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計算ミス 対策 各論


対象読者

計算ミスが多いせいで点数が思うようにのびない方。計算ミスを減らし高得点を安定して取れるようになりたいという方。今回の記事はそういった方々が対象です。

はじめに

多くの方を悩ませている計算ミス。悲しいことにそれはどんな努力をしてもなくなりません(あえてこう言わせてください)。人間とは、ほんの些細なことや環境、心境の変化などによって、実力が十分に出せなくなる極めて脆弱な生き物です。実力のある先生方が授業中に計算ミスをしてしまったり、模試で凄まじい成績を誇っているいわゆる数強の人たちが本番で計算ミスを多発してしまったりするのも、これが原因です。得点を取らないといけない模試や本番であれば、極度の緊張状態におかれることは必然といっても過言ではないでしょう。したがって、計算ミスをなくすことは人間の構造上不可能といっていいです。しかし、なくすことはできなくても減らすことはできます。そこで今回は計算ミスの具体的な減らし方について書いていきたいと思います。
計算ミスを減らすには二つの方向性があります。それはミス自体を減らすことと、ミスしても気づけるようにすることです。今回はこの二つをメインに触れていきます。

本題に入る前に

具体的な解決策を提示する前に、計算練習をしないといけないなと思えるように、計算力をつけることによるメリットについて話していきたいと思います。

*授業の理解度が上がる
→自分の計算力が高ければ、板書をしている時にその場で追っかけられやすくなるので、他の口頭メモなどにリソースをまわせ授業の理解度を高めることができます。

*制限時間内に解ききれるようになる
→昨今は制限時間が厳しいものばかりなので、ただできるだけではなく、素早く澱みなくすることが求められます。計算力があれば、制限時間の厳しさを克服できるので、時間内に解ききれるようになります。

*学習効率が上がり、勉強時間が増える
→同じ時間で解ける量に差がでるので学習効率が上がりますし、計算が億劫にならない分問題に取り組むハードルも下がるので勉強時間も増えます。

*確実に得点できるようになる
→どんな問題も最終的には計算問題に帰着されます。したがって、解き方や記述の仕方があっていても、計算を間違えてしまえば大きく失点してしまうことになってしまいます。しかし、計算力をつけていれば、ゼロにはならなくても、この状態を限りなく減らすことができ、確実に得点できるようになります。計算間違いで何十点も落とす苦い思いはしたくないですよね。

*他のことに処理をまわせる
→計算力が身につけば、一つ一つの計算に殆ど負荷が泣くななるので、全体が見やすくなり先の見通しが立てやすくなったり、処理の空きができそれを考える事に回せるので思考のバグが起きにくくなったりします。
※複雑な計算以外は最終的には自動化できるのが理想です。

どうでしょうか。これらのメリットをみれば少しは計算力をつける練習をしてみようかな?と思えるのではないでしょうか。

計算ミスの減らし方

*計算ミスの重大さを意識する
→よくこれは計算ミスしたから実質○点、これは計算ミスだから仕方ない本当はもっと高いから大丈夫、これは計算ミスだから実質A判など聞いたことがあるのではないでしょうか。この意識のままだと何をしても計算ミスを減らすことはできません。人間は必要性を感じなければ行動できない生き物で、自分にとって必要性を感じないもの、関心がないものについては、一向取り組みませんし改善しようともしないです。そもそも本番反映される点数は計算ミスしたものが当然反映されるのですから、計算ミスも含めて実力です。したがって、まずは計算ミスについての意識から変えてほしいのです。全て問題を一通り解けたからといって、計算ミスを多発していたら元も子もありません。加えて、計算ミスをした場所というのは、溶けているから計算ミスをしているので、当然基本的に周りが解けている場所でもあります。そこで失点してしまうと大きく差をつけられてしまいます。自分が考えているより大きな差がついてしまうということです。難問からもぎとった点数も簡単な問題から得た点数も、点数上は重さが同じなので、計算ミスの重大さを認識してみてください。


*どのように間違っているのかをメモリ、自分の間違い方を把握し日頃から注意する
→いくら重大さを意識しろ、計算ミスに注意しろと言われても、結局はどうすればいいのかわからないという事態に陥ってしまうと思います。そこで対策として、自分が間違えるたびにメモアプリやノートなどに、どのように、どれだけ間違えたのか記録をとってほしいのです。この時どのよう間違えたかは可能な限り具体的に書くようにしてください。これをすることによって、自分がどのような間違いを起こしているのか認識できるようになり、注意できるようになるので、ミス防止につながります。ここは交通事故が多い、犯罪が多いと言われれば、道を避けたり防犯グッズを買ったりと策を講じることができますよね。この作業をしてもらわないと、そもそも自分のミスの仕方を認識できないので対策の立てようがありません。この時同時にミスを防ぐための具体的な解決策も考えるようにしてください。起こしやすいミスを把握し、対処法を確立し、普段から意識することで計算ミスはかなり減らすことができます。集めたデータを元に、上位のやつから順に潰していただくといいです。

