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見えない心、見えない命
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#後悔

引っ込み思案

引っ込み思案

十日に一度
母を連れて神様に会いに行く

その日は半年ぶりにやって来たという
母の友だちに会う
「よくお母さんの夢を見るのよ」
とその人から言われる

わたしのところにはなかなか出て来ないのに

ちょっとだけ不満になる

それでもこの人にとっても母は大事な存在だったのかと思い直す

母は彼方の世界で忙しくしているのか
あちこちと人の夢に出てくるらしい

自由自在に飛び回る
本当はいつも母の側にいた

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明日死んでも

明日死んでも

わたしだけが苦しくて
わたしだけがかなしくて
わたしだけが悲劇のヒロイン

誰かに寄り添われようとも
孤独を感じる

本当は誰しもが感じてる

わたしだけ
わたしだけが

誰にもこの想いは分からない
と決めつける

頑なに

後悔だけがいつまでも
押し寄せる

立ち上がれない

ふと気がつくと
みんなが同じ想いを抱えてる

さみしくてたまらない

明日死んでも

良いですか…

春のお彼岸

春のお彼岸

昨日まで暖かかった彼岸入り
急に寒くなる
北風が吹き荒れる

お彼岸には彼の世から母がかえってくる

いつも一緒のはずなのに
お彼岸は特別なのか
思い出せということか

私はいつも泣いてしまう
ひとりぼっちはつら過ぎる

友だちに会う
人と話をする
当たり前のことが当たり前ではない

ひとりで生きることにくたびれる

朝方に夢を見る
海辺の不思議な建物にYちゃんと遊びに来ている
見晴らしのいい大き

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わたしの中で

わたしの中で

いつの間にか
わたしの中で
母は庇護する存在になっていた

いつからだろう

本当は、本当は
最期まで
一番大切にしたかったのに

自我がでた
自分が一番かわいいと
自分の身体にメスを入れ
大きな金具を取り出す
一大事が待っていた

母なんか構えない

それでも母は子供のように
わたしを求める

「お母さん、死んじゃうよ」
従姉は恐ろしい言葉を吐く

そんなわけない
母は死なない

従姉の言う言葉

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奇跡の時間

奇跡の時間

奇跡の時間をもらえたよ

いつかいなくなることはどこかで分かっていたはずだった

奇跡の時間は戻らない
大切にすれば良かったと
後悔ばかりが残る日々

わたしには時間がないと
母のこころは叫んでた

もっと甘えさせてよと求めていた

わたしは気づかない
ちゃんと話しをしたはずなのに
気づかないふりをした

母はいつまでも経っても母だから
わたしの母
わたしの方が甘えてた

もう少し、もう少しだけ

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夜の散歩

夜の散歩

晩にひとりでポストまで郵便物を出しに行く

それは時々お母さんにせがまれて

散歩に行くのと同じころ

数ヶ月前まで

ふたりで家のまわりを散歩した

「こうやって二人で散歩できるのはうれしい」とばかりに

手を繋いで歩いた

そんなお母さんはもういない

かなしくて嗚咽する

嗚咽するくらいなら

なんでもっとやさしくできなかったのか

もっともっとお母さんのそばにいなかったのか

さみしい思い

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ひとりぼっちにしないで

ひとりぼっちにしないで

母の嘘つき、なんで私をおいて行ってしまったの?
悲しいよ、悲しすぎる
さみしいよ、とってもこころが疼く

やめてよ、戻って来てよ

受け入れられない

どうしても、なんとしても

息子がいてくれるけど

それも今だけ

もう巣立って行った子供だよ

嫌だよ、お母さんのいないこの世には生きていたくない

後を追いたい気持ちで一杯、私も早くあの世に還りたい

一緒に連れて行って欲しい

私の修行はまだ

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後悔ばかり

後悔ばかり

私の心は相変わらず凍っています

ああしてあげれは良かった
こうすればまだ生きていたかも

そんな後悔ばかりが頭のなかをよぎる

もっともっと出来たはず

後悔はつきない

魂だけの世界に戻ってしあわせにしていると聞かされても

私の欲で
もっと一緒に居たかったと

生きることが大変だったから
それが辛かったから
本当のことはわからない

でもでも、でもでも

お母さんともっと一緒に居たかった

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