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伝える力 (池上 彰)

 著者の池上彰氏は、元NHKの記者・キャスターの方です。
 まさに本書のテーマの「伝える」という点ではプロフェッショナルです。

 本書は、「伝えるプロ」である池上氏が、コミュニケーションの基本である3つ(「話す」「書く」「聞く」)の能力について、その向上のための秘訣を開陳したものです。

 説明そのものは、著者自身の経験に基づく多くの実例を示しながら、平易な言葉でわかりやすく進められます。
 たとえば、「この言葉・表現は使わない」という章では、ものを書いたり話したりするときのちょっとしたアドバイスをいくつか紹介しています。
 こんな感じです。

(p179より引用) 「いずれにしても」「いずれにしましても」は、絶対に使ってはいけません。
 「いずれにしても」は、その直前まで書いていたことの論理に関係なく話を無理にまとめる行為です。場合によっては、それまでの論理の流れを否定しかねません。

 著者は、本書のターゲット層を40歳代以前のビジネスピープルと言っています。
 ですが、仮に30歳代の社会人がこの本を読んで、初めて「なるほど、そうか」と感じるようでは、正直なところ情けないものがあります。

 書かれているアドバイスはどれももっともで、その内容を否定するものではありません。が、全く新たな切り口からの気づきは・・・、残念ながら本書からは見つけられませんでした。


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