妄想美術館

4月に始めた美術館の監視員のバイト。
初めてということでやる気を出し、シフトをどんどん入れてしまったがために、連日のように入っている。
それはそれで楽しいのでいいのだが、お客様を眺めながら、こんな美術館あったらいいな〜と妄想膨らませるときがある。
因みに、勤務している美術館は新しく、個人的にとっても好きな美術館なので、文句があるわけではない。むしろここで働けてすごく嬉しいですと思っている。

どんな美術館を妄想しているかというと、壁が可変で、スイッチでゴゴゴゴゴ…と壁が下にずれたり上に上がったりする建物である。
もしくは、逆に床が上がったり下がったりか。
妄想的には前者の方が、バットマンの秘密の部屋っぽくてかっこよさげなので好みである。

なぜこの美術館を妄想したかというと、車椅子のお客様を見て、こんな美術館あったらいいのになと思ったのだ。
美術館で飾られる絵は、平均的な大人の身長をベースに設置されている。
そうなると、車椅子に座って見るには高すぎるのだ。
子どもにとっても高いのだが、子どもはまだ親が抱っこするという選択肢がある。
でも車椅子に座ってる人の多くにはその選択肢がない。

週に何回か、絵や説明パネルが低い位置にある日を設定して、車椅子の方、子どもなど、低い位置が丁度いい人たち優先に鑑賞してもらったらいいんじゃないかなと思ったのだ。
一般的な大人の場合でも、もしかしたら低い位置にあることで新たな視線が生まれて面白いかもしれない。

施設の造りとして難易度が高そうだが、そんな妄想をしながら立っていたのだった。

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