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物理学の原理と法則 科学の基礎から「自然の論理」へ (池内 了)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 タイトルに惹かれて手に取ってみました。
 著者の池内了さんは宇宙物理学者、いままでも科学・物理学の「入門書」を何冊も著しているようです。

 私は、こういった “入門書”はつい中身を覗いてみたくなるタイプなのですが、ほとんどの場合 “手に負えなかった” という結果に終わっています。
 さて、今回はというと・・・、やはりかなり手こずりました。

 まず、本書での議論の前段として、「まえがき」で著者は物理学の特性をこう整理しています。

(p4より引用) 物理学の精神は、単純、簡明、統一、原理主義、などの言葉に集約されるだろうか。物理学者は、多様で複雑に見える自然だが、真理は意外に単純明快であり、論理を忠実にたどっていけば必ず真理に到達できると信じている。アインシュタインが述べたように、「神は老獪だが、意地悪ではない」のである。そのための自然を解剖していく手法は、本書に書いたような原理・法則・原則に則っている。どのような建築物もレンガ一つひとつの積み重ねから成り立っているように、壮大な物理学の成果も、最も基本的な原理の上に構築されているのである。

 そして、この「まえがき」に続いて「物理学の原理」「物理学の法則」「物理学の原則」の解説がなされていくのですが、この肝心の “本論” 部分が私には全く理解できませんでした。
 書評の中には、“「基本の基本」をわかりやすく伝授” とか “文系のための物理学入門” とかうたっているものもあったのですが、私の正直な印象としては全くそんなレベルの内容だとは思えませんでした。本当に情けない限りです。

 なんとか著者の立論にある程度ついていけたのは、最終章の「人間の思考」とタイトルされた項ぐらいでした。

 ともかく、今回のトライではその程度の理解レベルなので、本書での学びで書き留めておくくだりは、せいぜいこういった内容になります。

(p203より引用) 科学とは、一方で「自然が見せる多様な現象」があり、他方で「現象を過不足無く説明できる原理や法則」があって、この二つをいかに整合的に結び付けるかについての人間の知的営みと言えるだろう。端的に言えば、「自然現象」と「説明原理」との関係のことで、それを明快に結び付けた言説のことを便宜上「真実」と呼んでいるのである。

 それでも、この整理はとてもクリアで、私にとっては有益な気づきになりました。



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