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憲法81条 違憲立法審査制度

 違憲立法審査制度とは、裁判所が、事件に適用する法令について、それが憲法に適合するかしないかを審査し、その有効・無効を判断する制度・権限をいいます。

 警察予備隊違憲訴訟(昭和27年(マ)第23号)では、法律上の争訟として裁判所の審判の対象となるのは、
①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に限られること、
②具体的な紛争を離れて,裁判所に対し抽象的に法令が憲法に適合するかしないかの判断を求めることはできないこと、が示されています。

 この警察予備隊違憲訴訟(昭和27年(マ)第23号)は、それ以降にも大きな影響を与えたようです。

 知財業界でも有名なベストライセンス社関連訴訟(知財高裁令和3年4月28日(令和3年(行ケ)第10022号))でも、警察予備隊違憲訴訟の判決のポイントが引用されています。

・知財高裁令和3年4月28日(令和3年(行ケ)第10022号)

第3 当裁判所の判断
1 本件訴えのうち,商標法43条の3第5項の規定が違憲無効であることの確認を求める部分の適法性について(第1の1関係)
 裁判所法3条1項の規定にいう「法律上の争訟」として裁判所の審判の対象となるのは,当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争に限られ,このような具体的な紛争を離れて,裁判所に対し抽象的に法令が憲法に適合するかしないかの判断を求めることはできないと解するのが相当である(最高裁昭和27年(マ)第23号同年10月8日大法廷判決・民集6巻9号783頁,最高裁平成2年(行ツ)第192号同3年4月19日第二小法廷判決・民集45巻4号518頁等参照)。
これを本件についてみるに,本件訴えのうち,商標法43条の3第5項の規定が違憲無効であることの確認を求める部分は,具体的な紛争を離れて,同項の規定が違憲無効であることの確認を求めるものであり,「法律上の争訟」には当たらないから,不適法である。



3 結論
 以上によれば,本件訴えは,不適法であって,その不備を補正することができないから,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法140条により,口頭弁論を経ないで本件訴えを却下することとし,主文のとおり判決する。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/358/090358_hanrei.pdf

・憲法81条

第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

・裁判所法3条 裁判所の権限

(裁判所の権限)
第三条
 裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。
 前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。
 この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。

・裁判所法8条 その他の権限

(その他の権限)
第八条
 最高裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。

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