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日記

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記事一覧

5月と9月のイベント

5月と9月のイベント

今週の土曜は東大の五月祭、日曜は文学フリマ東京へ出没予定。日々文学フリマの準備に追われている。春の新刊は2点。東北と伊藤計劃の冊子だ。が、SNSではvtuberだ、VRだ、アニメ批評だと先端の文化を扱う本が注目されている。むろん弊誌は売上度外視の活動である。今回の印刷代は計6万円程だ。各頒価1000円。元は取っておきたい。
ところで特集のテーマでかなり難儀した。老後の預金を切り崩して資料を揃えてい

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年末年始日記 2023→2024

年末年始日記 2023→2024

あけましておめでとうございます。旧年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。始業・学業・生活など常日頃の生業お疲れ様です。気候不順な折り、体調くれぐれもご自愛ください。さて、簡単ではありますが、年末年始を振り返ります。ご笑覧ください。

12月28日(木)
早朝3キロ歩き、松屋でカルビ定食。精文館書店にて『SFマガジン』『ケヤキブンガク』『文藝別冊 総特集望月ミネタロウ』購入。ゲン

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culture against apartheid

culture against apartheid

今朝『ソクラテスの弁明』再読を終えた。初読は1999年。24年ぶりだ。当時は通信制大学で学んでいた。西洋哲学基礎購読のレポートの課題図書だったと思う。担当講師は田之頭教授だった。教授は祖師谷キャンパスの夏期講習でギリシア語を勉強しないかと誘ってくれた。意欲はあったが受講しなかった。1999年アラファト議長は存命だった。同年10月アラファトPLO議長兼PA長官はパレスチナ支援調整会議出席。アラファト

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スキマ時間のなまくら流ずぼら派ブログ

スキマ時間のなまくら流ずぼら派ブログ

日常的なツイッター利用に疑問を覚えた。自分はいわゆる「ツイッターくん」「報告くん」の典型だったのではないか。日常ツイートへの違和感の始まりは自己開示の羞恥心と共に、日常生活の崩壊があったと思う。かつての『世にも奇妙な物語』の白石麻衣主演回が思い巡る。田舎の冴えない事務員がSNSでキラキラOLを装い、広く人気者になるが、次第に虚偽虚飾がエスカレートして悲劇的な終幕へいたる怪奇譚。むろん拡大誇張のスト

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アニメルカとREBOXならびにいくつかの感慨

アニメルカとREBOXならびにいくつかの感慨

複合的な理由でツイッター運用を自重中だ。「コンテンツと向き合うため」「公人ではなく私人に留まるため」「英語学習のため」など挙げれば切りがない。日常ツイートしない効用は本が読める、テレビが観られる、アニメが観られるなど。
『ソクラテスの弁明』(岩波文庫)再読は佳境。残20頁程。印象的な文章は「それは無技巧に思いつくままに漏らされる言葉である」(p16)、「なかんずく私の最も当惑するのは、ただその中に

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フィギュアのホスピタリティ

フィギュアのホスピタリティ

ブックオフ岡崎店へ行ってきた。先月の文学フリマ東京後、ブックオフ行脚がぶり返した。あまりに捲んで土岐市の久尻神社へ逃避行したほどだ。11/12とよたブックマーケットが開催された。ぜひ参加したかったのだけどその日は東京にいた。ブックマーケットの参加費は1500円。鞍ケ池公園の一区画を借り受け、古本屋や同人誌の販売ができる。今年4月の豊田三越では一箱古本市が行われた。こちらは参加費500円で蜜柑箱一箱

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筆歴

筆歴

1992年に「幻想」という原稿用紙6枚の短篇を書いた。初めての創作だ。17歳だと思う。中上健次の死のショックを受けて小説を書き始めたと思っていたら、どうやら健次忌前らしい。とんだ物語化でおこがましい。
数えると始まりの17歳から現在の48歳までのおよそ30年間で37篇の短篇があった。2015年と2016年に13篇を2冊の同人誌にまとめた。そして今秋の3冊目の短篇集『不都合な箇所は削除せよ』で7篇掲