*ミスの起こりやすい計算方法や解き方をしていないか確認する
→ミスが少ない同級生や先生の解答を見てみた時、自分と違った解き方、計算方法をしているなと感じることはないでしょうか。計算ミスをあまり起こさない人は、計算ミスの多い人に比べて、ミスの起こりにくい計算方法や解き方をしています。数学が得意な人の答案を見てみたら、自分と違った解き方、計算方法をしている、自分が予習でしてきた解答と先生の解き方や計算方法が違ったというような経験をしたことがある方も多いと思います。この差が計算ミスが多いのか少ないのかにかなり影響してきます。
したがって、計算ミスの少ない同級生や先生に少しでも近づくためにも、そういった時は計算方法や解き方を積極的に取り入れてほしいのです。この小さな小さな積み重ねが後々の大きな差に繋がります。この自分に無いものを取り入れる作業の中で、新しい発見も多く学びが沢山あると思います。
※これについて学べるのが以下の参考書です。高校数学で習う内容は工夫できるものが多く、正確性とスピードに差が出るものが多いので、しっかり学んでおいて欲しいです。おそらくそろそろ新課程版がでると思います。


*ミスのよく起こる分野を特定し、計算技術自体を習熟させる(計算にかける脳の負荷を限りなく減らす)
計算ミスがおこる原因としてそもそもその計算そのものが習熟していない可能性が考えられます。例えば中学校で習う比例、反比例、相似の問題は間違えないのに、最近習ったベクトルや数列の問題でよく間違えるという状態にある方も多いのではないでしょうか。冷静に考えて見ると当然といえば当然なのですが、その二つ(中学内容と高校内容)では今まで解いてきた問題数、計算してきた回数が圧倒的に違います。中学校の内容で計算ミスが少ないのは、ただそれだけ計算技術が習熟しているということにすぎないのです。したがって、当然高校の内容も、同じような方法で計算練習を積み、習熟させることによってミスを減らすことができます。地味な作業ですが普段から計算ミスが多い方は、計算ミスの多い単元を特定し地道に訓練していくことをすすめます。
※これの素材としてオススメなのが以下の参考書です。

*よくある計算結果をおぼえる
→多くの方が11×11,12×12…..などは覚えていると思います。しかし、それだけでなくもっと範囲を広げ、自分がよく出会う計算や間違いやすい計算は覚えておいてほしいのです。あえて、極端な例を挙げますが、多くの方は7+5というものをみて計算を間違えないと思います。そしてこの計算をする時考えていませんよね。これは今まで計算経験を通じて、答えを記憶しているからです。この状態になれば記憶から引き出しているだけなので間違えようがないです。計算ミスが少ない人はそもそも計算をあまりしてません。そのため、同じようによく出会う計算や間違いやすい計算も覚えておいてほしいのです。そうすれば、その場で計算する必要がなくなるので必然的に計算ミスがなくなります。これは計算ミスを減らせるだけでなく、計算速度の向上にもつながるのでオススメです。

*可能な範囲で問題のタイプ・山場を判断する
→問題には計算色の濃い問題と薄い問題が存在します。計算色の濃い問題は、もともと計算ミスを起こしやすいように作られていますが、薄い問題は、解き方や立式の仕方自体で計算量を減らせるように作られている違いがあります。人間は常に全開状態ではいられないものです。そこで、問題の山場をある程度把握し、この問題ではどこに力を入れないといけないかを把握することよって、その場所にピンポイントで力を注げるようになり、ミスを減らすことができます。問題を見たら、いきなり解かずにその問題がどのタイプなのか判断するようにしてみてください。
計算ミスは基本的に自分の処理量を超えた時におこるこので、この緩急の付け方が非常に大事になってきます。
※これが慣れてくるとここで引っ掛けようとしているなとわかるようになってきます。

