批判の声は緩やかに減った気が)、本作なんかはその一つに思っています。
加えて本作は平成ガメラシリーズという革命を経ての「佳作」くらいなところがなかなかに肩透かしだったんでしょうね。
あとは、オタクカルチャーの中で「ダメ邦画にありがち」と嫌われやすい、「感動ドラマ」「親子ドラマ」「病気の女の子」の押し出し方も、露骨ですし。
シナリオ・特撮的な問題や、足りない部分はわりとあるっちゃあるんですが、やりたい事自体は貫徹していて、今DVDで見ても好感は持ちやすい作劇だと思いましたけどね。


それに、子供心には、「ガメラは少年のために、少年はガメラのために」というキャッチコピーのわかりやすさと印象深さはなかなか見事でした。
この辺はやっぱり印象に残っています。
そのうえ、少年視点の物語である分だけ子供でも見やすく、昭和ガメラシリーズの持ち味やゴジラと大きく差別されていた部分を活かした、思いのほか良質な映画だったとも思います。




一番は、「拾った亀が大きくなっていく」というシナリオでしょう。
ここらへんは、現代版ガメラらしいストーリー設定です。

子供の目にもわかりやすく怪獣と少年との間に「絆」を持たせる前提を作れていましたし、その辺りでかなり突き放した態度のゴジラと比べると幾分か見やすかったです。あいつは終始、子供の味方でもなんでもないですからね。
日常描写の長さは感情移入という説得力にも繋がり、同じように拾ってきた亀を長期間飼っていた私の家では、また特別に愛着の持ちやすいストーリーでした。
(小学校一年生から飼っていたミドリガメはしばらく飼った後亡くなり、小学校三年生の頃から飼い始めたクサガメ二匹は、一匹がすぐに亡くなり、残ったカメも2016年の夏に亡くなりました。)

父子のドラマ、幼馴染という要素など、極めて身近な要素を強調する事もまた、作品への感情移入に成功させ、それが怪獣の「破壊」によって付き崩れていく場面はなかなか恐怖を煽ります。
これまでの怪獣映画のように、街そのもののネームバリューや共通認識(東京など多くが見た事のある町)があるのではなく、「田舎」を舞台にしながらも順番にその街並みに「家」や「近所付き合い」を置いて愛着を持たせ、そこから破壊する事で一抹の恐怖や寂しさを演出していくんですよね。
なんだかんだと「怪獣映画」としては初めて劇場で見る事になっただけに、その迫力やトラウマは大きかったんですよね。


あとは、ガメラシリーズには意外にもゴジラよりグロテスクなところがあるんですが、ここもトラウマを植え付けてくるんですよね。
ジーダスが人間を捕食するシーンは子供心になかなか恐ろしかったというか、露骨すぎてヤバいなと。
口の中がアップになるんですよね。
親父は親父でカメオ出演者に驚いてましたが。


他には、「実はこんな過去のガメラがいた」という話に繋がっていくあたりも、どことなく青い鳥文庫的な児童文学の香りがして「おおっ!」って感じがあったのを覚えています。
子供同士のコミュニティで、生まれる少し前の(親の時代くらいの)情報を得ていくところがちょっと面白かったんでしょうね。


バケツリレーシーンもなんだかんだと印象には残り、その数年見ていたようなジュブナイル映画らしい文法を持ってもいました。
そして、最終的には、すっかり忘れ去っていた「ガメラの飛び方」の設定が少年とガメラの別れのシーンに印象深く持って来られた事もまた、本作のすばらしさでした。
攻撃として使用されている場面よりも、別れのシーンで使われていた事の方がずっと印象に残ってたんですね。
「子供向け」に立ち返った事が「=作品の質を落とす」という形ではなかったのが、今見てもなかなか面白い一作です。


……で、結果的に映画は、関係者が自嘲するくらいに大コケし、ガメラ再生の道は一度絶たれました(どうせ滅多な事では再生するワケない気がするけど……)が、逆にこれをリアルタイムで劇場見られたのはレアリティが高いという気もします。
結構宣伝はしてた覚えがあるけど、ぶっちゃけ誰も見てませんでしたからね。


ただ、いまだに、親父も母も「満足度が高かった映画」の一つとしてコレを挙げているあたり、「親子で見て面白い映画」という部分をある程度クリアしてはいたんでしょう。
私はラストでぼけーっとしていたら、母に「泣いてるのかと思った」と言われました。その前に『ALWAYS 三丁目の夕日』の方で泣いてましたからね。
まあ、泣きはしませんでしたが、普通に本作のラストは、寂しかった記憶はあります。
(集客できなかったのは、内容云々ではなく、単純にガメラの外見が弱そうとか、一般的にはガメラ世代が親じゃないとか、『小さき勇者たち』という変なタイトルとかがアレだったのかも……。)


……本作がしっかりと、「現代版ガメラ」らしい翻訳がされているとわかってくるのはもっと後の話になるのですが、これも何となく、「この頃の映画」という感じがします。
もうすっかり10年以上が経って、そんな感じです。

出てきた名古屋のモニュメントも撤去されちゃいますしね……。












あとパンフレットに一番必要な物はちゃんと入ってた。








いっこ前の記事。


これより前のお話はこちらのマガジン参照です。


概要
その1→エッセイの意図と説明

「昭和ライダーとの思い出」編
その2→1997年の『仮面ライダー大集合』ショー
その3→仮面ライダーケーキ、仮面ライダーシンの人形の話
その4→再編集VHSとの思い出話
「クウガとの思い出」編
その5→クウガ視聴当時の事・前編
その6→クウガ視聴当時の事・後編
「ゴジラとの思い出」編
その7→FWまでのゴジラについて書いてあります。
「ウルトラマンとの思い出」編
その8→サンタがくれたソングコレクションについて
その9→ウルトラ兄弟やゾフィー兄さんについて平成世代の私見
その10→ティガ・ダイナ・ガイアの映画
その11→ウルトラマンの自転車の話


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画像は幼少期の私の思い出の写真なので、無断転載はご勘弁を!


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