セカンド・オピニオン

春、日本は桜の季節を迎えます。近くの公園では桜が咲くので、お酒とおつまみを持って夜桜を楽しんだものです。
前年からコロナ禍のため、この年も花見は禁止となっていました。もっとも、この状況で花見を楽しむなんてないですが。

ステージ2が確定した翌日、退院して最初の週末を迎えました。次の週は私の誕生日なので、家内がプレゼントを買うと言ってくれました。百貨店ではエレベーターを待つ間、家内は立っている状態がしんどくなりベンチに腰掛けるなど、休みながら何とか家内の分も含めて財布を新調しました。

帰宅後、家内の友人のがん経験者から連絡がありました。彼女は和田式食事法の本の紹介をはじめ、がんの再発転移防止に対する情報を教えてもらえる心強い存在でした。家内は入院時の辛かった状況を彼女に話した次の内容を聞きました。

・最初の腹腔鏡手術後に身動きできないとき、水を飲みたくても持ってきてもらえなかった。
・激痛が続いて訴えても、看護師は待ってと言うだけで相手にしてくれず、手遅れ
になりかけた。
・激痛の中で主治医より開腹手術でストーマ創設を提案された時、初めは拒否した。
・病棟の看護師の大半が自分をモノのような扱いとすることから、いたたまれない気持ちになり感情をなくすようにした。
・またこの病院に入院してストーマ閉鎖手術を受けなければならないことを考えると、嫌でたまらない。

退院した日の帰りの道中でも病棟での扱いを聞きましたが、彼女に話している内容を聞いて改めて本当に辛い経験をしたことを再認識しました。そして彼女からがんの再発転移予防として丸山ワクチンの治験を扱っているクリニックがあると聞いて、そのクリニックを紹介してもらいました。

丸山ワクチンについては父の末期がんがわかった時に調べたものの、治験に対応できる病院を実家周辺では探せませんでした。後々数えきれないくらい様々な病院に行きましたが、丸山ワクチンにはどこも否定的で、彼女の紹介がなければそのクリニックにたどり着くことはなかったでしょう。

早速そのクリニックに連絡したところ、偶然キャンセル枠があり次の金曜日に予約できました。当日、担当の先生と経緯を含めて1時間会話して指導をいただきました。
緊急の開腹手術から退院までの血液検査のデータを確認いただいたところ、開腹手術前の状況は相当危険な状態だったとのことでした。そして座っている家内を見て、こうしていることが奇跡に近いと話していました。

丸山ワクチン処方について、いろいろと教えていただきました。丸山ワクチンは2日に1回お腹に皮下注射する必要があります。2日に1回通院してワクチンを注射してもらうか、自己注射するかのどちらかを選ぶことができました。そこで、家内は数回このクリニックに通院してお腹への自己注射の方法を学ぶことにしました。

クリニックの帰り道、お土産を持って紹介してくれた友人宅に向かいました。友人宅の前で、生きて再会できたことにお互い涙ながら抱き合っていました。

彼女からは「よく生きてくれたね」との一言。

運転席で待機している私も涙が溢れました。

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