計算ミス発見のすべ

*自分が違和感を覚えたところは計算し直す
→計算していく際、とまどってしまった所、計算に難しさを感じた所、出てきた答えに違和感を覚えた所、合っているか不安な所は、放置せず計算し直して欲しいのです。なぜなら、こいった所は計算ミスをしている可能性が高いからです。経験があると思いますが答えを出してから、どこで間違えているのか特定するのはかなりの労力を要します。そして、結局見つからないことも多いと思います。そうならないために、上で挙げた場面で、事前に丁寧に計算し直しておく必要があります。部分部分で潰していったほうが後から確認するよりずっと楽です。それに、しっかりと確認することによって、あってるかな、間違っているかなという不安もなくなくるので精神衛生上もいいです。不安な気持ちのまま進めると、他のミスの誘発にも繋がります。是非、該当箇所で計算し直すことをおすすめします。
※これを繰り返していくうち間違っていそうな所の感も冴えてきます。

*数値対する感覚をもつ
→より具体的言うと、求めたものが大きすぎる、小さすぎる、長すぎる、短すぎる、定義に反するなどです。
これは特に図形問題できいてきます。もちろん、この数値に対する感覚を持つのなかには、明らかに間違いだとわかるものも含まれています(確率が1こえるなど)。これしっかり効かせるためには、図はできるだけ正確に書く、式を解釈する習慣をつける、数学を理解することから逃げない、などをして定性的な感覚を磨いていかなければなりません。図形をできるだけ正確に書くに関しては、雑に書いてしまうと気付けるものも気づかなくなってしまうからです。式を解釈するは、立てた式、出てきた式に関してはどのような意味を持っているのか考えるということです。これらを意識することで定性的な感覚が磨かれていきます。
※図を正確に書くことは解放への突破口にも繋がるので、可能な限り綺麗に書くことをおすすめします。

*条件や図から明らかにわかることを元に答えがあっているか確認する
→接しているから答えにはこれを持たないといけない、図や式の形、範囲などからプラスでないといけないのに、マイナスになっているなどです。図形の解釈の仕方や式に意味付けしていく練習をある程度積んでいないと、使えるものや状況は限られてきますが、意識するだけでも効果はありますので、ぜひ試してみてください。

*別解や背景知識、裏技的なものも活用する
→やはり緊張状態になるとどうしても計算ミスを起こしてしまいますし、何度見直しをしても同じ計算方法だとなかなか計算ミスを見つけられないものです。そこでこの別解や背景知識、裏技的なものがいきてきます。これらを検算につかったり、答えのあたりをつけたりするのに使うことで、自信を持って解答することができるので、使えの正答率を上げることができます。
ある程度の数学のできる方の多くが、何も見当もなしに解答を進めることは少なく、ある程度解答にあたりをつけながら解いていきます。これが計算の正確性につながってくるのです。答えのあたりがついていれば、おかしいなとすぐに気づけますが、当たりがついていなければ気づきようがありません。したがって、あたりをつけられるようになったり、スムーズ検算できるようになったりするために、普段の学習から答えがあっていればOKとするのではなく、別解や背景知識、裏技的なものにまで目をむけてほしいのです。
※背景知識は、授業中に先生方が結構話してくださいますし、参考書のコラムでも書かれていたりするので、関係ないなと思わず是非よんで見てください。

*自分がよくミスするパターンと、どれくらいの頻度で計算ミスをするかを元に、普段から検算・見直しを習慣化する※
→計算ミスの発見には検算が非常に有用です。しかし、本番でいきなりすることはできません。そのため、普段から検算・見直しができるように練習しておかなければいけません。本番ではさすが厳しいので後述するようにするのですが、練習の内は1行ずつ見直しをすることをオススメします。1行ずつしていたら日が暮れると思うかもしませんが、そこまで時間はかかりません。直前でした計算を、ただその場で思い出すだけだからです。それに計算はすればするほど早くなるので、1行ずつ見直すことによって、人の2倍計算することになり、計算速度向上の効果もあるからです。この二つのの理由から、想定よりも見直しの時間をくいません。この見直しをすればするほど計算ミスも減り、計算速度も速くなります。そして計算をミスを見つける目も磨かれていくので一石二鳥どころではありません。したがって、練習では1行1行見直しすることをおすすめします。
これに関連する話なのですが、もし協力してくれる人がいれば、自分が答えを知らない状態で、その人に答えがあっているかどうかだけをチェックしてもらうというのもかなり有効です。これを自分が正解するまで永遠に繰り返すと忍耐力、計算力、計算ミス発見力がそれぞれ磨かれていきます。なぜなら、これは自分自身は解答を見ていないので、解き方自体が間違っているのか、計算が間違っているのかを把握できていない状態で、ミスを探すことになり、本番に限りなく近い状態で練習できるからです。ただ、これは時間も人も必要なので、興味がある人だけ取り組んで見てください。
協力する人がいなかったり、時間が限られている人でも、最低限解答を見て答えが違っていたら、いきなり消したりせずどこが間違っているのかとミスを探す習慣をつけ、見つける目を養っていってほしいです。
※検算とは具体的には、複数の方法で解いてみたり、計算順序を変えてみたり(逆の計算のことも含みます)、具体的な値を代入して計算したり、検算に便利な公式を用いたり、概算したりすることです。