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読書遍歴とは何か

読書遍歴とは何か

作家の読書遍歴にとても興味がある。芥川賞や新人賞の受賞者インタビューで最も印象的なのは生い立ちや創作論ではなく読書遍歴だ。
本の雑誌社の「作家の読書道(みち)」というweb連載は単行本の既刊3冊を揃えるほどハマった。筒井康隆『漂流 本から本へ』(朝日新聞社 2011)は朝日新聞連載時(2009年4月5日~2010年7月25日)で愛読した。小島信夫「私の作家遍歴」(『小島信夫批評集成〈4〉』水声社)

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文学フリマ東京36レポート(1)

文学フリマ東京36レポート(1)

5月21日開催の文学フリマ東京36に出店のため上京した。年初の開業で蓄えを使い果たし、2月に胃腸を患い、這う這うの体なので東京行きは自重のつもりだった。だが、120部刷った新刊が会場へ宅配搬入されず、自宅へ届くという信じられないミスを犯した。東京には実兄が住んでおり、イベントの売り子を頼んでいた。自宅へ冊子が届いたのはイベント開催3日前。すぐ宅急便で配送すれば兄のマンションから会場へ直接搬入できる

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陸の孤島・豊田市でミニコミを出すということ(『模索舎月報』2009.12)

陸の孤島・豊田市でミニコミを出すということ(『模索舎月報』2009.12)

世界のトヨタ、だが豊田は陸の孤島と揶揄され、頑張っているが文化不毛の地・名古屋よりもっと酷い実益の企業城下町ときた。
私が"文芸アンダーグラウンド宣言"という少々大げさな創刊の辞を掲げた「メルキド」は、東京から帰郷した27歳にもなって学生風情のまま、およそ2年後の2004年7月に*さんという岐阜のトヨタ系会社員の男性とともに、豊田で発行した。
「メルキド」という命名の由来は、そもそも早稲田文学新人

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開業のご挨拶

お世話になっております。
早いものでサークルを作ってから19年の歳月が経ちました。このたび開業の運びとなったことを改めてご報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私事で恐縮ですがしばらく昔話にお付き合いください。一般的にインターネットは情報の収集が主な用途でしょう。とはいえ見ず知らずの人間のプロフィールを垣間見ることができる稀有なツールでもあると思います。それは文学が担うべきもの

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高橋源一郎と阿部和重の未来

高橋源一郎と阿部和重の未来

来夏刊行予定の新書の準備を進めている。初単著なので要領を得ない。とはいえ同人誌だから気楽なものだ。今日は第一章の冒頭に追記した。勢い任せの文章になった。後日精査しよう。

ダブリンに生まれ、ヨーロッパを流浪したジェイムズ・ジョイスは「失郷者」だという。企業城下町の豊田に生まれ、東京で挫折した私は同人サークルの初めての文章を「失郷者たち」と銘打った。郷土愛を抱けず、恋人を持てず、甲斐性なしの私にうっ

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記録せよ、と彼女は言った

2023年1月12日
元旦のトルストイ「イワンのばか」から小説をほとんど読み終えていない(同人誌のゲラなどは除く)。取り組んでいるのは泉鏡花「龍潭譚」とディック『時は乱れて』。両作は対照的な文体だ。かたや雅俗折衷文体の観念小説であり、かたやアメリカの風俗をふんだんに取り込んだSF。その間論考は三点(平倉圭『ゴダール的方法』序章、三千周介「なかやまきんに君の記憶喪失」ぬかるみ派、河中郁男「流れの外に

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近況報告

近況報告

最後にアルバイトをしたのは2002年初春。千代田区のビルで清掃作業員をしていた。あれから20年以上たった。2022年12月20日。個人事業主として開業した。翌日開業届を税務署へ送付した。ラクスルで100枚の名刺を注文した。ジンドゥーでホームページを作った。自社ロゴマークのゴム印の発注をした。なんだろう。「卒業しない・就職しない・結婚しない」の「三無主義」を唱えて悦に入っていた30代から40代。あっ

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