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ファッションは、欠落を埋めるもの。


ファッションは、欠落を埋めるもの

誰の言葉か、もう確かめる術はないのだが、
私もファッションは、こうあるべきと思う。
しかし、それはマイナスを補うというよりも
飢餓感を満たすのに近い。

ロバート・キャンベルさんはかつて「日本経済新聞」で
「私にとって服とは、
自分を引っ張ってくれる杖のようなものです」と述べている。
また、蜷川実花さんは昨年の「あさイチ」で、映画監督として
重要なシーンを撮る日は「服のパワーを借りる」と言っていた。
どちらも足りないパワーを充電してくれる存在であると、
言っていると受け取れる。
もちろん、それはお二人にとって特別な服のはずだ。

スタイリストの草分けとも言える原由美子さんは、
「人とどう違うかを表現するために洋服を着る」と、
はっきりと個性の表現と結び付ける
(昨年の『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』)。
この原さんの言葉を含め、3人の言葉の裏には、

何かに向かって生きるエネルギーを感じるのだ。

努力しないファッション

「ノームコア」とは5~6年前にニューヨークのK-HOLEが提唱した概念で、
Normal(普通の)とHardcore(徹底した)を合わせた
「究極の普通」と呼ばれるファッション。
疲れるほど個性を追求した経験なくして着こなせないとも言われるが、
そうした個性の追求を拒否したのが
「エフォートレス」だ。
やはり5~6年前から出始め、最近もよく目にするが、
effort (努力)less(より少ない)を組合せた言葉で、
まさに努力を要さず頑張り過ぎないスタイルだと言う。
いずれもファッションと生き方を重ねてはいない。
それどころか、選ぶ労力をかけることにすら重きを置かない、
まさにファッションに限った
コストパフォーマンス重視
と言える。

ファッションにもらうパワー

もちろん「好きな服を着て何が悪い」と言われることは承知だ。
前述の原さんも昔、新聞のエッセイ欄で
「はっきり自分をこう見せたいという意思をもって真剣に
洋服を着るなら、それが顔つきや態度にもにじみ出て、
洋服自体の印象よりも、若さと共に本人が浮き彫りになる」
などと書いたら、
「自己満足」などのバッシングを受け、かなり引きずった、
と言われていた。

であれば、あえて自己満足を大前提に、
ファッションに重きを置かない方の意識を尊重することを
明確にしたうえで、

初対面の方へのご挨拶にはこれ、
プレゼンの日にはこれ、社長取材の日にはこれ、
キックオフミーティングの日にはこれ、
Jリーグに行く日にはこれ、フレンチで食事の日にはこれ。

ファッションの力を身に付ける生き方を、

私はこれからも大切にし続けたい

IMG_5310服の先


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