見出し画像

日本流イノベーションの可能性 「アート思考と身体」日本経済新聞社主催 COMEMO アート思考✖️ビジネス#2【イベントレポート 】

▪️登壇者
能楽師 安田登さん
演劇家 藤原佳奈さん
起業家 若宮和男さん(ファシリテーター)

・若宮さん
起業家としてスタートアップ経営。元々は建築家。大手企業の新規事業経験。東京大学にてアート研究者。両者をつなげる。

・藤原さん
舞台の脚本と監督。

・安田さん
基本は能楽師だが会社の役員したり、3Dとかゲーム開発とか理研でAI研究など色々やっている。

<若宮さん>
▪️今日のキーワード「わからない」
アート思考はすごく新しい考え方というとそうでもない。
でもビジネスはロジックによりすぎたので揺り戻しが来ている。
近代前は結構普通にあった考え方。
「作れば伸びる」から「なにをしていいかわからない」カオス期に必要とされる。

「アート思考」
課題からスタートしない。

・VUCAの時代。
不確実性の時代。あいまい、複雑。
「理解」や「共感」を超えるもの。

アート思考 情動 詩
デザイン思考 共感 キャッチコピー
ロジカル思考 理解 説明文

「わかっている」ことはもう概念があるもの。
「わからない」ことは自分の身体で感じる未知のもの。

▪️本日のテーマ「日本的身体」

<安田さん>
割と物事はいい加減に決まっている。
なんとなく会社作ったり、なんとなくラジオ番組作ったり。
何かする時に「考えてやる」はもはや時代遅れ。

能と論語。一回見れば十分。他の人から見たら「つまらない」と思われている。
なぜこんなつまらないものが残っているか。
能は江戸時代からつまらなかった。能を見せるは子供の罰。
客の8割は寝ている。
でも「面白がらせる」とはしなかった。

平家物語。結局みんな奢る。
ありがたい あたりまえ もっと 最終的にはなくなる。

能はそれをやめた。だから650年続いた。

シンギュラリティ。昔もあった。
文字の発明。家畜の発明。
脳および身体の外在化。
それが今はAIやロボット。

能が残った理由。

1.伝統
誰でもついていけるシステムを作ること。
天才に依存すると終わる。
世阿弥「陰陽のかするところの境を知るべし」
昼と夜で表現の仕方を変えるマニュアル。
お客さんが隠の状態を陽にはできない。

隠 小鼓 湿っているのがいい 雨の日に活躍。偶数拍子
陽 大鼓 乾燥しているのがいい 晴れの日に活躍。奇数拍子

人の心が沈んでいる雨の日は、テンションが上がる偶数拍がよく聞こえるようになっている。

ここまで行くと超マニュアル化しそうだが、実は小鼓、大鼓は「無音」の呼吸でアドリブ勝負をしている。
呼吸を感じる力を残すことで、完全にマニュアル化はしない。

2.初心
今までの自分を切り捨てる。ドラスティックな変化。
「時時の初心忘れるべからず」

・能のドラスティックな変化
秀吉時代 服がかっちりした
江戸時代初期 能が突然ゆっくりになった。昔は2ー3倍の速さ
明治維新 能が外から中になった それまでは猿楽 
戦後 パトロンから通常の興行形態になった

突然変わった。
これが受け入れられるのは能楽師に「初心的身体」があるから。

「老後の初心」
80になって今までの動きができない自分を「切り捨てる」必要がある。
壊す。あとは壊してから考える。未来志向じゃできない。

<藤原さん>
能的なものを作りたい。
可視化できないものを作る。
目には見えないものを感じるような作品を作りたい。
日本人とは言いたくない。「日本語話者」と言いたい。
英語の方が直線的。日本語は曖昧さがある言語。
だからこそ曖昧な美学、ないものを信じる美学がある。
日本語脳がヒントになるのではないかと思う。

