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山種美術館を訪ねて vol.6 若手作家の瑞々しい日本画

先週、ほぼ毎月恒例となった山種美術館を訪ねました。

道すがら、先月のような東雲色に染まる八ヶ岳を拝めるかな?と期待していたのですが、一月も経つと、日の出時間もかなり変わるものなんですね。

残念ながら、もうすっかり朝陽が出て雪景色を照らしていました。
それはそれでまた美しかったので、写真をパシャリ。

作品名:中央道高速バスの車窓から

電柱が…


フェンスが…


さて、山種美術館で開催されていたのはこちら。

若手日本画家の発掘と育成を目指す公募展で、コロナ禍の影響で2年延期され、今年は3年ぶり第3回目の実施となったそうです。その趣旨から年齢制限があり、上限は45歳(今回のみ47歳まで)。

今回の展示会では、応募作品の中から選ばれた、大賞をふくむ入選作品45点全てが見られるそうです。

どんなフレッシュな日本画に出会えるか楽しみですね!
ではさっそく見ていきましょう。


展示室のようす

ありがたいことに「撮影可」とあったので、一周目はさらっと見ながらお気に入りを見つけて写真をとって周りました。

そして2周目、じっくりと向き合ったいくつかの作品を紹介します。


岩井晴香 「夕さり」


ある日の夕に出会った景色、なにを考えるでもなくただその空間と時間に身を置いた、その様子を描いたそうです。空気感や少し湿った木の匂いがしてきそうで、ほっとします。


倉治るみ 「遣らずの雨」


ひゅ~どろろ~、という効果音が聴こえてきそうなインパクトの強い作品ですが、説明文の画材欄に「古着の帯」と書いてあるのを見てさらに驚きました。よくみると背景に帯が5つ並んでいますね、おもしろいです。そして華やか。


重政周平 「素心蠟梅」


こちらは<優秀賞>受賞作品
白と青で描かれた木は、ぱっと見蠟梅とはわからない色合いですが、その美しさに惹きつけられました。雪をまとってひんやりしている様子が伝わってきます。繰り返しになりますが、美しい。


小針あすか 「珊瑚の風」


旅先の海岸で出会った猫を思い出して描いた作品。つかずはなれず一定の距離を保って、しばらくついてきたそうです。猫の可愛さ、浜辺に咲く花、ワンピース姿の女性には清涼感が漂っています。波の音も聴こえてきそう。


平井未歩子 「向う側」


作者は現在広島市立大学在学中の20歳(!)、今回受賞作品の中で最も若い作家さん。いつも通る学校の廊下を描いたそうですが、無機質に思える校舎でも向こう側に緑が見えるだけで、なんだか心が踊ります。日常のなかにお気に入りを見つけるって、いいですね。


朴泰賢 「仰見」


タイトルどおり、桜を下から仰ぎ見たようす。木の下から見上げるのは私も結構好きなので、自然と目に留まりました。花よりも幹と空が印象的で、この青色がとても気持ち良い。今にも花びらがハラハラと降ってきそうです。


牧野光一 「TSUBAKI」


大好きな花、椿。彩色がなくてもこんなにしっかりと質感が出せるものなんですね! 作家さんが偶然同じ年齢で、しかも椿で、勝手に親近感が湧いてしまいました。モノクロームの椿も新鮮でいいなぁ。


谷津有紀 「浮世の界」


神社好きとしては、この作品はズシンときました。背景に古文書のようなものが描かれ、巫女のような出で立ちのヒト(?)と迫力ある狛犬さん!「浮世」は「憂き世」でもあり、常世とのあいまいな境界を描いたというこの作品、妖しい雰囲気がとても気に入りました。


山田雅哉 「Angel-2023」


普段、現代アートは敬遠するのですが、こういうタイプのものは意外と好きです。わかるか?と聞かれたら「わかりません」だけど、単純に色使いに惹かれます(青色が好きなせいかも…)。水しぶきのようにも見えて爽やか。


吉原拓弥 「上手の猫と能ある鷹は爪隠す」


印象的な作品名と猫のかわいさにつられて。この後の展開がとても気になりますが…一匹はまるで興味なさそうにしているのも面白いですね。地面には蟻んこがゾロゾロ、蝶々も飛んでいます。


吉澤光子 「一羽」


この作品をみた瞬間、田舎ならその辺によくありそうな繁みだなぁと、懐かしさを感じました。きれいに手入れされた庭園もいいけれど、こういった”勝手にできた”植物の集まりもまた、美しいものです。軽やかに飛ぶ一羽の鳥が風を運んできそう。



勝手にわたしが気に入った11作品を紹介しましたが、いかがでしたか。気になった作品はありましたか?

若手作家を応援する公募展、この先もぜひ続けていただきたいです。

そして、次回企画展はこちら。

土牛さんの桜に、また会える!


さいごはいつもの、「いっぷく至福時間」

菓子名:葉のしずく
なかは胡麻入りこしあん


いつもながら、至福のひとときをありがとうございました。
次回展にもまた伺います!


☆おまけ☆
渋谷駅までのお散歩コースにある、渋谷氷川神社にて。

狐さんの視線がたくさん


緑が気持ち良きかな


ーおしまいー

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