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子育て・ワーク・ライフバランス (保育無償化の危うさについて)l

子どもが生まれたら0歳から預けることが「デフォルト」になりつつある。保育の無償化が進めば、この傾向はさらに促進されるだろう。

(幼児教育・保育無償化:幼稚園や保育所に通う3~5歳の全てのこどもと、保育所に通う0~2歳の住民税非課税世帯のこどもの利用料を無料とする)

専業主婦や保育所に毎日預けない親の子育て支援をしてきた子育てひろばや子育て支援センターからは、親子の姿が消えつつあるという。保育の無償化によって、無認可で(つまり従来の保育の枠組みから離れて)良心的に運営している保育園には園児が来なくなるかもしれない。

平日の昼間には、乳幼児の姿が街から消え、乳幼児は子育ての「専門家」(この質が問われているが、それを保障するだけの給与も研修も充分ではない。保育者は熱心なのだが、子どもの発達を理解しているとは言えない保育にしばしば出会うのが現実である)に保育園で育てられることになる。

乳幼児がコミュニティの中にいれば、
・親や地域の大人に、人を育てる力が育ち、
・コミュニティの子どもを育てる環境が整う
可能性があるが、

それがなくなったとき、
・子どもは狭い保育園の中の文化・環境だけで育てられ、
・大人たちは乳幼児から学ぶことができなくなる

これは生物としてどうなのだろう?
前の世代に次世代を育てる経験が不足するということがどういう結果を生むのか。また、人と人とのコミュニケーションはどうなるのか。
心理学の専門家として、大きな問題が生じると懸念せざるを得ない。

今や日本の親は、乳児を素手で心地よくだっこすることも幼児をおんぶすることも出来なくなってきている。
子どもに何気なく語り掛けたり笑いかけたりすることができない親もいる。「あやす」ということばの意味がわからい親や、子育てに何かとスマホを使ってしまう親もいる。
そういう親が子の育て方を学習しないまま子どもを保育園に預けてしまう。

人としての学びの機会の喪失が起きているということに、
我々は気づかなければならない。

子どもの育ちと大人の社会生活を考えて、
 0歳からの短時間保育×短時間労働でワークライフバランスを保つ、
 2歳半から週2日×半日は全員が預けられて集団生活と言語生活を体験する(親は週3-4日働きつつ預けることもできる)、
 離乳までは母親その後父親が交代で子育てを担当するなど、
それぞれの国や地域が工夫を凝らしている一方で、

日本では、大人の経済生活上の都合で、
 「日本人の現代生活に便利だから」
 「子育ての大変さをなくすため」
 「子育て以前にお金を稼がなければならないから」
 「専門家に任せた方がうまくいくから」
 「女性が社会進出することが大事だから」
などという理由によって子育ての形が変化していっている。

なぜそれが子どもの育ちにとって大切なのか、子どもの発達や人権の観点からどうか、ということが問われていないことに対して、

子どもの専門家たちは、もっとしっかりと警鐘を鳴らし、発信しなければならない。

保育や子育て支援の質と量を充実させる仕組みとともに、
親もまた子育てに参画し、学べる仕組みが必要である。

今、小学生に起きている問題は、中学生に起きている問題は、高校生に起きている問題は、親たちに起きている問題は・・・、
「人の基礎の大半が作られる乳幼児期に、子どもたちの体と心と脳を、家庭と地域と養育機関がどう育てたか」に、大きく結び付いているのだから。

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