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綱渡り

先日テレビやらネットで動画を見ていた時に達人が綱渡りをしている映像が出てきた。
かなり高い崖の間を走らせた綱の上を長〜い物干し竿みたいなものを持ってゆっくり渡っていく。
高所恐怖症の僕にとっては見てるだけで手のひらにじんわり汗をかいたり足がスーッとして落ち着かなくなる。
ちなみにその人はひょいひょいと危なげなく渡って行った。
なんでももっと高いところに挑戦するための練習だったらしいので世の中には色んな人がいるもんだ。

綱渡りは全く棒を使わずに手を広げて渡る人もいれば長い棒でバランスを取りながら渡る人がいるらしくて自分にとって合う方法を選ぶんだとか。
僕からすればそういう問題なのか?という感じだけどバランスは人それぞれという点では薬との付き合い方も似ている気がする。

端的に言えば精神疾患は薬だけで良くなるものではないと思う。
生活リズムや環境も大切な要素になると身をもって学んできた。
もちろんこれは精神疾患に限らないと思う。
風邪薬を飲んだだけで風邪が治るわけではなくて、
温かくして栄養を摂ったりして体をいたわることも大切になる。
ただ精神疾患の場合はそこまで単純ではないというか複合的な要素が多い。
それを一つずつ解決したり改善することプラス服薬のような形で寛解に向かうことを経験してきた。

これってやっぱり綱渡りとすごく似ているような気がする。
どんな達人であっても自分のバランス感覚に合わせて棒を持つし長さも変えている。
言うならばこれが薬。
合う、合わないもあるし単剤だったり組み合わせたりと自分に合った形を探すことも必要だと思う。
多すぎても少なすぎても良くないんじゃないかな。
僕は今でこそラモトリギン(ラミクタール)と
入眠障害ぎみなのでルネスタ(エスゾピクロン)の
2つだけど以前は炭酸リチウム(リーマス)やレボトミン(レボメプロマジン)といった薬も同時に使っていたしサイレース(フルニトラゼパム)無しでは眠れなかった。
ちなみに気分安定薬は英語でムードスタビライザー。
スタビライザーは安定という意味なので綱渡りの棒と同じような意味になりますね。
(車が好きな人だとスタビライザーの意味をよく知ってるかもしれない。カーブを曲がるときに車体を水平に保つパーツもスタビライザーと呼びます)

さらに綱渡りでは風の向きや強さなどの気象条件も大切になる。
どんな達人でも成功させるためには嵐の中や濡れた綱の上は避けるだろうし、最初は低いところから練習を始めると思う。
こうした積み重ねによって最大限のパフォーマンスをみんなに見せることができるし周りもある程度は安心して見ることができる。
これが環境。
仕事が原因で発症していたら職場環境を変えるか職場そのものを変えなければ戻ったところで堂々巡りになりかねない。
学校や家庭など原因は様々だと思うから解決が難しいものもあると思うけれど目を瞑っていたらいつまでも苦しい状態が続いてしまうと思う。
ちなみに僕は仕事を辞めてピアサポートに専念していたら安定している。
…収入は不安定になったけどね。

そして最後は自分自身のフィジカルを把握すること。
寝不足や二日酔いでフラフラしていたら落っこちるだろうから本番数日前から体調管理をしていると思う。
たとえ本番でもちょっと変だなと思ったら中止するだろうし。
僕自身、最近は寝不足だなと感じたら不調になる前に早めに寝るようにしているし、
何だかソワソワしたりイライラするような時は躁転の恐れがあるのであらゆることをゆっくりにしたり情報量を減らすためにスマホを放ったらかしたりする。
逆にうつが出そうなときはジタバタせずに居直る。
特に冬はどうしたってうつが出ちゃうんだもん。
これはもうカミさんはもちろん僕を取り巻く全ての人に伝えているので色々と気遣ってくれるし急かすこともなくなった。
僕はただ路傍の花の蕾のようにじーっと春を待つ。

僕は別に減薬すれば元気になると思っているわけじゃない。
ただピアサポートであちこちに行って話をしたり聞いたりしていると薬は多いほうが良いと思っていたり
指示通り服薬していれば治ると勘違いしている人もいた。
言うまでもなく主治医の丁寧さにもよるし関係性によっても変わることだから難しいことではある。
そもそも本質的な悩みを主治医に言えない(聞いてくれない)こともあるし…。
そもそも精神疾患は脳の疾患で未だにわからないことも多いので自分自身の考え方を変えたり物事に対する視点や捉え方を変えていくことも必要じゃないかと思っている。
もちろん症状がひどい時は何もできないと思うから何もしなくていいと思う。
その代わり少しずつ落ち着いてきたら1日に5分くらいで良いから原因について考えてみてほしい。
このときに時間を決めておかないとずるずると悪い方に引っ張られちゃったりするので気をつけてくださいね。
そして終わったらしっかり考えた自分を褒めてあげてね。
自分のことだから自分に遠慮しちゃダメよ。
「しんどい時によく考えた!偉いぞ自分!」って。


自分を大切にするためには少しずつで良いから努力や工夫を積み重ねていくしかないのかもしれない。
そのペースや方法は人それぞれ。
例えば僕に言われたことを真似しても効果がないかもしれないし悪影響になる可能性もある。
切り取ったりつなぎ合わせたりしていくうちに一人ひとりの方法が生まれてくるような気がします。

とりあえず僕は寛解しているけど死ぬまで続く保証はない。
だからやってきたことは続けていくし新しい方法も探している。
綱を渡ることはたぶんないけど、道路に引かれた白線の上を飛行機みたいに手を広げてスイスイ渡ることならできる。
これだってバランス感覚は必要だからけっこう気持ちいいと思うんだよね。
快適で楽しい。
僕はそれを大切にしながら今日もゆるりと過ごしています。

ってなところで本日はここまで。
いつも読んでくださって本当にありがとうございます♪
では…アディオース!



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