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動作からみる腰痛

こんにちは!

私は、総合病院で理学療法士として勤務しています。

今日は「 動作からみる腰痛 」というテーマでやっていきます!

腰痛の評価

前回は腰痛といっても色々な種類があり、

「 腰が痛い 」という主訴から

私たちは評価を行い、腰痛の原因を追究していかなればならないとお話しました。

前回の記事はこちらです。

その中で、圧痛や、疼痛の出る範囲、姿勢の影響による鑑別をお話しました。

しかし、多くの場合に、疼痛を伴うのは安静時ではなくて動作時ですよね?

つまりは、各動作のメカニズムがわからないと、

疼痛の原因を追究することは困難だと考えます。

なので、今回は、各動作(前屈・後屈・側屈・回旋)を紐解いていこうと思います!

では参りましょう!

前屈動作

前屈動作に必要な要素は、

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です。

そして、正常な股関節と腰椎の可動性の比率は、

股関節 7 : 4 腰椎

腰椎と胸椎の可動性の比率は、

腰椎 4 : 3 胸椎

の割合で動くとされています。そのため、どこかが動かなければ、その分他の部位が過剰に動かなければならないということになります。

では下の写真を見てみましょう。

どこが動いていなくて、どの部位が代償しているでしょうか?

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左の写真は、腰椎の屈曲制限がみられています。そのため、股関節の屈曲で代償しているケースです。

右の写真は、逆に股関節屈曲の制限がみられています。そのため、胸腰椎の屈曲で代償しているケースです。

後者の例で考えていくと、

おそらく、疼痛が出るとしたら、

過剰に動いて代償している胸腰椎に生じると思います。

しかし、この疼痛の原因は、胸腰椎の問題ではなく、

股関節屈曲の制限があることですよね?

つまりは、治療すべきは、胸腰椎ではなく、股関節になります。

なので、疼痛が生じている部分=治療部位ではなく、

疼痛を引き起こしている要因を探っていく必要性があります。

また、モーメントを見ていくと、

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前屈動作に伴い、

上半身質量が前下方に移動
下半身質量が後下方に移動
足関節外部底屈モーメント
膝関節外部伸展モーメント
股関節外部屈曲モーメント

が生じます。

※モーメントとは物体を回転させる力です。
外部モーメントとは外部からの力が関節を回転させる力で重力等を指します。
内部モーメントは外部モーメントと拮抗するように働くモーメントで、
筋などによって発生する力を指します。

つまりは、前屈動作に伴い、

足関節は底屈位、膝関節は伸展位、股関節は屈曲位となるため、

それに拮抗するように、

足関節底屈筋、膝関節屈曲筋、股関節伸展筋が働かないと、

前屈動作と同時に倒れてしまうことになります。

そのため、指が床に着くかといったところ以外にも、

動作の中での各関節の可動性や不安定性を確認すると

問題点が抽出しやすいかと思います。

とはいっても、股関節の問題なのか、胸腰椎の問題なのか

よくわからない場合もありますよね?

そのような時には、

下の写真のように、骨盤の後方移動を徒手的に制限します。

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こうすることで、前屈動作に必要な要素である
股関節屈曲と骨盤の後方移動を制限できるので、

この前屈動作では腰椎のみの前屈動作となります。

ここで疼痛が増強するのであれば、腰由来の疼痛

逆に疼痛が軽減するのであれば、股関節由来の疼痛が考えられます。

屈曲型腰痛

屈曲型腰痛の原因として、

①椎間板内圧、筋内圧の上昇
②コアの機能不全
③腰椎可動性低下
④股関節後面筋、腰背部筋の萎縮または伸張性低下
⑤股関節、胸椎可動域制限
⑥ハムストリングスの柔軟性低下

が挙げられます。

①②③は脊柱安定化
④⑤⑥は隣接関節の柔軟性向上に関わっています。

後屈動作に必要な要素

後屈動作に必要な要素は、

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です。

では下の写真を見てみましょう。

どこが動いていなくて、どの部位が代償しているでしょうか?

