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独禁法2条9項6号柱書 公正な競争を阻害するおそれ

1.公正な競争を阻害するおそれ

(1)独禁法2条9項6号柱書は、①独禁法2条9項6号イからヘに該当する行為であって、②公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、③公正取引委員会が指定するものは、不公正な取引方法に該当する旨規定する。つまり、独禁法2条9項6号柱書の公正な競争を阻害するおそれとは、不公正な取引方法の弊害である。

(2)独禁法2条9項6号柱書の「公正な競争を阻害するおそれ」(公正競争阻害性)は、私的独占・不当な取引制限の弊害要件である「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」(独禁法2条5項、6項)と比較して、競争への悪影響が現実に認識できるほどに生じたり、あるいは、確実に生じることになることまでは示すまでは必要とせず、ある程度の危険を概ね予知できる蓋然性が存在する段階で予防的に規制する趣旨で設けらている。

(3)公正な競争
ア 公正な競争とは、第1に、事業者相互間の自由な競争が妨げられていないこと及び事業者がその競争に参加することが妨げられていないことであり(自由な競争の確保)、第2に、自由な競争が価格・品質・サービスを中心としたもの(能率競争)であることにより、自由な競争が秩序付けられていることであり(競争手段の公正さの確保)、第3に、取引主体が取引の諾否および取引条件について自由かつ自主的に判断することによって取引が行われているという、自由な競争の基礎が保持されていること(自由競争基盤の確保)、のような状態である。
イ 公正な競争を阻害するおそれとは、第1の自由な競争の確保の観点では、自由な競争の侵害(競争の減殺)のおそれであり、再販売価格の拘束、販売地域・方法の制限、排他条件付取引等が該当する。第2の競争手段の公正さの確保の観点では競争手段の不公正さである。第3の自由競争基盤の確保の観点では、優越的地位にある事業者による取引相手方への不当な不利益強要であり、優越的地位の濫用が該当する。

●参考文献
・鈴木孝之・河谷清文『事例で学ぶ独占禁止法』(有斐閣,2017年)159-169頁

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