*自分がどういった問題(難易度、形式、分野など)・状況でどれぐらい間違えるのか(頻度)を把握し、ミスをみつけやすくする
→先程見直し検算を練習の場合は、可能であれば1行1行してくださいと言いました。ただ、繰り返しになりますが、いくら練習で鍛え上げてきたとしても、本番で同じように1行ずつ見直していくのは時間の都合上厳しい方も多いと思います。そこで、対策として自分がどういった問題状況でどれくらい間違えるのかという、ミスの頻度を把握してほしいのです。そしてこれを元に一つの問題あたりにするミスの回数を把握し、そのよくミスする回数分計算ミスの箇所を探すというようにしてほしいのです。この時、無理に自分がよくする計算ミスの数だけ、ミスを見つけなけばならないわけではないです。あくまで目安なので見つけられればOKぐらいの感覚で大丈夫です。これと最初に触れた自分のミスのデータを併用することで、全て見る必要がなくなり、自分のミスを起こしやすい箇所をピンポイントで確認できるようになります。ピンポイントで確認するので、かかる時間も本当に最低限です。これを円滑に行うために、最初に書いたどこでどのように間違えるのか、一問の内にどれくらい(頻度)間違えるのかを集計していくことをオススメします。

*見直しをする前提の書き方をする
→先程も書きましたが計算ミスを防ぐためには見直しをすることが前提になります。そして、いざ見直しをしようとした時、読みにくい字やレイアウト、計算過程、記述の仕方をしていたら、見直しをしにくくて仕方がないのではないでしょうか。そうならないために、後で見直しをする前提で答案を書いてほしいのです。変に焦って、雑に書いてしまうと、あまり時間をかけられない見直しで、書いてある内容が読解不能になってしまい、かえって時間がかけてしまうことになってしまいます。それを防ぐために解答の書き方には気をつけてください。

余談

計算ミスがないか確認するときは焦って全部消したり書き直したりしないでください。特にテスト終了間際です。あせっているときに気づいたものというのは、勘違いである場合が多く、実は間違っておらず正解であったということが多分にあるからです。そのため、確認するときは焦らず、今まで記事で書いてきた内容を使いかながら、冷静にチェックしていって欲しいです。

模試や本番では、問題を解く時間だけでなく、検算や見直しをする時間も、あらかじめ確保しておくようにしてください。変に手も足も出ない問題に浪費するより、すでに解けている問題が確実にあっているか確認するほうが最終的な得点としては高いことが多いです。


計算速度アップについて少し

おそらく計算ミスが多いと悩んでいる方の中には計算速度について困っている方も多いのではないでしょうか。そういった方々のために対策方法について少し触れていきたいと思います。まず一番効果があるものから紹介すると、計算はできるだけ書かずに頭の中で行う(暗算する)ということです。なぜこうするかというと、計算を書いてやってしまうとどうしても一定以上の時間を取られてしまうからです。計算速度が速いという方は頭の中で計算をしていることが多いですし、逆に遅いという方は計算を手でかなり丁寧書いている方が多いです。計算速度を早めるためにも、少しずつ自分のキャパに合わせながら頭の中で計算を行なってみてください。この時自分できる一つ上でレベルで行い、負荷をかけ続ける感覚が大事です。

他にはは繰り返しになるものを含みますが
*計算結果を覚える
*必要以上に書かない
*上手い計算方法や解き方を学ぶ、選ぶ
*計算練習そのものをする
*公式や解き方のアウトプットのスピードを上げる
これらが主な対策になります。

どれもお話ししてきたように、計算ミス防止にもつながることばかりです。

与太話

ここまで計算ミスを減らすためにいろいろなことを書いてきましたが、結局、計算ミスを減らすためには、数学力そのものを上げることに尽きます。
数学力がある状態は、計算技術が習熟している状態なので、考えるべきところに脳のリソースや時間を避けれるようになり、脳の余計な負荷が減るので計算ミスが減ります。数学力があるなら、背景知識や経験などから、答えの妥当性が正確に把握できるようになったり、答えをある程度予測しながら解けるようになったりし、計算ミスを起こしにくくなります。そして、複数の解き方をできるようになります。数学力が習熟してくると、これらの理由から自ずと計算ミスは減ってきます。したがって、究極的には数学力をつけるしかないです。日々是精進です。

受験生の参考になれば幸いです。

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