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左の写真は、胸椎伸展の制限がみられています。

そのため、腰椎の過伸展で代償をしているケースです。

右の図は、胸腰椎・股関節伸展の制限がみられています。

そのため、膝関節屈曲で代償をしているケースです。

また、モーメントを見ていくと、

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後屈動作に伴い、

上半身質量が後下方に移動
下半身質量が前下方に移動
足関節外部背屈モーメント
膝関節外部屈曲モーメント
股関節外部伸展モーメント

が生じます。

つまりは、後屈動作に伴い、

足関節は背屈位、膝関節は屈曲位、股関節は伸展位となるため、

それに拮抗するように、

足関節底屈筋、膝関節伸展筋、股関節屈曲筋が働かないと、

後屈動作と同時に倒れてしまうことになります。

胸腰椎、股関節のどちらが、問題か迷ったときには、

前屈動作同様に、骨盤の動きを制限をしてみましょう!

後屈の場合は、骨盤の前方移動を徒手的に制限してください。

こうすることで、後屈動作に必要な要素である
股関節伸展と骨盤の前方移動を制限できるので、

この前屈動作では腰椎のみの後屈動作となります。

疼痛が増強すれば、腰由来の疼痛

疼痛が軽減すれば、股関節由来の疼痛と考えます。

伸展型腰痛

伸展型腰痛の原因として、

①椎間関節
②背筋群の機能不全
③前方組織の萎縮または伸張性低下
④股関節、胸椎の可動性制限

が挙げられます。

腰椎運動時の圧力計測の研究では、

腰椎伸展時には、屈曲時の約2倍程度の圧力がかかるといわれています。

①②③脊柱安定化
④隣接関節の柔軟性向上に関わっています。

側屈動作

正常な場合、

左側屈動作に伴い、各関節は下記のような運動が生じます。

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一方で、側屈動作の代償のパターンとして、

下記のようなパターンがあります。

見た目上、うまく側屈できていると思った時でも、骨盤の挙上や腰椎の側屈具合を注意して見ると、低可動性や疼痛の要因に結び付くかもしれません。

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回旋動作

回旋動作に伴い、各関節は下記のような運動が生じます。

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立位での振り返りテストなどもあるように、

各関節に対して捻転ストレスなどが加わるために

疼痛を生じやすく、疼痛部位の特定に使い勝手が良いです。


回旋型腰痛

回旋型腰痛の原因として、

①椎間関節ストレス
②骨盤回旋可動域制限(仙腸関節、恥骨結合、股関節)
③胸郭回旋可動域制限

が挙げられます。

椎間関節は伸展時じゃないの?と思うかもしれませんが、

伸展+反対側回旋で上位椎体の下上関節突起と下位椎体の上関節突起が圧迫されストレスが増加することがわかっています。

そして、体幹右回旋では、

寛骨:右後傾、左前傾
仙骨:前傾+右傾斜
恥骨:右後方回旋

すると言われています。

①脊柱安定化
②③隣接関節の柔軟性向上に関わっています。

腰痛で確認すること

ここまで屈曲・伸展・側屈・回旋動作について解説してきました。

ここでもう一度、見返して頂きたいのですが、

各運動において、共通していることがあります。

どの疼痛であっても大きな枠組み位でシンプルに考えると,

確認すべきポイントは、

①隣接関節(胸椎、股関節)の可動性
②体幹、骨盤部の安定
③脊柱安定化

ということになります。

上記3つの機能を評価をすることで、

腰痛を引き越している原因に近付けるかもしれません!

最期まで読んでいただいた方

ありがとうございました。

今後も様々な内容でnoteを更新していきたいと考えています。

少しでも勉強になった、おもしろかった

そんな方がおられましたら、

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気軽にフォローや意見交換をしていきたいので
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