<安田さん>
検索エンジンはネット上にあるものしか検索できない。
自分が知っているものしか検索できない。

プログラム言語は一直線。もし雨が降ったら・・・
従属節がないのが日本語の特徴。
相手の反応を見てすぐ変化できる言葉の構造。
雨が降・・・らないっぽいね。

<藤原さん>
可視化できないもの。
写真と違って同じポーズでも、プロの演劇はその時思っていること、体の中で起こっているものを、空間で伝える。そういった見えないものを表現したい。

<安田さん>
能は心を扱わない。
「こころ」の表層の下に「おもい」がある。
こころは変わっても、おもいは変わらない。
こころは変わるので650年持たない。おもいを扱う。
 おもい = こい 乞い 

こころを表現するのは体。語源はたまごのから。表層
おもいを表現するのは身。
型は数百年前のおもいを圧縮したもの。それを解凍している。

<若宮さん>
わからない(笑)
わからないからこその良さ。

<質問>
能は中から変わったの?外が理由で変わったの?

<安田さん>
文献ないがおそらく外。武士が能をやるようになったり。
日本人は外圧で変わるのが好き。

<質問>
令和で何か変わりますか?

<安田さん>
令和ぐらいでは変わらない。
が、能は観客増えている。がやる人は減っている。
見たい人は増えているが、理解しようとしている人は減っている。
結構やばい時。これは変化するんではないか。

<質問>
能や演劇は演者やお客を気にする?

<安田さん>
能。演者同士は呼吸でアドリブ合戦。気にしまくってる。
お客さんは全く気にしない。だから客が寝る。

<藤原さん>
演劇は寝られたら困る(笑)
演劇。舞台見なくても空気を感じる。
演者が弛緩している時眠くなる。集中している時風が吹く。
体の中の事件性を感じる瞬間がある。
体の中に事件を起こしたい。

<若宮さん>
見えているものだけじゃない
頭でわかるものだけじゃない
のは当たり前。
起業家も最後の最後は「ワクワクするか」だけだったりする。

<安田さん>
シンギュラリティが来る時代、論語が大事。
脳の外在化が脳に余裕を作る。
孔子「温故知新」
古いものを体に入れてグツグツ煮込む。
そうすると突如新しい「知」が現れる。

AIが脳を外在化するとどんどん暇になって暇つぶしをするようになる。
暇つぶしもいつか飽きる。そうすると突如、知じゃないのが生まれる。
これは個人のイノベーションの出し方。

チームだと「和」異なるものがチームになっているのがいい。
日本は「和」の国。3人よれば文殊の知恵。
全員が持ってきたアイデアを捨てる。
そうするとまったく新しいアイデアが生まれてくる。

AIがこういった世界を可能にしてくれる。興奮してくる。

<若宮さん>
新規事業の時もグツグツやっていきなり出てくる。
急いでやるとわかっている方に行ってしまい、イノベーション起きない。わからないことが大事。
わからないこと。疑問、問いを持たないとグツグツ煮込めない。

<質問>
イノベーションをぬか床からキュウリを見つける、と表現したが、キュウリの仕込み方を知りたい。

<安田さん>
まず本を書くときにそのジャンルの本をお金を出して全部買う。
あと運と縁と勘を研究している。

<若宮さん>
因果の線形ではなく、いきなり縁で動いたりする。
そっち側もみないと、イノベーションが起きない。

<藤原さん>
なんか知らないけどなんか気になる、というのはすごくヒントになる。
ものを作ってると、パッて体験したことが急に何かにつながったりする。

<安田さん>
因 花が開いたから蝶々が来た
縁 蝶々が来たから花が開いた 偶然そういうことはよくある。

<若宮さん>
スピリチュアルな会と思われそうだけど、普通に起業家として急につながったりはよくある。
頭の中にないことに、今見えていないところにたどり着くには縁は大事。

ーーー
感想。
偶然の活かし方。偶然との出会い方が大事。
偶然に出会うためには、外に出る、新しいことをする必要あり。
で、いつのまにか「わからない」ことがストックされ、それが自分の中の問いになり、それを貯め続けるといつか、見えないものが見えるようになるのだろう。

読んでいただきありがとうございます!頂いたサポートはnoteで他の方のサポートに使わせていただきます。